80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.9

 

水谷公生(作曲家)

男性アイドルを中心に、情熱的な元気系の曲が得意なイメージの作曲家です。そんなところにはまったのが、一番多くのヒットに携わっている西城秀樹だったのでしょう。自身のベースはギタリストであり、言い方は悪いですが、よくあるバンド崩れからの作曲家という形ではありますが、作曲業と並行して、ギタリストとしても精力的に活動していたようです。作詞竜真知子という組み合わせが多いのが興味深いところ。

 

水谷公生作曲作ベスト10

★=80年代発売

 

10位 べらんめぇ!伊達男 シブがき隊 

(2位 14.5万枚 作詞 森雪之丞 作曲 水谷公生 1984年)

水谷龍緒名義での作曲となっていますが、シブがき隊のシングルには2曲提供。その1つがこの曲です。この頃のシブがき隊は曲のコンセプトに和的なものを持ってきている時期で、この曲もその流れにある作品でしょう。そんなコンセプトに合うようにという感じのメロディー作りだったのではないでしょうか。

 

9位 17才 河合奈保子 

(11位 19.1万枚 作詞 竜真知子 作曲 水谷公生 1981年)

あと一歩で初のトップテン入りに迫った4thシングルは2回目の水谷公生の起用。当時のアイドルによくありがちな年齢がタイトルになった正統派の等身大ソング。結果的に、次の5thシングルでのブレイクへつなぐ役目を果たしました。

 

8位 俺たちの時代 西城秀樹 

(6位 15.2万枚 作詞 熊野昌人、たかたかし 作曲 水谷公生 1980年)

ヒデキの元気系のシングルです。西城秀樹への提供は他の歌手への提供に比べ、多くなっていますが、明るめの楽しい曲を提供することが多かったようです。その曲も『ヤング・マン YMCA』で印象付けられ秀樹のイメージを受け継ぐものになっているのではないでしょうか。

 

7位 れんげ草の恋 岩崎宏美 

(19位 9.7万枚 作詞 竜真知子 作曲 水谷公生 1981年)

草花シリーズ3部作の3作目。いずれも作詞、作曲を別の人が担当しているというのが面白いところ。この曲はとくに情熱的な悲しみが強く伝わってくる作品で、水谷公生の引き出しの広さを認識させられます。

 

6位 瞳にピアス 佐野量子 

(48位 1.3万枚 作詞 秋元康 作曲 水谷公生 1986年)

聞いただけで、耐え難い悲痛を抱いてしまうような無謀なタイトルの曲ですが、曲自体は切なげな失恋ソングで、水谷公生の提供曲の中ではやや異質な感はあります。佐野量子にはもう一曲『教科書のイニシャル』でも作曲を担当しています。

 

5位 ヤング・ボーイ 河合奈保子 

(13位 18.9万枚 作詞 竜真知子 作曲 水谷公生 1980年)

新人賞レースを争ったのがだいたいこの曲。順位のわりに枚数が出ていて、初期の明るく素直で元気な河合奈保子のイメージを決定づけたような一曲になりました。

 

4位 ホップ・ステップ・ジャンプ 西城秀樹 

(2位 36.9万枚 作詞 山崎光 作曲 水谷公生 1979年)

大ヒット曲『ヤング・マン YMCA』の次のシングルに選んだのは、同系統のカバーではないオリジナルソング。作曲を任されたのは水谷公生。新曲として初めて聴いた時に、前作を意識していたのは、小学生でも明確にわかるほど。水谷にとっては、見事に注文に応えたという感じではなかったでしょうか。

 

3位 リトル・ガール 西城秀樹 

(9位 19.5万枚 作詞 竜真知子 作曲 水谷公生 1981年)

ガール3部作の第1作め。それぞれ作家も違い、曲の個性も異なっていますが、今作はさわやか系のラ甘いブソングといったところ。派手な作品ではないですが、休日っぽい穏やかな雰囲気が好きで、秀樹に対する水谷公生はやはり明るめの曲の相性が良いようです。

 

2位 ZOKKON命 シブがき隊 

(3位 24.8万枚 作詞 森雪之丞 作曲 水谷公生1983年)

シブがき隊へ提供した曲の作詞はどちらも森雪之丞。そして編曲も水谷公生(水谷龍緒)が担当しています。この曲は最もシブがき隊らしい曲だと個人的には思っていて、イントロのヘリコプターの音の後、ドラムのドッドッ、ドッドッの音が次第にテンポを速めていくところがとにかくカッコいい!シブがき隊のやんちゃ感が如実に表現された佳曲です。

 

1位 悲しき友情 西城秀樹 

(6位 27.4万枚 作詞 山川啓介 作曲 水谷公生1980年)

メロディーの展開といい、歌詞の内容といい、ドラマティックで予想のつかない、まるで映画を観ているような感覚で聴ける一曲となっています。そのドラマティックなメロディラインに、秀樹の熱唱が見事にはまり、1つの世界を作り上げていて、個人的に大好きな作品。カラオケで歌うとまた格別。水谷公生の最高傑作とします。

 

【その他の主な作品】

西城秀樹にはほかに『エンドレス・サマー』『南十字星』なんかも提供しています。シブがき隊には『演歌なんて歌えない』があり、男性アイドルを得意としていたところがあるのでしょうか。