80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.16

 

木森敏之(作曲家)

1980年代前半を中心に作曲家として活躍しましたが、1988年に40歳の若さで亡くなっています。もしもっと生きていたら、たくさんのヒット曲を生み出していたかもしれません。映画やドラマの音楽にも多数関わっていて、幅広いジャンルで活躍しました。わりとどっしりとした感じの曲が多いですが、その中から1位曲も2曲輩出。

 

木森敏之作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 CIRCUS GAME シュガー 

(30位 10.2万枚 作詞 売野雅勇 作曲 木森敏之 1983年) 

アニメ『伊賀野カバ丸』の主題歌になったことも手伝って、シュガーとしては大ヒット曲『ウェディング・ベル』の次にセールスが良かったシングルです。今回の10曲の中でも最もノリがよく、木森敏之色の薄い曲だと思います。

 

 

9位 橋 岩崎宏美 

(31位 3.8万枚 作詞 山川啓介 作曲 木森敏之 1984年)

おなじみ火曜サスペンス劇場の主題歌として起用された曲ですが、セールス的にはあまりはねませんでした。同じ火サスの主題歌だった6位や2位とそんなに曲調が違うわけではないですし、むしろ似た感じではあったのですが、似た感じであったゆえに飽きられた感はあったのでしょうか。

 

8位 君の国 中村雅俊 

(20位 10.5万枚 作詞 大津あきら 作曲 木森敏之 1982年)

1位にある大ヒットの前作に続き、大津あきらと木森敏之のコンビによる中村雅俊のシングル曲は、系統としては前作と同じ感じですが、サビの盛り上がりがやや地味め。それでも10万枚を超える売上を残したのは健闘といってもいいでしょう。

 

7位 家路 岩崎宏美 

(4位 32.0万枚 作詞 山川啓介 作曲 木森敏之 1983年)

火曜サスペンス劇場の主題歌として2位に続けてのヒット。決して派手な曲ではないのですが、2位曲と同様に包容力を感じさせる歌詞とメロディーが、疲れ果てた人々の心をつかんで(?)ヒットに結び付きましたというところでしょうか。

 

6位 サンセット・メモリー 杉村尚美 

(4位 46.1万枚 作詞 竜真知子 作曲 木森敏之 1981年)

ドラマのテーマソングにもなってヒットした作品。ドラマティックな展開で、木森敏之色の特に強い作品ではないでしょうか。流行歌の作曲家としては、この1981年から1982年にかけての2年間が、木森敏之のピークだったようい思います。

 

5位 愛の中へ 渡辺徹 

(6位 21.0万枚 作詞 大津あきら 作曲 木森敏之 1982年)

渡辺徹の出世作『約束』の次のシングルに作曲家として起用された木森敏之。前作よりセールスは落ちたものの、トップ10をキープし、渡辺徹の人気を不動にした作品です。木森敏之らしいドラマティックなメロディーで、どちらかというとあっさりしている『約束』よりもこちらの方が私は好きです。

 

4位 失恋ライブラリー 紘川淳 

(26位 3.1万枚 作詞 安井かずみ 作曲 木森敏之 1986年)

アイドルへの提供は少ない木森敏之ですが、その数少ない純アイドルへの提供曲。ドラマで人気が出てデビューした紘川淳のデビュー曲は、女の子らしい図書館を舞台にした青春失恋ソング。木森敏之としてはやや抑えめなちょっと切ないメロディーが好きで、レコードを買ってしまった当時の私。しかし紘川さんはシングル2曲のあと芸能界をやめ、大学教授に華麗なる転身。

 

3位 赤い涙 森川美穂 

(39位 2.4万枚 作詞 秋元康 作曲 木森敏之 1986年)

悲しいメロディーから静かに始まり、そこからドラマティックに展開。当時アイドルとしてデビューした森川美穂の3枚目のシングルは、音にも重厚感がありますが、それに負けない森川美穂のボーカルにも圧倒されます。アイドルらしい可愛らしい感じではないのでセールス的にはパッとしませんが、楽曲としては聴きごたえのある作品になっています。

 

2位 聖母たちのララバイ 岩崎宏美 

(1位 80.4万枚 作詞 山川啓介 作曲 木森敏之、John Scot 1982年)

ジョン・スコットとの共作詩。木森敏之にとってオリコン1位を獲得した2曲のうちの1曲ですが、火曜サスペンス劇場の主題歌として広く支持され、大ヒットとなりました。歌詞もメロディーも歌唱もすべて母性愛を強く感じさせ、特にビジネス社会で戦う大人の男たちにこの歌の包容力が支持されました。

 

1位 心の色 中村雅俊 

(1位 69.7万枚 作詞 大津あきら 作曲 木森敏之 1981年)

ドラマの主題歌にもなったこの曲は中村雅俊にとっての久しぶりの大ヒット曲に。私が初めて買った3枚のシングルレコードのうちの1枚がこれ。静かな出だしから、サビでの盛り上がり感が最高で、まさに《のぼるサンライズ》的な高揚感がたまりません。木森敏之にとっての最高傑作と認定しましょう。