80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.103

 

Boys & Girls  サディスティック・ミカ・バンド

作詞 森雪之丞

作曲 加藤和彦、高橋幸宏、小原礼

編曲 サディスティック・ミカ・バンド

発売 19893

 

 

 

再結成した伝説的バンドが、マツダのCMソングとしてリリースした、唯一のオリコン・ランク入りシングル

 

 そもそもサディスティック・ミカ・バンド(Sadistic Mika Band)19726『サイクリング・ブギ』でデビューしたバンドでした。加藤和彦、加藤ミカ、角田ひろ(つのだ☆ひろ)で始まり、高中正義、高橋幸宏、小原礼が加わったり、角田ひろが脱退したりと、早いうちからメンバーの入替があったのですが、今思えばかなりの個性的なメンバーが集まっていたのですね。日本よりも英国で評価を得たりもしていたようですが、グループ内に夫婦がいたことで、その離婚がきっかけで、バンドも解散したということです。

 

 それから10数年が経過した1989年、加藤和彦、高中正義、小原礼、高橋幸宏、桐島かれんといったメンバーでサディスティック・ミカ・バンドが結成されたのです。もっともアルファベット表記はSadistic Mica Bandと、微妙に変わっているのは、デビュー当初のメンバーに配慮したのでしょうか。このメンバーの中になぜ、モデルの桐島かれんだったのかはよく分かりませんが、彼女が一人はいることで、「今」感はかなり増したのも事実でしょう。マツダのファミリア系列のCMに起用され、多くの人の耳に届くこととなりました。曲そのものは、正直に言いまして、万人に受けるようなキャッチーなメロディではありません。むしろ単調で起伏の少ない曲ではあるのですが、それをこのメンバーで歌って演奏することで、不思議なことに、カッコよくて先端を行っているような歌に聴こえてくるのです。

 

 歌詞についても、同じフレーズの繰り返しが多くて、けっして面白味のあるものでもありません。半分以上は英語を使っていますし、どう考えても感情に訴えかけてくるような類の詩ではないのです。曲も詩も、基本的にはBGMに徹している感さえあり、その点では、商品や会社を浮き立たせるためのCMソングとして割り切ったような印象さえ持ってしまいます。しかしそれでも結構売れてしまったというのが凄いところで、サディスティック・ミカ・バンドのシングルとしては最初で最後のオリコンチャートのトップ100入りを果たしたのです。それもかなり上位で、最高は13位、売上は9.0万枚。メンバーのネームバリューなのか、CM効果なのか、一定以上の世代に懐かしさを呼んだのかわかりませんが、とにかく再結成による足跡を残すことができたのは、彼らにとってはとても良いことだったのではないでしょうか。

 

 その後2006年には桐島かれんの代わりに木村カエラを加えた形で再々結成し、活動が改めてスタートしたりもしましたが、2009年に中心メンバーの加藤和彦が亡くなり、サディスティック・ミカ・バンドとしてもその運命を終えた形になっています。