80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.17
遠藤京子(作詞・作曲家) ※現在は遠藤響子
シンガーソングライターとして活躍しながら、ドラマ「3年B組貫八先生」では女優にも挑戦と、当時幅広く活躍していた遠藤京子。作詞や作曲で他のアーティストへ提供することも多かったのですが、そのほとんどが女性アーティスト。繊細で優しい感じの楽曲が多く、特にアイドルとの相性が良かったようです。いずれも1990年前後に作品が集中していて、この特定の時期に他のアーティストーの提供に力を入れていたということなのでしょうか。
遠藤京子作詞作曲作品・ベスト10
★=80年代発売
番外 赤いリボンのプレゼント 松本伊代
(作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子)
アルバム『夢ひとつ蜃気楼』の中の一曲なので番外として触れましたが、シングルとして出していたら、結構ヒットしたのじゃないかって思っています。詩はいかにもアイドルアイドルしたものなのですが、メロディがとっても良いです。1983年のアルバムということで、当時はまだ全く無名といっていい存在だった遠藤京子でしたので、見事アルバムの一曲に採用されたという、遠藤京子にとって大きなきっかけになる一曲になったのではないでしょうか。
10位 Roman 吉田真里子
(61位 0.6万枚 作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子 1990年)
期待されながらいまいちブレイクしきれなかった吉田真里子の7thシングル。6thシングルに続いての遠藤京子の起用となりましたが、売上を押し上げることはできませんでした。
9位 赤い花束 中嶋美智代
(9位 5.1万枚 作詞 遠藤京子 作曲 羽田一郎 1991年)
中嶋美智代のデビュー曲の作詞のみを遠藤京子が担当。いかにも清純派のアイドルらしい、幼ささえ感じさせる淡い恋の歌です。浅田美代子とか伊藤つかさとか、そちらの方向を狙っている感じはありましたが、アイドルとしては時代環境がちょっと厳しかったかもしれません。
8位 All Right 酒井法子
(10位 5.0万枚 作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子 1989年)★
のりピーの勢いがやや落ちてきて、チャートは10位ギリギリぐらいというぐらいの時期に遠藤京子が3曲起用されていますが、その最初がこの曲。失恋した友達を元気づけるような歌詞になっていて、無難といってしまえばそんな曲。
7位 微笑みを見つけた 酒井法子
(9位 5.2万枚 作詞 遠藤京子 作曲 鈴木キサブロー 1990年)
この曲は作詞だけを遠藤京子が担当。いろいろあったけれど、そんな自分でいいんだという自己肯定を言い聞かせるような歌詞。穏やかなメロディーに酒井法子の優しいボーカルが調和して、ゆったりと聴ける一曲になっています。
6位 泣きたい日もある 永井真理子
(20位 5.1万枚 作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子 1992年)
この曲を挟んで、永井真理子はすべて自分で作詞作曲を行うようになるのですが、遠藤京子にはこの1作だけシングル曲で提供を受けています。永井真理子らしい曲ではありますが、トップ10入りした前後のシングルに挟まれて、セールス的にはいまいちな感になってしまいました。
5位 ひなげし 中嶋美智代
(10位 4.6万枚 作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子 1991年)
2ndシングルでは作詞だけでなく作曲も遠藤京子が担当。路線的にはデビュー曲の感じをそのまま踏襲していて、可愛い可愛いした楽曲です。続く3rdシングル『初恋通り』も遠藤京子が作詞作曲。
4位 悲しき恋人たち 長山洋子
(10位 6.5万枚 作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子 1987年)★
長山洋子が安定してトップ10にシングル曲を送り込んでいた時期、カバーだったり、日本のアーティストに提供してもらったりと、いろんな歌に挑戦している中で組んだのが遠藤京子。歌謡曲っぽいメロディラインと歌詞で、今回の10曲の中ではやや違うテイストの作品に感じます。
3位 陽ざしのソリチュード 吉田真里子
(66位 0.7万枚 作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子 1990年)
ルックスも歌唱力も売れる要素はあったとは思いますがこの6thシングルの頃にはセールスもすでに下降期。楽曲してはなかなかのいい曲で、埋もれてしまったのがとても残念です。
2位 ダイヤモンド☆ブルー 酒井法子
(9位 5.1万枚 作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子 1990年)
要するに「あなたに会えてよかった」といった内容の恋愛ソングです。ただ相手への気持ちというよりは、自分に対していろいろと言い聞かせているような印象を受け、遠藤京子が酒井法子に対して書いている詩の世界というものは一貫しているように思いました。いい曲だと思います。
1位 ガールズ・オン・ザ・ルーフ 渡辺美奈代
(2位 8.8万枚 作詞 遠藤京子 作曲 遠藤京子 1987年)★
順位、売上枚数とも、この中では最も売れた曲です。渡辺美奈代にピッタリなキュートな曲ですが、特に歌詞がしゃれていて好きです。メルヘンチックな童話の世界に入ったように感じられ、頭の中で空想的な映像が浮かんでくるようです。聴いているだけでワクワクさせられ、楽しげではあるのですが、一方でどこか刹那的なはかなさを感じさせるところもあって、遠藤京子提供曲のナンバー1とさせていただきました。