80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.32

 

佐藤健(作曲家)

大橋純子の旦那様ということで、大橋純子には多くの曲を提供していますし、それ以外にも多岐にわたって作曲を手掛けています。作品群をみてみると、ストレートな王道ソングというよりは、おしゃれ感を抱かせるメロディーが特徴的です。

 

佐藤健作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 Fin 中森明菜 

(1位 31.8万枚 作詞 松本一起 作曲 佐藤健 1986年)

この頃から中森明菜は聴き心地やキャッチーさより、他のアーティストが歌わない歌を積極的に取り組んでいくようなところが感じられ、その典型がこの曲でしょう。けっして万人受けするようなキャッチーさは皆無で、歌いにくいし覚えにくく、難しい印象を受けます。まさに中森明菜しか歌えない曲というところでしょう。

 

9位 プロセス 田村英里子 

(7位 7.5万枚 作詞 尾関昌也 作曲 佐藤健 1990年)

田村英里子4thシングルは、それまでの3曲に比べて、大人っぽさを意識した作品になっています。デビュー2年目に入り、歌手としても一歩成長したところをアピールしたいというところだったでしょうか。今回のラインアップをみると、こういったタイミングで佐藤健は起用されやすいのかもしれません。

 

8位 東京Sickness 芳本美代子 

(7位 4.9万枚 作詞 戸沢暢美 作曲 佐藤健 1987年)

この曲は芳本美代子にとっても、それまでのシングルの中で最も落ち着いたテンポで静かな楽曲になっていて、ちょっと路線を変えたいときに佐藤健が起用されています。芳本美代子にとっては最後のオリコントップ10入りした楽曲なっていて、次のシングル『Heroes』の佐藤健が作曲をしていましたが、惜しくもトップ10圏外となっています。 

 

7位 ささやきのステップ 薬師丸ひろ子 

(3位 10.1万枚 作詞 松本隆 作曲 佐藤健 1986年)

穏やかなメロディーで聴いていてとっても心地よい曲です。透き通るような薬師丸ひろ子の声との相性も良く、派手ではないけれど、聴けば聴くほどくせになるそんな魔力を感じさせます。佐藤健のメロディーメイカーとしてのセンスを認識させられた一曲でした。

 

6位 堕ちないでマドンナ 田原俊彦 

(3位 16.4万枚 作詞 佐藤ありす 作曲 佐藤健 1985年)

こちらもミディアムテンポで穏やかなメロディーが佐藤健らしい作品です。この頃の田原俊彦は大人の歌手への転換期で、いろいろなタイプの作品に挑戦しているところがあり、この曲もまた今までの田原俊彦にはない余裕を感じさせる作品になっていたと思います。

 

5位 RAIN-DANCEがきこえる 吉川晃司 

(2位 17.7万枚 作詞 安藤秀樹 作曲 佐藤健 1985年)

それまでの速いテンポのポップな曲に比べると、やや落ち着いた印象のシングル曲になっていて、当時の吉川晃司としてはひとつの挑戦だったのではないでしょうか。こうしてみると、佐藤健はやはりその歌手の転換期に起用される傾向にあるのが改めてわかります。

 

4位 -045- 杉浦幸 

(33位 1.4万枚 作詞 田口俊 作曲 佐藤健 1987年)

045とは横浜あたりの市外局番ということで、杉浦幸にとってはそれまでの尖ったイメージから一転し、しっとりとしたラブソングに挑戦したシングルとなっています。あまり売れませんでしたが、個人的には結構好きな曲で、ここでも転機に佐藤健の起用という形になっています。

 

3位 アマリリス Wink 

(30位 1.4万枚 作詞 森雪之丞 作曲 佐藤健 1988年)

洋楽カバーのデビュー曲がスマッシュヒットしたWinkの次のシングルは、一転してミディアムテンポの和製ポップスでしたが、残念ながらセールス的には振るいませんでした。ただ楽曲としては決して悪い曲ではなく、あとでWinkのシングルを並べて聴いてみると、異彩を放つ魅力的な作品になっています。ただこの曲が売れなかったことで、再びカバー路線に戻してブレイクしたことから、ある意味Winkのその後のブレイクに貢献したといえるのかもしれません。

 

2位 夏の日の1993 class 

(3位 115.5万枚 作詞 松本一起 作曲 佐藤健 1993年)

ミリオンセラーを達成し、佐藤健としては最大のヒット曲ではないでしょうか。今でも夏の曲として聴かれるスタンダードナンバーになり、聴き心地の良さが最大限に効果を発揮した作品といえそうです。けっして派手ではないのですが、何度聞いても飽きない、そんなところが受けたのでしょう。

 

1位 モノクローム・ヴィーナス 池田聡 

(9位 22.8万枚 作詞 松本一起 作曲 佐藤健 1986年)

無名の歌手の作品をいきなりヒットさせたのは、佐藤健の作ったキャッチーなサビのメロディーに因るところが大きいでしょう。佐藤健の曲の中の第一位とさせていただきます。池田聡の美しい伸びのある声と美しいメロディーと見事に調和して、一聴して売れ線と感じる楽曲に仕上がっています。カラオケで歌うと気持ちいいです。

【その他の主な作品】

上記以外では『西暦1986』早見優、『春が来た』『ポキチ・ペキチ・パキチ』水谷麻里などがあります。