80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.3
玉置浩二(作曲家)
自ら所属する安全地帯やソロ楽曲の作曲以外にも、ちょくちょくと他のアーティストに曲を提供してきた玉置浩二。そういった曲を聴いてみると、そのメロディメーカーとしての才能にも驚かされます。安全地帯や自身のソロ曲とはまったく違うイメージの曲も多くて、特に初期の提供曲は、この曲玉置浩二が作っているの?なんてびっくりすることもしばしば。ランキングの方も実に幅広く、アイドル、女優さん、稀代のボーカリスト、そして演歌歌手まで。恐るべし作曲家玉置浩二。
玉置浩二作曲作 ベスト10
★=80年代発売
10位 胸の振子 薬師丸ひろ子
(8位 5.0万枚 作詞 伊達歩 作曲 玉置浩二 1987年) ★
このあと夫婦となる薬師丸ひろ子へ提供した楽曲です。薬師丸ひろ子は多くのアーティストの曲を歌ってきていましたが、玉置浩二もそんな取り組みの一環といったところでしょうか。透明感のある薬師丸の声に合うような。落ち着いてゆったりとして作品になっています。
9位 名前のない空を見上げて MISIA
(9位 作詞 MISIA 作曲 玉置浩二 2004年)
この中で唯一の2000年代。MISIAの歌唱力を生かすべく、シンプルでゆったりとしたメロディーでじっくりと歌を聴かせるナンバーになっています。コーラスで玉置浩二自身も参加していて、また後にセルフカバーもしているということで、この中で一番玉置浩二らしさが現れた作品だと思います。
8位 哀しみのスパイ 小林麻美
(23位 8.4万枚 作詞 松任谷由実 作曲 玉置浩二 1984年)★
大ヒット曲『雨音はショパンの調べ』の次にリリースしたシングルということで注目度も高く、枚数的にはそこそこさばけています。ささやきボイスの小林麻美がもつ謎めいた雰囲気をさらに演出するようなかっここいい曲で、メロディメイカーとしての才能をいかんなく発揮。
7位 無言坂 香西かおり
(10位 37.4万枚 作詞 市川睦月 作曲 玉置浩二 1993年)
演歌歌手にも曲を提供しているのですね。曲自体はさすがに演歌というよりは歌謡曲といった趣で、香西かおりにとって唯一のオリコントップ10入りの曲となっています。枚数的にもかなりの枚数を売り上げて、それこそ玉置浩二の引き出しの広さを改めて認識させる一曲となりました。
6位 DISTANCIA~この胸の約束~ 杏子
(18位 19.0万枚 作詞 杏子 作曲 玉置浩二 1992年)
バービーボーイズの解散後、ソロとしての道を探る杏子の第2弾シングルは、杏子のソロシングルとしては最大のヒットとなっています。ハスキーな杏子の声を生かしたかっこいい曲に仕上がり、特にサビの盛り上がりはゾクッとするような色気を感じさせます。
5位 愛なんだ V6
(1位 58.5万枚 作詞 松井五郎 作曲 玉置浩二 1997年)
V6にとって最大のセールスとなったシングルがこの曲で、玉置浩二がそれに貢献しているのです。玉置浩二の中のファンキーな部分が表現された楽曲となっていて、作詞も安全地帯での相棒松井五郎が担当ということもあって、伸び伸びとした楽しさがあふれています。玉置浩二の他のアーティストへの提供曲の中で最も売れた作品でもあります、
4位 白い炎 斉藤由貴
(5位 19.9万枚 作詞 森雪之丞 作曲 玉置浩二 1985年) ★
『卒業』で鮮烈なデビューを果たした斉藤由貴の2ndシングルは玉置浩二が作曲。話題になったドラマ「スケバン刑事」主題歌ということで、ドラマティックで重めの音になっています。この曲は言われないと玉置浩二だとなかなかわからないほど、ドラマになじんでいるのではないでしょうか。
3位 サザン・ウィンド 中森明菜
(1位 54.4万枚 作詞 来生えつこ 作曲 玉置浩二 1984年)★
南国リゾートでのアバンチュールを描いた中森明菜にしては軽い歌詞なのですが、またメロディーが見事に詞にマッチした南国気分あふれるものになっています。これぞメロディメイカー玉置浩二としての振れ幅の広さを最大限に見せつけた作品といっていいでしょう。個人的には中森明菜のシングルの中で最も好きな曲でもあります。
2位 恋 石川ひとみ
(86位 0.8万枚 作詞 岡田冨美子 作曲 玉置浩二 1983年)★
セールス的には全然売れていないのですが、後に評価が高まった玉置浩二の提供曲の中でも一二を争う名曲といっていいでしょう。この曲の特筆すべきは、安全地帯『ワインレッドの心』の発売前に発表されているということで、まだ無名の玉置浩二を起用したという点でしょう。とにかくメロディーが素敵で、何度聴いても飽きることがありません。のちに小柳ルミ子も『乱』というタイトルで歌詞を変えてカバーしていることからも、この曲が認められていたことがわかります。早すぎた名曲といえるでしょう。
1位 悲しみよこんにちは 斉藤由貴
(3位 28.9万枚 作詞 森雪之丞 作曲 玉置浩二 1986年)★
春にぴったり、元気がわいてくるような明るく爽快、それでいて過去の恋を振り返って思う切なさを含んだ素晴らしいメロディーとなっています。斉藤由貴とは『白い炎』に次いで2曲目の楽曲提供となったのですが、曲調もガラリと変えてきて、このあたりのふり幅の広さは見事としか言いようがありません。提供した曲の中でも最もアイドルソングに相応しい作品に仕上がっていて、作曲家玉置浩二の最高傑作といいたいです。
【その他の主な作品】
上記で触れた以外には、『NaNaNa(太陽なんていらねぇ) 』TOKIO 6位 3.9万枚、『夢だけ見てる』川越美和(29位 4.6万枚)などがあります。