80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.4

 

西木栄二(作曲家)

それほど著名な作曲家ではないですが、最初はグループで活動していて、そこから作曲・編曲家へ転身したようです。実績としては、本田美奈子と酒井法子この2人に対して、複数のヒット曲を提供しています。特に本田美奈子に対しては、彼女が方向性を模索している時期に、タイプの違う作品を作曲しています。

 

西木栄二作曲作ベスト10

★=80年代発売

 

10位 そろそろ・ソワソワ ベリーズ 

(ランク外 作詞 飯塚敦子 作曲 西木栄二 1985年)

3人組アイドルベリーズにデビュー曲を提供しましたが、どこかあか抜けない3人で、案の定売れませんでした。この曲はアイドルソングらしいポップな曲ではあったのですが、タイトルと歌詞からして、正攻法では勝負できない感が漂っていて、なんか切ないです。

 

 

9位 淋しがりやさ心はいつも 小西博之 

(75位 1.0万枚 作詞 荒木とよひさ 作曲 西木栄二 1985年)

コニタンもなんとシングルレコードを2枚発売していて、その1曲を西木栄二が提供しています。しかもオリコントップ100に入っているのでさらにびっくり。楽曲は素朴なコニタンの歌唱にぴったりの素朴なメロディーの作品になっています。

 

8位 熱い瞳のままで 真田広之 

(24位 5.1万枚 作詞 大津あきら 作曲 西木栄二 1982年)

真田広之は1980年代前半においては、実はコンスタントに歌手活動していて、セールス的にもそれぞれそこそこの実績を残しているのです。その中の一曲を西木栄二が手掛けているわけです。硬派でさわやか、そんなイメージにあった楽曲で、メロディーもすがすがしさを感じさせます。

 

7位 火の接吻 田中久美 

(59位 1.5万枚 作詞 森雪之丞 作曲 西木栄二 1985年)

ホリプロスカウトキャラバン優勝の肩書を引っ提げてアイドルデビューした田中久美でしたが、4枚のシングルだけリリースしてフェイドアウト。その4枚目のシングルを作曲したのが西木栄二で、田中久美にとってはオリコン最高順位となっています。曲としては60年代を意識したレトロっぽいメロディーになっていて、西木栄二の職業作曲家的要素を強く感じます。

 

6位 都会人 沢田聖子 

(76位 1.9万枚 作詞 売野雅勇 作曲 西木栄二 1984年)

一時期沢田聖子が好きで、アルバムも買ってよく聴いていましたが、この曲は沢田聖子にしてはわりとテンポのあるロックテイストの作品となっています。作詞に売野雅勇を起用しているところからも、それまでのイメージを変えようと模索しているようなところがうかがえ、そんな意図もあって西木栄二が起用されたのではないでしょうか。

 

5位 悲しみSWING 本田美奈子 

(3位 6.2万枚 作詞 小林和子 作曲 西木栄二 1987年)

ハードロック志向が強くなりかけていた本田美奈子でしたが、突如スウィングに転じたのがこの作品。音楽的にどちらへ行こうか迷いが感じられるような時期で、そんなころに起用されたのが西木栄二。いろいろと試行錯誤していたのではないでしょうん。枚数的には伸びませんでしたが、最高順位はトップ3は確保。

 

4位 ノ・レ・な・いTeen-age 酒井法子 

(4位 6.5万枚 作詞 森浩美 作曲 西木栄二 1987年)

酒井法子の3rdシングルに起用された西木栄二。1st、2ndと可愛い女の子というイメージの明るい曲でスタートしたあと、若干のメッセージ性を含めながらのせつない系青春ソングで新しい面を見せようとしたのがこの作品。どアイドル的作品から、酒井法子の定番となっていく応援ソングへの繋ぎの役目を果たしている一曲といえそうです。

 

3位 夢冒険 酒井法子 

(4位 6.9万枚 作詞 森浩美 作曲 西木栄二 1987年)

3rdシングルから連続して、西木栄二が作曲を担当。テンポは早くノリは良いのですが、前作同様に切なさを含んだマイナー楽曲となっています。ただ続けて作詞を担当した森浩美の詩は、より応援ソング的な要素が強くなっていて、5th『GUANBARE』以降の明るく元気な応援ソングへの起点になっているようなところもありますね。

 

2位 HAPPY AGAIN 酒井法子 

(4位 8.7万枚 作詞 森浩美 作曲 西木栄二 1988年)

酒井法子のシングルは3作目ですが、応援ソング路線が定着した中で、前2作とは違って元気いっぱいののりピーをアピールするような明るいメロディーになっています。『GUANBARE』『1億のスマイル』『HAPPY AGAIN』『ホンキをだして』これら4曲は同一路線で似たイメージなのですが、実は作曲はみんな別の人が担当しているというのが面白いです。

 

1位 孤独なハリケーン 本田美奈子 

(2位 7.9万枚 作詞 小林和子 作曲 西木栄二 1987年)

西木栄二作曲のシングルの中では最高順位の2位を獲得。音的にはわりとハードで、本田美奈子のロック志向がだんだんと強くなってきているのがうかがえるような一曲なっています。これがやがてMINAKO with WILD CATSに繋がったのでしょう。歌唱もそれまでのやや甘い感じから、声を強く張って歌っているようなところもあり、当時としては違和感を持ったファンもいたのではないでしょうか。ただ楽曲としてはサビできちんと盛り上げてくれますし、メロディラインも個人的には好きですし、アレンジや歌唱がまた違ったら、異なる印象になったのではないかとも思っています。