80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.15

 

竜真知子(作詞家)

70年代後半から80年代にかけて、作詞家として数々のヒット曲を手掛けた竜真知子。旦那様はNOBODYの一人ということで、夫婦で作詞家・作曲家でもあるわけです。多く関わった歌手としては、初期の河合奈保子、石川秀美、西城秀樹といったところになるでしょうか。

 

竜真知子作詞曲・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 サンセット・メモリー 杉村尚美 

(4位 46.1万枚 作詞 竜真知子 作曲 木森敏之 1981年)

ソロとしては一発屋的な存在である杉村尚美唯一のヒット曲。テレビドラマの主題歌ということで、当然歌詞もそこを意識したものになっています。抽象的な内容ではありますが、スケール感のある壮大な印象を与える歌詞になっています。

 

9位 スマイル・フォー・ミー  河合奈保子

(4位 26.0万枚 作詞 竜真知子 作曲 馬飼野康二 1981年)

河合奈保子には『ヤング・ボーイ』『17才』『ラブレター』『夏のヒロイン』そしてこの曲という初期5曲のシングルで作詞をしています。その中でも最もヒットして、河合奈保子の人気を決定づけたのが『スマイル・フォー・ミー』です。河合奈保子のキャラクターにふさわしい明るく楽しい作品になっていて、彼女のブレイクに竜真知子が一役買ったのは間違いないでしょう。

 

8位 夏のフォトグラフ 石川秀美 

(8位 11.1万枚 作詞 竜真知子 作曲 小田裕一郎 1984年)

石川秀美には『バイ・バイ・サマー』『スターダストトレイン』そしてこの曲の3曲で作詞を担当。夢見がちな幼い恋から、ちょっと大人のリアルな恋の歌へと一段階大人へのステップを踏んでいる時期に担当しているということで、河合奈保子とは担当している段階が異なるのが面白いです。海を背景にした歌が多い石川秀美ですが、この曲も舞台は海。あなたへの熱い思いが伝わってくる歌詞ですね。

 

7位 ハートのエースが出てこない キャンディーズ 

(11位 17.2万枚 作詞 竜真知子 作曲 森田公一 1975年)

キャンディーズへの作詞はこれ一曲ですが、タイトルと同じサビの歌詞のインパクトは十分。トランプで恋占いしている内容ですが、1970年代半ばという時代を考えると、なかなか新しい感覚だったのではないでしょうか。

 

6位 遥かなる恋人へ 西城秀樹 

(8位 19.3万枚 作詞 竜真知子 作曲 馬飼野康二 1978年)

西城秀樹に対しては『リトルガール』『南十字星』とこの曲の3つのシングルで詩を提供しています。その中でもこの曲は、遠い故郷に残した恋人を思う気持ちが、熱くかつ穏やかに伝わってくるラブソングになっていて、なかなか味わい深いです。

 

5位 アメリカン・フィーリング サーカス 

(5位 47.6万枚 作詞 竜真知子 作曲 小田裕一郎 1979年)

海外にいる恋人を追って、飛行機で彼のもとへ向かう女性の愛する気持ちを歌った旅行会社のCMソングです。国をまたいでの恋の飛行ということで、曲も歌詞も壮大さを感じさせ、海外旅行への憧れを掻き立てるには十分なものになっています。サーカスにとっては2曲目となる大ヒット曲です。

 

4位 すみれSeptember Love 一風堂 

(2位 45.2万枚 作詞 竜真知子 作曲 土屋昌巳 1982年)

のちにSHAZNAがカバーしてまたヒットした曲です。ファッションやメイクも含めた土屋昌巳の異才ぶりがクローズアップされた曲の詩を竜真知子が担当したわけですが、これがまたつかみどころのない個性的な詩なのですよね。こういう詩を楽曲に合わせてさらりと書けるというところに、プロの作詞家だなと感心させられるのです。

 

3位 あずさ2号 狩人 

(4位 51.2万枚 作詞 竜真知子 作曲 都倉俊一 1977年)

狩人にはデビューから3曲続けて、この曲と『コスモス街道』『若き旅人』で作詞をしている竜真知子。なかでもデビュー曲のこの曲は、みんなが歌える大ヒットとなり、狩人の最大の代表曲となったわけです。旅情を誘うような歌詞は日本人の心に強く訴えるものがあったのでしょう。当時子供だからよくわからなかったですが、今改めて読むと、なかなか良い歌詞です。

 

2位 速達 ばんばひろふみ 

(34位 9.2万枚 作詞 竜真知子 作曲  馬場章幸 1982年)

思ったほどは売れなかった曲ですが、曲としてはなかなか良い曲です。結婚を決意した娘が父親に相手を紹介するための手紙のやりとりを歌った歌詞になっていて、ちょっとしたドラマか映画を観ているようです。竜真知子の歌詞のふり幅が大きくて感心しきりです。

 

1位 Mr.サマータイム サーカス 

(1位 65.2万枚 作詞 竜真知子 作曲 M・フュガン 1978年)

ある夏に堕ちてしまった禁断の恋を歌った大人の恋愛ソングです。「サマー」といいながらも、ゾクッとするような冷たい熱気を感じる独特の詩の世界を作り出していて、竜真知子にとってのおそらく最大のヒット曲ではないでしょうか。サーカスの4人の美しくも怪しいハーモニーが詩の世界を見事に表現し、聴けば聴くほど味わいを感じる名曲といっていいでしょう。

 

【その他のアーティストへの作品】

『黄昏ダンシング』麻倉未稀、『もう一度逢えますか』伊藤つかさ、『れんげ草の恋』岩崎宏美、『夢伝説』高田みづえ、『サニーサイド・コネクション』三原順子、『わたしのハートはストップモーション』桑江知子などがあります。