80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.23

 

大野克夫(作曲家)

70年代から80年代初頭にかけてヒット曲を多く輩出した作曲家です。作曲家として活躍する以前はザ・スパイダースのメンバーとして活躍、その後は井上堯之バンドを経て大野克夫バンドを結成。演歌からアイドルソング、アニメソングまで幅広いタイプの曲を作り、中でも『太陽にほえろ!メインテーマ』は多くの人たちに親しまれました。歌謡界では主として沢田研二に多くの楽曲を提供し、ヒット曲たくさん生み出しています。そして作詞をほとんど阿久悠が担っています。

 

大野克夫作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 ねえ!気がついてよ 桜田淳子 

(2位 28.6万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1976年)

桜田淳子らしい明るい恋の歌でまずまずの売上を残しています。タイトルと同じサビの部分の強さがポイントですが、攻め過ぎず手堅い楽曲が功を奏した印象です。ただなぜか桜田淳子への提供はこの一曲のみで終わっています。

 

9位 居酒屋 木の実ナナ&五木ひろし 

(29位 19.7万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1982年)

演歌も作っていた大野克夫。デュエットの定番曲として歌われ続けているこの曲は、最高順位こそ低いものの演歌的な売上推移で枚数を重ねました。

 

 

8位 三枚の写真 石川ひとみ 

(37位 6.0万枚 作詞 松本隆 作曲 大野克夫 1981年)

もともとは三木聖子が歌っていた曲ですが、石川ひとみが『まちぶせ』の次の曲に選んだのがこの曲。勢いのまま売上を伸ばしたいところだったのですが、セールス的には伸び悩み。曲自体はけっして悪い曲ではなく、むしろ味わいのあるいい作品なのですが、第一印象がどうしても地味で、ここで持ってくる曲としては結果としては失敗に終わっています。いい曲なんですがね…

 

7位 第二章・くちづけ 柏原よしえ 

(49位 4.5万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1980年)

大野克夫は柏原よしえには2曲の曲を書いていて、そのうちの1曲がこの3rdシングルです。まだあまり柏原芳恵が知られていない時期だけにセールスは厳しかったですが、楽曲自体の出来は悪くありません。といいますか、私としてはかなり好きです。《好き好き好き好き透き通った時間の中で》のポップで明るい部分と、《How to love How to kiss 第二章くちづけ》のせつなげでメロディアスな部分と聴かせどころが2か所あって、そのギャップがまた良いのです。

 

6位 LOVE(抱きしめたい) 沢田研二 

(4位 48.8万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1978年) 

沢田研二のラブバラードの代表作です。《抱―きしめたい 抱―きしめたい》とジュリーの色気のある声と仕草で歌われると、当時の女性たちはもうコロッといってしまったのではないかというそんなセクシーな楽曲です。ソロ歌手沢田研二としての全盛で大ヒット曲を連発している頃で、それを支えたのが大野克夫だったということで、沢田研二との相性の良さを感じさせます。

 

5位 ブーツを脱いで朝食を 西城秀樹 

(7位 21.7万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1978年)

西城秀樹にはこの曲とその次の『あなたと愛のために』の2曲を作曲している大野克夫。特にこの曲は西城秀樹のセクシーな部分と情熱的な部分の両面を表現した、当時の秀樹にぴったりの作品になっていたと思います。

 

4位 ダーリング 沢田研二 

(1位 44.8万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1978年)

この曲もカッコいいですね。たたみかけるように次々と要求を突きつけてくるジュリー、そしてサビの《夜が来ても 朝が来ても 春が来ても 夏が来ても 秋が来ても 冬が来ても》でもまたたたみかけが激しいのですが、これが本当にカッコいい。カラオケで歌ってもホント気持ち良い曲で、改めてジュリーに大野克夫氏は欠かせなかったということを認識させられます。

 

3位 勝手にしやがれ 沢田研二 

(1位 89.3万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1977年)

レコード大賞を獲得した沢田研二の代表曲です。ハットを客席に投げるパフォーマンスと合わせて、一世を風靡した作品。そしてこの曲もジュリーらしいカッコよさにあふれていて、文句のつけようがありません。沢田研二以外への曲の提供で成功した例が少ないだけに、この頃の大野克夫はもはや沢田研二専属といった感じでした。

 

2位 カサブランカ・ダンディ 沢田研二

 (5位 39.0万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1979年)

また同じ言葉になってしまいますが、これがまたカッコよすぎます。この頃の大野克夫はジュリーに対して次から次へとカッコいい曲を用意し、そのどれもが当たるという状態。この曲に関しても、普通の歌手ならばキザすぎて見ていられないということになるのでしょうが、ジュリーならこなせてしまうのですよね。そのあたりを分かって攻めてくるのはさすがでした。

 

1位 OH!ギャル 沢田研二 

(5位 27.1万枚 作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 1979年)

2~4位とはちょっと趣の違うポップな楽曲になっています。《ビキニをはずしてマストに飾ろう》とかお気楽な色気を前面に打ち出していて、本人はあまり乗り気じゃなかったというのを聞いたことがあります。ただこんな軽いジュリーもまた味があって、この曲を1位にしてみました。

 

【その他の主な作品】

沢田研二ばかりになってしまうので、泣く泣く数々のヒット曲をランキングから外しましたので、ここに羅列しておきます。『時の過ぎゆくままに』『立ちどまるなふりむくな』『さよならをいう気もない』『憎みきれないろくでなし』『サムライ』『ヤマトより愛をこめて』『ロンリー・ウルフ』を大野克夫が作曲しています。