第73回 代表曲と売れた曲は一致するのか

 

LINDBERG

 

テレビドラマの主題歌に抜擢されてブレイクしてから、長い間ヒットを出し続けていたバンドです。ボーカル渡瀬マきはアイドルとしては売れなかったのですが、バンドとしては大成功。印象以上に実はヒット曲が多いバンドで、もっと評価されてもいいのではないかなんて思ったりもしますが、とりあえずセールスの推移をみてみます。

 

【ブレイクによりトップ10常連に】  1989~1991年

「今すぐKiss Me」「JUMP」「Dream On抱きしめて」

「ROUGH DIAMOND」「OH!ANGEL」「GLORY DAYS」など

テレビドラマの主題歌として起用された2ndシングル「今すぐKiss Me」でブレイクし、そこから一発屋で終わることなく、続けざまにシングルトップ10の常連になっていきました。若者向けに夢や恋愛などを歌った青春ソングが中心で、渡瀬マキのパワフルなボーカルに励まされた学生たちも多かったのではないでしょうか。

 

【ひたむきな青春ソングでヒット連発】  1991~1993年

「BELIEVE IN LOVE」「I MISS YOU」「恋をしようよYeah! Yeah!」

「さよならBeautiful Days」「Magical Dreamer」「胸さわぎのAfter School」

そういった青春ソングが、さらに応援歌的な内容でLINDBERGのものとして固まったのがこの時期。

 

【等身大の恋するOLの気持ちを歌った作品で安定人気へ】  1993~1994年

「会いたくて-Lover Soul-」「想い出のWater Moon」「だってそうじゃない!?」

「大キライ!」「夢であえたら」「GAMBAらなくちゃね」「清く正しく行こう」

渡瀬の年齢が少しずつ上がってくると、作品の感じも若干変化が見られます。タイトルをみても一目瞭然なのですが、英語のみのタイトルが激減し、日本語でしかも気持ちをそのまま表現したタイトルの作品が急激に増えてきます。それに合わせて、歌詞の方も、等身大の恋する年頃の女性(OL風)の気持ちを表したものになってきて、ターゲットとともに年齢も重ねてきているという見え方になってきました。セールス的には、時々前後の作品より突き抜けて売れるヒット曲が出て、激し凸凹のあるグラフになっています。

 

【さらに作品の幅を広げてバラエティ豊かな楽曲に挑戦】  1995~1996年

「さよならをあげる」「水着とBeachとBoys」「もっと愛しあいましょ」

「君のいちばんに・・・」「every little thing every precious thing」

「Green eyed Monster」

この頃になるとトップ3に入ることはさすがになくなってきますが、それでも曲によっては30万、40万枚を売り上げる力を持っていて、存在感をキープ。楽曲的にはそれまでのOLソング路線が進化、コミカルな要素が入ったものが増えてきて、遊び心がより感じられるようになってきます。例えば「もっと愛しあいましょ」には野球のイチローが登場、「Green eyed Monster」も独特の比喩でOLのきつい毎日を表現するなど、歌詞がとにかくユニークなものが多かったです。

 

【売上にも陰りが】  1997年~

「YAH!YAH!YAH!」「明日は明日の風が吹く」「Sugar free」

「風」「願いがかなうように~」

長い間ヒットチャートの上位で活躍したLINDBERGでしたが、1997年以降はチャートのトップ10から陥落し、次第に売上は先細ってきます。1997年にバンド内結婚が発表され、間もなく渡瀬が産休に入っていき、いったん活動休止、2002年に解散となりました。その後2009年に再結成、その後は休止と再会を繰り返しながらも、近年は時々テレビなどでもたまにその姿を見られるのは嬉しい限りです。

 

■売上枚数 ベスト5   

1 今すぐKiss Me 61.0万枚

2 胸さわぎのAfter School 55.0万枚

3 だってそうじゃない!? 46.9万枚

4 BELIEVE IN LOVE 40.0万枚

5 恋をしようよYeah! Yeah! 39.6万枚

ブレイクのきっかけとなった「今すぐKiss Me」が1位ですが、以下もわりと接戦。ポツンポツンと所々で売上が急に増えている作品があり、綺麗な坂道になっていないところが、上位常連アーティストとしては面白いグラフの形になっています。

 

■最高順位 

1位 …  今すぎKiss Me、恋をしようよYeah! Yeah!、

      だってそうじゃない!?、 GAMBAらなくちゃね  4曲

2位 …  Dream On 抱きしめて、ROUGH DIAMOND、BELIEVE IN LOVE、

     I MISS YOU 4曲

1位と2位とそれぞれ4曲で達成していて、チャート的には健闘しています。1位曲がある時期に集中しないで、飛び飛びなところから、長い間安定して活躍していたことがうかがうます印象より多いと感じる方もたくさんなのではないでしょうか。

 

■代表曲

1 今すぐKiss Me

2  BELIEVE IN LOVE

3  every little thing every precious thing

タイアップの影響を強く受けているバンドで、売上枚数上位はタイアップ曲が並びますが、代表曲というとこんな感じでしょう。ドラマ主題歌の「今すぐKiss Me」は圧倒的1位でまず異論はないところ。ダウンタウンやウッチャンナンチャンらの番組で使われた「BELIEVE IN LOVE」の次点も間違いないところ。3位は発売当時というよりも、後に阪神タイガースの藤川選手の登場曲として採用されたことで有名になった「every little thing every precious thing」を挙げてみました。

 

 

■好きな曲 ベスト5

1 GAMBAらなくちゃね

2 もっと愛しあいましょ

3 会いたくて-Lover Soul-

4 every little thing every precious thing

5 想い出のWater Moon

結構好きな曲が多くて迷うのですが、5曲を選ぶとこんな感じです。最後に迷って外したのが「君のいちばんに…」で、それも含めて1993~1996年の頃の作品が個人的には好みです。もちろん「今すぐKiss Me」とか「胸騒ぎのAfter School」あたりも好きなのですけれどね。

 

一番売れた「今すぐKiss Me」が一番の代表曲というところは間違いのないところですが、「BELIEVE IN LOVE」は売上4位、あとから知られるようになった「every little thing every precious thing」は決して売上上位ではありません。逆に売上3位「だってそうじゃない!?」なんかは代表曲というイメージは弱く、多少ブレがあるようです。

結論:一番売れた曲は誰もが知る代表曲。ただし次点以降は必ずしも売上に比例しない。