80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.227

 

涙をふいて  三好鉄生

作詞 康珍化

作曲 鈴木キサブロー

編曲 鈴木木サブロー、ジェフ

発売 19828

 

 

 

突然ヒットチャートに現れた暑苦しいオッサン歌手の、栄養ドリンクのCMソング

 

 中外製薬の栄養ドリンク「新グロモント」のCMソングに起用されたことをきっかけに、今回取り上げる『涙をふいて』はスマッシュヒットとなり、オリコン最高17位、売上11.9万枚の実績を残しました。当時のテレビのランキング番組で、20位ギリギリぐらいのところに何週かはいってきて、その都度短い映像で紹介されているわけなのですが、その歌っているオッサンがなんと暑苦しいこと。その暑苦しいおじさんが三好鉄生というわけだったのですね。当時30歳だったのですが、そのわりに老けた感じもあって、中学生にとっては、まあ、いいオッサンでしたね。もっとも暑苦しいといっても、髪は短くスポーツ刈ぐらいの長さ。暑苦しいと感じたのは、そのルックスと歌い方に因るところが大きかったかもしれません。一体三好鉄生とし何者なのかと、いろいろと思ったわけです。どうやら作詞作曲もプロの作家がしているようだし、そもそもデビューしたのもこの年1982年。いやー、結構謎の存在でしたね、三好鉄生という歌手は。

 

 それでもって『涙をふいて』ですが、この歌ってちゃんと聴くと、実はちゃんとした歌なのですよね。

それも大人の歌。まあ、30歳過ぎてデビューした大人の歌手が歌っているわけですから、中高生のガキンちょをターゲットにするわけもなく、アクの強めのボリューム感あるボーカルできちんと聴かせる、そんな歌になっています。このあたりはヒット曲を多数輩出している康珍化と鈴木キサブローによる作詞・作曲された曲ですから、ぬかりはありませんね。

 

 簡単に言ってしまえば、再会した昔の恋人に、これからはもう離さないよと愛を誓うラブソングです。

《あの日夢をさがして オレたち愛を捨てた二人さ》

と、夢と恋愛とどっちをとるの?と選択を迫られて離れ離れになった二人が、運命のいたずらか

《二度とめぐり逢うとは思わなかった この街かどで》

と再会を果たすわけですが、

《あれからつらい暮らしをしたね》

《やせたお前の肩を この手に抱けば すべてがわかる》

とその間の彼女の苦労を思うと、

《迷いつづけた人生 今日からお前 離しやしない》

と二度と別れないことを誓うというわけですね。

 

今聴けば、この曲の良さは多少なりともわかるのですが、中高生が聴いても、暑苦しいオッサンが野太い声で歌いあげてるだけの曲に聴こえてしまうところは仕方ないのかもしれません。当時ヒット曲を録りまくっていた私のカセットテープの中に、この曲は入っていませんでした。結局『涙をふいて』はチャートのトップ10には届きませんでしたが、それでも三好鉄生としては一番のヒット曲となり、三貴哲成と表記を変えた今でも、歌手としての名刺代わりの曲になっているわけです。