80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.20
伊達歩(作詞家)
作家の伊集院静が作詞をするときのペンネームが伊達歩でして、作詞家としては近藤真彦をはじめ、男性歌手への仕事が多い印象です。ヒットの実績としても、近藤真彦に提供した何曲かがその中心となっていて、まさにマッチ様様といった感じではなかったでしょうか。
伊達歩作曲作・ベスト10
★=80年代発売
10位 どうにかなるさ とんねるず
(7位 5.8万枚 作詞 伊達歩 作曲 後藤次利 1990年)
人生の中でつまずいた男たちのつぶやきを歌うことがよくあるとんねるず。そんなとんねるずの歌の中の世界に合わせてきたような作品。だいたい秋元康が作詞を行うことが多かったとんねるずの中で、なぜか伊達歩がスポット的に作詞を務めたわけですが、違和感は全くなし。
9位 イエ!イエ!お嬢さん 榊原郁恵
(28位 5.7万枚 作詞 伊達歩 作曲 呉田軽穂 1980年)★
タイトルからすると軽いコミックソングに感じますが、伊集院静の作詞に松任谷由実の作曲ですからね。でも二人の感じがあまり出てこないような、曲としては榊原郁恵らしい明るいオーソドックスなアイドルソングです。
8位 胸の振子 薬師丸ひろ子
(8位 5.0万枚 作詞 伊達歩 作曲 玉置浩二 1987年)★
これなんかは非常に文学的な言葉の選び方をしているという印象で、玉置浩二の美しいメロディーに乗せ、薬師丸ひろ子の透明感を上手に生かした歌詞になっていると思います。
7位 真夏の一秒 近藤真彦
(1位 34.4万枚 作詞 伊達歩 作曲 後藤次利 1983年)★
真夏のギラギラした感じが詩にも曲にも現れたマッチらしい一曲です。近藤真彦のキャラクターに沿うような歌詞、言葉遣いになっていて、わりと正統派のカッコいいアイドルソングに仕上がっています。
6位 よこはまチャチャ 小野さとる
(圏外 作詞 伊達歩 作曲 中村泰士 1983年)★
当時演歌界の期待の新人として売り出され、数々の賞レースの新人賞候補として歌われたデビュー曲です。歌のタイトルも見かけもちょっと軽めで、それが吉と出るか凶と出るかというところでしたが、このデビュー曲以降はそのままフェイドアウト。まさに《チャチャ どこにいるのかチャチャ》と歌詞通りになってしまったわけです。
5位 やめないで、PURE KinKi Kids
(1位 65.2万枚 作詞 伊達歩 作曲 筒美京平1999年)
90年代に入ってからはこれといったヒットがなく、作詞業はやめたのかと思っていたところで、久しぶりの1位獲得作品となったのがこれ。鋭利な感じのとがった歌詞になっていますが、筒美京平のスリリングなメロディーにマッチして、印象的な歌になっています。
4位 愚か者 近藤真彦
(2位 18.2万枚 作詞 伊達歩 作曲 井上堯之 1987年)★
それぞれの段階で近藤真彦の楽曲に携わり、マッチの成長に大きくかかわってきた伊達歩。特にこの曲は大人のシンガーへの転換に向けてのポイントになる楽曲で、歌詞もそれまでのマッチの楽曲とは雰囲気の違うものになっています。萩原健一の競作も話題に。このあとさらに『さすらい』も伊達歩の作曲となっています。
3位 だから、青春 竹本孝之
(49位 4.2万枚 作詞 伊達歩 作曲 馬場孝幸 1982年)★
《青春くん》と青春に対して問いかけているような独特の歌詞が印象的ですが、青春スター路線を行こうとしている竹本孝之に相応しいさわやかな青春ソングになっています。《君が 君が 君が好きだ》とストレートな言葉に女性ファンはぐっとくるのでは?
2位 情熱・熱風・せれな~で 近藤真彦
(1位 55.6万枚 作詞 伊達歩 作曲 筒美京平 1982年)★
ミディアムテンポで聴けば聴くほど味が出るタイプの楽曲です。単語や短いフレーズを効果的に並べることで、独特の世界を作り出し、それまでのヤンチャで一途な部分から、近藤真彦の可愛らしくコミカルな一面をこの作品で見せることに成功したのではないでしょうか。
1位 ギンギラギンにさりげなく 近藤真彦
(1位 81.6万枚 作詞 伊達歩 作曲 筒美京平 1981年)★
近藤真彦の代表曲である4thシングルは、「ギンギラギン」という派手でこれ見よがしな言葉と、「さりげなく」という控えめで目立たないようにという対照的な言葉をつなげて、いったいどっちなんだといかにも突っ込んでくださいというようなタイトル、そしてサビのフレーズが、結果的に人々の耳に残り大ヒット。作詞家としてはしてやったり感のある歌詞だったではないでしょうか。