80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.25

 

中島みゆき(作詞・作曲家)

自身でも長い間にわたり一線で活躍し、ヒット曲を生み出し続けていますが、作詞でも作曲でもソングライターとしても多くのアーティストに作品を提供し、ヒットを生み出している中島みゆき。そんな中から独断と偏見で10曲を選んでみました。

 

中島みゆき作詞・作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 かもめはかもめ 研ナオコ 

(7位 33.0万枚 作詞 中島みゆき 作曲 中島みゆき 1978年)

中島みゆきと研ナオコの係わりはかなり深いのですが、この曲もそんな中の一曲で、セールス的にも好成績を残しています。お得意の自虐的な失恋ソングで、どこかひねくれたところのある繊細な女心が上手に綴られていて、中島みゆき、研ナオコどちらの「らしさ」が表れています。

 

9位 儀式(セレモニー) 松本典子 

(37位 1.3万枚 作詞 中島みゆき 作曲 中島みゆき 1986年) 

セールス的には伸びませんでしたが、線の細い松本典子の歌唱が不思議とマッチして、失くした恋を思い出しては感傷にひたる若い女性の気持ちが表れたいい曲だと思います。松本典子にはこの一曲のみですが、松本はユーミンにも一度曲をもらっているということで、両者に曲を書いてもらった稀有な存在といえるでしょう。

 

8位 カムフラージュ 柏原芳恵 

(6位 19.3万枚 作詞 中島みゆき 作曲 中島みゆき 1983年) 

柏原芳恵が卒業ソング『春なのに』で中島みゆきを歌って好評を呼び、その次に中島みゆきと組んだのがこの曲です。都合のいい時だけ呼び出されて恋人の振りをする「偽物両想い」を歌った作品で、これまた女性のどこかねじ曲がった心理を描く得意の世界。この曲を境に、ちょっと大人の世界に足を踏み入りていった感のある柏原芳恵。1つのターニングポイントであったといえる楽曲ではないでしょうか。

 

7位 慟哭 工藤静香 

(1位 93.9万枚 作詞 中島みゆき 作曲 後藤次利 1993年) 

なぜか工藤静香に対しては詞だけという場合が多く、作詞・作曲の両方を行っているのは『激情』くらいです。そんな中での『慟哭』は工藤静香にとって最大のセールスをあげた曲でもあり、中島みゆきがそれに貢献したというわけです。好きな相手が好きなのはまったく別の相手で、自分は大事な友達としか思ってくれないというせつない女ごころをお得意の自虐的な感じで歌詞にしています。

 

6位 宙船(そらふね) TOKIO 

(1位 48.3万枚 作詞 中島みゆき 作曲 中島みゆき 2006年) 

意外な組み合わせに思えた中島みゆきとTOKIOのコラボでしたが、今ではTOKIOの代表曲になっている曲で、さすが中島みゆきといったところです。今回の中では唯一の男性ボーカルですが、それに負けない力強い楽曲ですし、相変わらず考えさせる歌詞もまた中島みゆきらしさ全開。カラオケでもよく聴きます。

 

5位 最愛 柏原芳恵 

(8位 22.4万枚 作詞 中島みゆき 作曲 中島みゆき 1984年) 

柏原芳恵への曲の提供はこれが3曲目。あともう一曲このあとに『ロンリー・カナリア』の計4曲があります。この『最愛』は好きな相手が別の女性と船に乗り旅立っていく様子を見ている心境を歌っていて、どこか映画のワンシーンを観ているような感覚になります。柏原芳恵との取り組みでは、この曲が一番気に入ってます。 

 

4位 あばよ 研ナオコ 

(1位 64.4万枚 作詞 中島みゆき 作曲 中島みゆき 1976年) 

研ナオコへの提供曲の中で最も売れたのがこの曲です。こちらも当然の失恋ソングで、つらい気持ちをなんとか強がって自分を納得させるように言い聞かせているそんな歌詞になっています。オリコン1位も獲得し、研ナオコの代表曲になっています。このほか『みにくいあひるの子』『LA-LA-LA』『窓ガラス』『ひとりぼっちで踊らせて』『ふられた気分』で中島みゆきが作品を提供しています。 

 

3位 FU-JI-TSU 工藤静香 

(1位 25.3万枚 作詞 中島みゆき 作曲 後藤次利 1988年) 

かつての恋人に街中で偶然出くわしたら、知らん顔されたという、これもまた一ひねりしたような面白い歌詞になっていて、個人的に好きな曲です。

 

2位 MUGOん…色っぽい 工藤静香 

(1位 54.1万枚 作詞 中島みゆき 作曲 後藤次利 1988年) 

マイナー曲が多い工藤静香の中で、珍しくポップなメジャー曲。化粧品のキャンペーンソングというのもあるかもしれませんが、かわいらしくて新しい工藤静香の魅力を見せてくれた一曲だと思います。それだけに余計に目立つのかもしれませんが、この曲が個人的には一番好きです。触れていない中では、『黄砂に吹かれて』『私について』が中島みゆきの作詞です。 

 

1位 しあわせ芝居 桜田淳子 

(3位 36.5万枚 作詞 中島みゆき 作曲 中島みゆき 1977年) 

桜田淳子がアイドルから大人の歌を歌える歌手への転換点となったのがこの曲だったように思います。当時中島みゆき自身は『わかれうた』の大ヒットで世に知られたばかりの時期、いないはずの恋人がいるふりを続ける女心がまた痛いほど伝わってくる歌詞にはその才能があふれています。このあと『追いかけてヨコハマ』『20才になれば』でも曲を提供しています。 

 

【その他の主な作品】

上記で触れられなかった作品をいくつか挙げておくと、『すずめ』増田けい子、『美貌の都』郷ひろみ、『肩幅の未来』長山洋子、『きっと愛がある』西田ひかる、『泣いてもいいんだよ』ももいろクローバーZなどがあります。