80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.18

 

康珍化(作詞家)

数多くのヒット曲を作詞してきたヒットメイカーです。男性アイドル、女性アイドルからシティポップまで、80年代を中心に日本の音楽界に貢献してきた名作詞家。硬軟取り混ぜた幅広い作品の数々…さすがという感じです。作曲が林哲司との組み合わせがかなり多いです。

 

康珍化作詞曲・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 GOLDFINGER’99 郷ひろみ 

(13位 46.0万枚 作詞 康珍化 作曲 Desmond Child, Draco Rosa 1999年)

カバー曲の日本語詞を康珍化が担当。印象的な《アーチチアーチ》のフレーズで、郷ひろみとして久々の大ヒット曲に。郷ひろみにはそのほか全く違うタイプの『言えないよ』も康珍化が作詞しています。

 

9位 まっ赤な女の子 小泉今日子 

(8位 22.7万枚 作詞 康珍化 作曲 筒美京平 1983年)

この曲をきっかけに小泉今日子の路線が大きく変わり、急上昇のきっかけとなった5thシングル曲です。濡れたTシャツに赤いビキニと、男の子の急所をくすぐる歌詞で、それまで隠れていた小泉今日子の魅力が一気に爆発した感じです。そのほか小泉今日子には『艶姿ナミダ娘』『渚のはいから人魚』『ヤマトナデシコ七変化』と、いずれもサビにも使われたコミカルなタイトルが強烈なインパクトを与えて大ヒットに結びついています。

 

8位 北ウイング 中森明菜 

(2位 61.4万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1984年)

この曲をきっかけに、海外を舞台にした楽曲シリーズを多数発売していくことになる中森明菜。その意味では、小泉今日子同様にターニングポイントとなった曲で、康珍化が作詞を担当していたのは、偶然なのでしょうか。恋人を追って空港を旅立つ女性を歌った曲は、小泉今日子での作詞法とは対照的に抒情的。その他『ミ・アモーレ』『赤い鳥逃げた』も作詞をしています。

 

7位 天国にいちばん近い島 原田知世 

(1位 27.6万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1984年)

映画の主題歌という制限の中で、当時の原田知世のキャラクターに合うようなピュアなラブソングに仕上げています。インパクトのあるフレーズの変化球を見せたかと思うと、こういった正攻法の作品もきちんと仕上げてくるところはさすがといったところ。原田知世には『愛情物語』『早春物語』でも作詞をしています。

 

6位 稲妻パラダイス 堀ちえみ 

(5位 13.7万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1984年)

堀ちえみのシングルでは唯一の関わりとなっています。こちらも9位曲と同じ《ちっちゃなビキニ》《ぬれたTシャツ》で攻めてきていて、味をしめて再度投げ込んできた感じですね。曲は夏らしいアイドル曲で、堀ちえみの「明」の部分がしっかりと出すことができています。

 

5位 ふたりの夏物語 杉山清貴&オメガトライブ

 (5位 36.8万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1985年)

『サマー・サスピション』『君のハートはマリンブルー』『サイレンスがいっぱい』『ガラスのPALM TREE』など、杉山清貴&オメガトライブの全シングルが康珍化&林哲司によるもので、世界観は完全に統一されています。その中で作詞面から選んだ1曲がこれ。こんな浮かれた夏のリゾートで始まる恋物語がカッコよくみえた時代だったのですよね。歌詞のあちこちに当時のカッコいいものが散りばめられていて、かなり戦略的に練られた歌詞だと思います。

 

4位 ギザギザハートの子守唄 チェッカーズ 

(8位 39.6万枚 作詞 康珍化 作曲 芹澤廣明 1983年)

チェッカーズのシングルではこの曲と『神様ヘルプ!』の2曲で作詞を手掛けた康珍化ですが、やはりインパクトとしてはこのデビュー曲でしょう。ツッパリブームがやや落ち着きを見せてきた1983年でしたが、ラジオでヘビーローテーションで流れるこの曲の詩には、結構衝撃を受けたものです。康珍化さすがのお仕事です。

 

3位 悲しみが止まらない 杏里 

(4位 42.3万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1983年)

前作『CATS EYE』で大ヒットを放ち、勝負曲となる次の曲がこれ。まったく違うテイストの曲でしたが、女性の心に訴えかける分かりやすい楽曲で見事にヒット。友達に恋人を奪われた状況が手に取るように伝わり、奇を衒わない康珍化の歌詞がぴったりとはまりました。

 

2位 桃色吐息 高橋真梨子 

(4位 36.8万枚 作詞 康珍化 作曲 佐藤隆 1984年)

高橋真梨子のソロとしての最初の大ヒット曲。佐藤隆の怪しくけだるい独特のメロディーに乗った康珍化の歌詞がこれまた妖艶で幻想的、怪しさ100%。《金色 銀色 桃色吐息》なんて一体何?と突っ込みたくなるほどよくわからない歌詞が不思議な魅力を生み出しました。

 

1位 悲しい色やね 上田正樹 

(5位 34.8万枚 作詞 康珍化 作曲 林哲司 1982年)

とにかく関西弁の歌詞が実にいい味わいとなって、上田正樹随一のヒット曲になりました。大阪ソングの代表曲といってもいい存在になりましたが、それは康珍化の歌詞なしには成しえなかったでしょう。

 

【その他上記で触れていない主な作品】

上記以外にも、数多くのアーティストへ詩を提供し、ヒット曲を生み出しています。

女性アイドルでは、岩崎良美『タッチ』『愛がひとりぼっち』、菊池桃子『もう逢えないかもしれない』、中山美穂『人魚姫 mermaid』『Witches』『ROSECOLOR』、南野陽子『接近(アプローチ)』『涙はどこへいったの』、松本伊代『抱きしめたい』『チャイニーズ・キッス』、 男性アイドルでは、近藤真彦『あぁ、グッと』『泣いてみりゃいいじゃん』、少年隊『君だけに』、KinKi Kids『全部だきしめて』『雨のMelody』『夏の王様』、そのほか杉山清貴『渚のすべて』、BoA『メリクリ』『QUINCY』『VALENTI』、三好鉄生『涙をふいて』、山下久美子『こっちをお向きよソフィア』『マラソン恋女』など