80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.14

 

タケカワユキヒデ(武川行秀)(作曲家)

ゴダイゴのボーカルとして数々のヒット曲を送り出したタケカワユキヒデですが、他のアーティストにもいろいろと曲を提供していました。特定のアーティストにべったりということはなく、いろいろなアーティストに対してスポット的に1曲だけという形での関わり方が多いようです。歌い方とは違って作風には、いかにもタケカワユキヒデだというくせがあまりなく、印象としてはオーソドックス。それだけにどのアーティストにもはまるけれど、あまり強烈なインパクトは残せていない気はします。

 

タケカワユキヒデ作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 SOLITUDE 中森明菜 

(1位 33.6万枚 作詞 湯川れい子 作曲 武川行秀 1985年)

かなり地味目な曲で、中森明菜でなければシングルにはしないでしょう。とはいってもきっちりと1位を獲得。

 

9位 約束 相川絵里 

(59位 1.1万枚 作詞 箙真理子、麻生圭子 作曲 タケカワユキヒデ 1990年)

けっして悪い曲ではないですが、とても地味な作品です。ところが売れてもいないのに、なぜか春の選抜甲子園の入場行進曲に選ばれたのですよね。行進曲としてもあまり相応しいようには思えなかったのですが…。

 

8位 日付変更線 中村雅俊 

(64位 1.5万枚 作詞 阿久悠 作曲 武川行秀 1985年)

中村雅俊らしい重くどっしりとした楽曲です。日産のCMソングにもなりましたので、サビの部分はわりと聴き覚えのある人も多いのではないでしょうか。武川行秀と漢字表記での提供となっていますが、楽曲自体はあまりくせがなく、ただ雅俊氏のくせのある歌い方によって独特の雰囲気を作り出しています。その意味ではボーカルとのバランスは良いのかもしれません。

 

7位 ジャックナイフの夏 堀ちえみ 

(12位 3.7万枚 作詞 売野雅勇 作曲 武川行秀 1986年)

売野雅勇のとんがった歌詞がのっかると、また違った雰囲気にはなりますが、基本的にはザ歌謡曲的なメロディーです。堀ちえみにとってもセールス的に落ちてきた時期であり、どっちにいっていいのか迷いが感じられます。

 

6位 旅立ちはフリージア 松田聖子 

(1位 20.9万枚 作詞 Seiko 作曲 タケカワユキヒデ 1988年)

タケカワユキヒデ作曲の歌で1位をとったのが聖子と明菜というのが面白いところです。ちなみにゴダイゴでは4曲が2位まで行きましたが、1位には届いていません。1987~1989年の松田聖子は曲ごとに作曲家を変えている時期でして、土橋安騎夫、大江千里、奥居香らに挟まれて、タケカワユキヒデが起用されています。松田聖子の曲の中では、1位を獲得しながらも、あまり語られることの少ない地味な存在ではありますが…

 

5位 Meet Me 光GENJI 

(6位 14.1万枚 作詞 タケカワユキヒデ 作曲 タケカワユキヒデ 1992年)

勢いが落ちてきていたころの光GENJIのシングル曲で、作詞もタケカワユキヒデが担当しているという稀有な例でもあります。彼らしいアップテンポで元気が出るような作品にはなっていると思います。良くも悪くも無難な感じ。

 

4位 あなたの勇気になりたい 持田真樹 

(30位 3.8万枚 作詞 田辺智沙 作曲 タケカワユキヒデ 1995年)

テレビドラマ「高校教師」で話題になって期待された持田真樹でしたが、歌手としてはブレイクできませんでした。ただその中でも一番売れたのが5thシングルのこの曲。持田真樹の透き通った声に合うような衒いのない素直なメロディーですが、これがなかなかいい曲でして、それもあって自身最高の売上になったのかもしれません。

 

3位 STAR 浅香唯 

(9位 8.2万枚 作詞 有川正沙子 作曲 タケカワユキヒデ 1987年)

デビュー当初はコミカルな路線で迷走していた浅香唯ですが、ようやく知名度を得て、オリコントップ10に入ってきたのがこの曲。どちらかというと音の重い地味めな曲ではありますが、3曲ほどこの路線を続け、順位とセールスを着実に上げていくことになります。

 

2位 渚のファンタシイ 酒井法子 

(4位 6.0万枚 作詞 竹花いち子 作曲 タケカワユキヒデ 1987年)

デビュー曲から順調なスタートを切ったのりピーのセカンドシングルをタケカワユキヒデが手掛けています。ポップで可愛らしいど真ん中のアイドルソングということで、タケカワユキヒデとしては貴重な作品。当時の酒井法子の素朴で可愛らしい魅力がちゃんと表現できていて、職業作曲家らしい一曲だと思っています。

 

1位 j・e・a・l・o・u・s・y 池田聡 

(14位 7.8万枚 作詞 湯川れい子 作曲 タケカワユキヒデ 1987年)

『モノクローム・ヴィーナス』の次のシングルということで注目されていましたが、これが切なすぎるほどの良い曲で、大好きな歌です。いまいちセールスは伸びなかったですが、まったくゴダイゴの影さえみせない、もちろんタケカワユキヒデが作曲したなんて、言われてもわからないほど。こんな曲もかけるのは、ちょっとイメージにはなかったです。湯川れい子の歌詞にもぴったりとはまり、伸びのある池田聡のボーカルもきちんと生かされて、タケカワユキヒデの提供曲の中ではベストでしょう。