80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.20
色つきの女でいてくれよ ザ・タイガース
作詞 阿久悠
作曲 森本太郎
編曲 伊藤銀次
発売 1982年2月
日本における往年の人気バンドの時限的な復活企画のさきがけとなった、GSの雄の復活第2弾シングル
ザ・タイガース解散し、メンバーそれぞれがそれぞれの道を歩き始めて10年、ザ・タイガース同窓会企画が立ち上がり、沢田研二、岸部一徳、岸部シロー、加橋かつみ、森本太郎が参加、その第2弾シングルとして発売されたのが『色つきの女でいてくれよ』です。第1弾シングル『十年ロマンス』もそこそこ話題となり、売上も16万枚、オリコン週間20位と、かつてのファン層を中心にちょっとしたヒットにはなったのですが、当時のテレビのランキング番組の10曲に登場するまでには至りませんでした。そこで第2弾として出したのが『色つきの女でいてくれよ』だったのです。
そしてこの『色つきの女でいてくれよ』は、前作以上にキャッチーで歌いやすく聴きやすい曲に仕上がり、さらには化粧品のSMソングに使われたことあり、新しい層も取り込んでのオリコン週間4位、売上枚数は42万枚と大ヒットになったわけです。そんな新しい層の一人が実は私で、人生で最初に購入したシングル3枚のうちの一曲が実は『色つきの女でいてくれよ』でした。ちなみにもう一曲は中村雅俊『心の色』であることは、No.11で記載したとおりです。
さてこの楽曲、作曲は森本太郎が担当したこともあり、メロディそのものはグループサウンズ時代の楽曲を彷彿させるような、ちょっと古いけれど懐かしい感じになっています。一方で編曲は伊藤銀次が担当することで、グループサウンズ時代の音をそのまま演奏するのではなく、80年代にあった80年代のザ・タイガースを打ち出しました。その結果、従来のファンをがっちり確保しつつ、かつてのザ・タイガースを知らない若い層にも訴えかけることができたのでしょう。テレビのランキング番組にも毎週のように登場するなどのヒットに結び付いたわけです。
そして作詞は、『十年ロマンス』に引き続いての阿久悠。化粧品タイアップのこともあったのかもしれませんが、このあたりはプロの作詞家にきちんと依頼して、作曲は自分たちでということになったのかもしれません(ちなみに『十年ロマンス』の作曲は沢田研二)。サビで使われる“美少女”とか“色つきの女”などの言葉は、化粧品のCMを意識して使ったのでしょう。タイトルでもある《色つきの女でいてくれよ》とサビで繰り返すことで、聴いている人々に対しても強く印象づけられたことも、ヒットに繋がった要因になりました。
このザ・タイガースの同窓会企画以後、多くのバンドが復活再結成したり、時限的に結集して新曲リリースやライブを開催したりという動きが当たり前のように行われるようになっています。ただ1980年代前半という時代は、日本に流行音楽のバンドという存在が本格的に出現してから、ようやく10年、15年という時期であり、解散したバンドが復活するということ自体が新鮮だったともいえるでしょう。同時期に活躍したグループサウンズの他のバンドにも大々的な再結成という動きを見せることもなく、まさに人気バンドの時限的復活企画のさきがけとなったのがこのザ・タイガースの同窓会企画だったわけです。
その後2013年にも再結成の企画があり、ライブも開催されました。そして今、沢田研二は精力的に歌手活動を続けており、ちょっとした発言が話題になったことも。岸部一徳は映画やドラマで存在感をみせつけて俳優としてコンスタントに活躍中。一方岸部四郎は、何年か前に、体調が思わしくなさそうな姿を見ることがありましたが、近年はほとんどその姿を見ることがなく、気になるところです。