80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.283

 

ビー・バップ・パラダイス  ビー・バップ・合唱団

作詞 都志見隆

作曲 都志見隆

編曲 都志見隆

発売 19867

 

 

 

映画のために、仲村トオル、清水宏次朗、宮崎ますみの3人で結成された企画ユニットによってリリースされた2曲のうちの最初の1

 

 1986年公開の映画「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌」の出演メンバーの仲村トオル、清水宏次朗、宮崎ますみの3人による企画ユニットがビー・バップ・合唱団です。合唱団とはいっても、奇麗なハーモニーを聴かせるわけではなく、ユニット名として「合唱団」とついているだけで、中身は3人がかわるがわる歌っているだけの企画ソングです。しかしそこは当時絶大な人気を誇ったビー・パップ・ハイスクールシリーズ、この曲はオリコン最高8位、売上14.2万枚というなかなかの実績を残したのです。

 

 ところで「ビー・パップ・ハイスクール」といえば中山美穂ということで、「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌」にも中山美穂は出演していました。なら、なぜ参加していないの?ということになりますが、アイドル歌手としてもヒット曲を残していた中山美穂は別格だったのでしょう。「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌」では主題歌『JINGI愛してもらいます』を担当しているので、残りの3人で何かということにでもなったのでしょうかね。

 

清水宏次朗については、以前よりソロの歌手としても活動していましたが、この時期はまだこれといったヒット曲もなく、仲村トオルと宮崎ますみは当時歌手としては素人。仲村トオルがソロシングルを発売するのは翌年のことです。そんな3人でしたが、俳優としては人気上昇中で、これは商売に結び付けるしかないということで、リリースしたシングルが結果そこそこ売れたわけですから、レコード会社としてはシメシメといったところだったかもしれません。

 

実際の歌を聴くと、やはり歌手でもあった清水宏次朗が中心。歌唱力を考えても当然でしょう。それから意外に宮崎ますみの歌もなかなかで、紅一点ですから結構目立つのですが、ソロパートも含めて大健闘といっていいでしょう。ただ仲村トオルの歌唱がいかにも頼りない…。まあ、本業ではないし、企画物だから仕方ないでしょうと、この時点ではそう思うことができたのですが、翌年にはソロ曲やデュエット曲をリリースするとなると、正直人気さえあれば誰でもいいのかという思いにはなりますね。実際にソロシングルやデュエット曲も結構売れちゃってますから…。

 

さて「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌」の歌詞はというと、ツッパリ不良の男女3人の掛け合いになっていて、

《ヒロシ》《なんだよトオル》《また二人でバカやってんのかよ》

《ねえデートしてよ》《うるせぇーんだよ 歌ちゃんと歌えよ》

ってな具合で、ふざけ合っているというか、じゃれ合っているというか、そんな感じなのです。《剃り入れてヤキ入れて》《ガンとばして》《けんかに勝っても負けても》《シャバイよ》ときっちりと不良言葉も織り込んでいて、やはり歌詞も映画あってこその歌詞といったところでしょう。ただこの歌詞専業の作詞&作曲家の都志見隆が作曲、編曲と併せて受け持っているところを考えると、これはこれで真面目に取り組んではいたのでしょうね。

 

 ビー・バップ・合唱団としてはこのあと19872月に2枚目のシングル『ビー・バップ・シンドローム』をリリースし、こちらもオリコン最高9位、売上10.3万枚の実績を残しました。この手の企画物が2曲続けてトップ10に送り込んだというのは珍しいことで、それだけ当時のビーバップ人気は絶大だったということです。