80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.112

 

嵐の伝説  クラッシュギャルズ

作詞 森雪之丞

作曲 中崎英也

編曲 大谷和夫

発売 19851

 

 

 

70年代がビューティー・ペアなら80年代は彼女たち、女子プロレスから飛び出したコンビの人気を象徴する一曲

 

1970年代後半から1980年代前半にかけては女子プロレスがなかなかの人気で、スターレスラーから悪役まで、多くの人気者が登場しました。その中でも70年代のトップがビューティー・ペアならば、80年代のトップが長与千種とライオネル飛鳥によるクラッシュギャルズだったのです。先駆者のビューティー・ペアは、マキ上田とジャッキー佐藤によるペアで、女子プロレス界のピンクレディーという言われ方もしましたが、勢いで発売した197611月発売の『かけめぐる青春』17.4万枚のヒット(オリコン最高26)。続く『真赤な青春』(19776)もオリコン最高14位、売上14.0万枚と、歌謡界でも実績を残したのです。

 

そんな先輩を継いで、クラッシュギャルズも19848『炎の聖書』レコードデビューを果たしたのです。この曲はオリコン42位、売上4.4万枚とさほどヒットはしませんでしたが、意外にちゃんとした歌になっていて、歌う時もちょっとしたふりつけがあったりと、冗談というよりも、まじめに取り組んでいる感じはうけましたね。そんなデビュー曲を受けて2枚目に発売したのが、この『嵐の伝説』でした。この曲はオリコン18位とジャンプアップし、売上も6.3万枚まで増やしたのです。『炎の聖書』の次が『嵐の伝説』ですから、いかにも格闘娘が歌いそうなタイトルですね。作詞はデビュー曲に続いての人気作詞家森雪之丞、作曲はこのあとヒット曲を多数輩出する中崎英也と、作家陣にも力が入っています。しかしなんといっても、歌詞が凄いです。

 

《昔戦うたびに 嵐が起きた ギリシャ戦士のように リングに立つぜ》《今夜二人 天を焦がし 闇をちぎり 嵐に変わる》《不意に襲ったピンチ とばすぜパンチ》《たのむぜ 倒れた時には 熱い友情が武器さ》ですから、レスラーでなければこの歌は歌えないでしょうという歌詞なのです。ただ歌はわりと淡々と歌っていて、プロレスでの激しい戦いぶりとはまた違い、緊張感があって、そのぎこちない感じがまたファンには良かったのかもしれませんね。

 

その後4枚目のシングル『東京爆発娘!(19858)では自己最高の15位を記録するなど、しばらく人気も続いた後、今度は長与千種が198610100カラットの瞳』でソロデビューし、こちらはオリコン13位を記録。ソロ4枚目『友情1987でも15位と、ソロでも実績を残しました。ただクラッシュギャルズのあとは女子プロレスも次第にブームは沈静化していき、ヒットチャートの上位を賑わすような歌でも人気を博すようなスターレスラーは、残念ながら今日まで出ていません。