80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.12

 

久保田利伸(作詞・作曲家)

若い時はアイドルなんかにもちょくちょく曲を書いていたのですよね。いわれないと久保田利伸が作曲したって想像できないような曲もあって、実は引き出しは広そう。その作曲業で結果を残して、自らのブレイクにもつながったというところもありますかね。他のアーティストへの提供はそう数は多くないだけに貴重です。80年代の曲は3曲だけですが、いずれも印象的なものになっています。

 

久保田利伸作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 会いたい、会いたい、会えない。 KinKi Kids

(1位 19.7万枚 作詞 久保田利伸・森大輔 作曲 久保田利伸 2018年)

久保田利伸によるKinKi Kidsへの曲の提供は2作目。二人の歌をじっくりと聴かせるタイプのミディアム・ラブバラードです。田原俊彦、TOKIO、SMAPとジャニーズとのタッグも時々行っていますが、その中では一番じっくりと歌いこむナンバーとなっています。

 

9位 The Red Light  KinKi Kids 

(1位 21.7万枚 作詞 久保田利伸・森大輔 作曲 久保田利伸 2017年)

『会いたい、会いたい、会えない。』に先立つ、KinKi Kidsと久保田利伸が初めてタッグを組んだシングルですが、これがまた難しい歌なのです。KinKi Kidsとしてもよりいろいろなタイプの大人の歌に挑戦していきたいという意図があったのでしょう。本人が歌っても合いそうな感じはします。

 

8位 美女と野獣 荻野目洋子 

(20位 3.1万枚 作詞 川村真澄 作曲 久保田利伸 1991年)

久保田利伸らしいファンキーでリズミカルな曲ですが、メロディーとしては結構難しいです。トップ10入りほ連発していた頃の荻野目ちゃんからは少し経過して下降線を辿っているころということもあってセールス面では伸び悩み。もっとも次のシングル『ねえ』が20万枚以上売っているだけに、商売としては久保田利伸の起用は失敗に終わった感じです。

 

7位 そっと きゅっと SMAP 

(1位 13.9万枚 作詞 麻生哲朗 作曲 久保田利伸 2009年)

ゆったりとしたテンポで穏やかに聴かせるナンバーで、KinKiの2曲もそうでしたが、けっして売れ線を狙っているような作りではないです。とはいってもメンバーの歌唱の個性を生かすような構成になっていて、SMAPらしさが“きゅっと詰まったような作品ではあります。

 

6位 ありがとう…勇気 TOKIO 

(3位 19.4万枚 作詞 赤坂泰彦 作曲 久保田利伸 1996年)

こちらはKinKi KidsやSMAPへ提供したやや難しい印象の作品とは異なり、ポップで乗りの良いアイドルらしい一曲になっています。印象的なサビ《Halleluiah Go Go!》に久保田利伸のファンキーな雰囲気がにじみ出ているようにも思います。

 

5位 海まで5分 森高千里 

(20位 3.1万枚 作詞 森高千里 作曲 久保田利伸 1998年)

森高千里36thシングルで久保利伸を起用。あまり森高千里のイメージと久保田利伸が重ならないので、面白い組み合わせだとは思いますが、作詞を森高千里が行っていますので、結果として森高の世界にしっかりとなっています。

 

4位 夢 with You 本城裕二(三上博史) 

(3位 39.6万枚 作詞 久保田利伸 作曲 久保田利伸 1993年)

三上博史がドラマの役名でリリースした楽曲で、そのドラマの劇中歌でもあり、また久保田利伸自身も歌った競作が同じドラマのし主題歌として、最高5位で34.4万枚を売上げました。心地よいスローバラードで、どちらも似たような売上になりました。

 

3位 It‘s BAD 田原俊彦 

(4位 11.5万枚 作詞 松本一起 作曲 久保田利伸 1985年)

久保田利伸の提供曲としてはわりと知られているのがこの曲。久保田利伸の名前が世間的にはほとんど知られていない当時であり、新進作曲家がトップアイドルのトシちゃんのシングルに起用されたというぐらいの感覚でしたが、今となっては、これが大きなきっかけだったのでしょう。曲自体も久保田利伸らしさがあふれてくるようなリズミカルでファンキーな一曲となっています。

 

2位 虹色スキャンダル 松本典子 

(28位 2.1万枚 作詞 湯川れい子 作曲 久保田利伸 1986年)

それまで正統派アイドルとして王道ソングを歌ってきた松本典子でしたが、2年目に入り、それを崩しにかかってきた最初の曲である4thシングルがこの曲です。松本典子にとっては初めてのアップテンポの曲で好き嫌いは分かれたかもしれませんが、松本典子の新しい面を引き出したという点では、意味のあるシングルになったのではないでしょうか。当時はあまり好きではなかったこの曲ですが、あとになって聴くと、彼女のかわいらしさがあふれ出ていて、この曲、実はいい曲じゃんって感じなのです。

 

1位 華麗なる賭け 田原俊彦 

(1位 12.0万枚 作詞 吉元由美 作曲 久保田利伸 1985年)

実は『Its BAD』の1つ前のシングルも久保田利伸が手掛けていて、オリコン1位も達成しています。久保田利伸が最初に世に出た作品といってもいいかもしれません。『Its BAD』に比べてメロディー重視で作られた印象で、田原俊彦にとってはかなり挑戦の意味が強かった『Its BAD』に対し、売れ線狙いの一曲といった感はあります。そういう意味では必ずしも久保田らしくはないのですが、曲は抜群にカッコいいです。個人的には久保田利伸の提供曲としてはナンバー1です。