80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.225

 

お久しぶりね  小柳ルミ子

作詞 杉本真人

作曲 杉本真人

編曲 梅垣達志

発売 19837

 

 

 

70年代のスター小柳ルミ子が80年代になって復活、まさに「お久しぶり」のヒットとなった大人の女の一曲

 

 小柳ルミ子は19714月に18歳でデビューし、デビュー曲『わたしの城下町』がいきなりのオリコン1位のミリオンヒットをはなったことで、一気にスター歌手の仲間入りを果たしました。アイドル的な存在でありながらも、歌をちゃんと歌える歌手として、その後もヒット曲を連発。デビュー曲以外に『瀬戸の花嫁』(19724)『京のにわか雨』(19728)『冬の駅』(197410)がオリコン1位を獲得し、名実ともに人気歌手であったのです。ただ19778月発売の『星の砂』(オリコン2位、売上53.5万枚)を最後に、シングルチャートの上位からは遠ざかっていったのです。

 

 ところが80年代に入って何年かたった1983年、6年ぶりにヒットチャート上位に戻ってきたのが今回とりあげた『お久しぶりね』でした。この曲はオリコン最高8位、売上39.7万枚というヒットとなり、テレビのランキング番組にも登場するなど、小柳ルミ子健在を示すことになったのです。当時中学生の私からすると、ずっと大人の小柳ルミ子で、この『お久しぶりね』のヒットについては、正直なところ、なぜ売れるのかピンとこない部分はありました。しかしながら、年を重ねたかつてのファンが大人になって、この曲が心に響いたのでしょうね、若者に媚びずに、ターゲットをアダルトに据えて勝負した結果が、大ヒットに繋がったのでしょう。まさに『お久しぶりね』は大人の歌だったわけです。それにタイトルがまた『お久しぶりね』と、これがまた自虐的にも聞こえて、なにか潔ささえ感じてしまったということもあるかもしれません。

 

 作詞作曲は杉本真人。のちに自らが歌唱した『吾亦紅』が大ヒットして有名になりましたが、これは2007年から2008年にかけての話、当時は作詞作曲家としての活躍の方が主でした。狩人『国道ささめ雪』、渡哲也・いしだあゆみ『わかれ道』などが代表曲(ともに作曲のみ)です。そんな杉本真人による『お久しぶりね』の歌詞ですが、簡単に言うと、久しぶりに昔の恋人に会った女の複雑な気持ちを綴ったものになっています。まあ、ガキんちょの歌ではないですね、大人の歌です。中学生に理解できるはずもありません。

 

1コーラス目では

《それじゃさよなら 元気でと 冷たく背中を向けたけど》

と成長した大人の女性を装って、さらりと別れを告げたものの、

《今でもほんとは好きなのと つぶやいてみる》

と実は未練ありあり。そんな複雑な女心の行き場を見つけるための結論が

《もう一度 もう一度 生まれ変わって もう一度 もう一度 めぐり逢いたいね》

と来世に賭けることで、自分を納得させるわけですね。2コーラス目もこれが電話での会話に変わるだけ。

《それじゃさよなら これっきりと 冷たく電話を置いたけど》

のクールにふるまう裏で

《涙がしらずにあふれ出す どうかしてるね》

と一人の部屋で涙しているわけで、こんな女心わかるでしょうか?と、キャリアを重ねて貫禄のついた小柳ルミ子が歌うわけなのですよ。

 

 このヒットで再び「小柳ルミ子ここにあり」の印象を強くさせたことで、この数年後、当時は13歳年下の無名のダンサーと結婚し、大いに話題を集めました。実はこのダンサーの大澄賢也、私の高校の2年先輩にあたります。面識はないけれど、私が1年生の時の3年生ということで、校内のどこかですれ違っていたでしょうね。高校の同級生から「小柳ルミ子の旦那って、高校の2年先輩だってよ」と聞いた時には、本当に驚いたものです。嫁が小柳ルミ子?13歳年上?…あり得ない…って感じでしたが…。