第68回 代表曲と売れた曲は一致するのか

 

米米CLUB

バンドブームの中でも特に大所帯のエンタテイメント性の高いバンドとして、コミックソングからシリアスなラブソングまでの幅広い楽曲で人気を博した米米CLUBを取り上げます。特に初期は色物バンド的なイメージが強かったのですが、次第にまじめな曲が増えていった印象はあります。特にアルバムなんかではかなり遊びの部分が強調されて楽しかったです。

 

【創世期から浸透期へ】  1995~1987年

「I・CAN・BE」「SHAKE HIP!」「GAYU」「PARADISE」「Sûre danse」

もちろん最初から売れたわけではなく、ライブをやりながら徐々に存在感を浸透させていっていたのがこの頃。「PARADISE」「Sûre danse」とオリコンのトップ20にも入るようになり、少しずつ認知を高まっていきました。すでにアルバムは評価されてきていましたが、その中に収録されていた「浪漫飛行」も、バレンタインのCMにも使われて一部で話題にはなったものの、一般に浸透することはまだありませんでした。初めてアルバムで聴いたときに、これシングルにすれば絶対に売れるのにと思ったのですが、その気配がなく終わってしまったのは、当時〈もったいない〉と思ったものです。

 

【コミックバンドとしてブレイク】  1988~1989年

「KOME KOME WAR」「TIME STOP」「FUNK FUJIYAMA」

そしてついに「KOME KOME WAR」が初のトップ10入り。このあと初期の売れなかった作品を再発売という形でリリースし、一気に攻勢をかけていきます。翌年「FUNK FUJIYAMA」がさらに順位を上げて2位を獲得、完全ブレイクということになりました。ただまだこの頃は「KOME KOME WAR」「FUNK FUJIYAMA」といったコミックソングを歌うグループだという認識が強く、再発売したダンサブルな楽曲もさほど売れず、この路線を拡大していくのかと思っていました。

 

【シリアス路線も受け入れられ安定した支持を獲得】  1990~1991年

「浪漫飛行」「Shake Hip!」「ひとすじになれない」

そんな中で1987年発売のアルバム収録曲「浪漫飛行」がJALのキャンペーンソングに起用されたことで、ようやくシングルカットの運びとなり、カップリングで2パターンリリースしましたが、そりゃ売れるでしょうという感じでいずれも大ヒット。この勢いに乗じて初期の「Shake Hip!」も再発売したらこれもヒット。シリアスなラブバラード「ひとすじになれない」もヒットと、まさに硬軟織り交ぜた展開で、安定した支持を得る人気バンドへと昇り詰めたのでした。

 

【ビッグバンドとして君臨】  1992~1994年

「君がいるだけで」「ORION」「ときの旅路」

「愛はふしぎさ」「ア・ブラ・カダ・ブラ」「俺色にそまれ」「手紙」

そして「君がたるだけで」です。ドラマの主題歌として話題を呼び、これが超絶大ヒット。これにより、米米CLUBはついにトップバンドに上り詰めたといっていいでしょう。ここから3年の間はセールスも安定し、30万枚から50万枚をコンスタントに売上げ、出せばヒットといった状態にい続けたのでした。ただ個人的に思うのは、「君がいるだけで」のヒットですべて出し尽くしてしまい、それ以降の作品はあまり面白くないといいますか、なにか守りに入っているような感覚を持ちました。

 

【売上下降から解散へ】  1995~1997年

「ワンダフルSUNでぃ」「JUST MY FRIEND」

「すべてはホントでウソかもね」「STYRISH WOMAN」「Special Love」

しかしながら、どんなに栄華を謳歌したアーティストであっても、落日の時は来るもので、1995年あたりから目に見えて枚数的にも順位的にも売上が落ちていきます。するとそこからは早く、1997年に解散となったわけです。

 

【再結成後】  2006年~

「E-ヨ」「君を離さない」「MATA(C)TANA」「つ・よ・が・り」など

2006年に再結成され、新曲も再びリリースされるようになります。時代が変わりオリコン順位もかつてほどの権威はなくなってはきますが、それでも何曲かをトップ10入りさせ、健在ぶりを見せつけました。

 

■売上枚数 ベスト5   

1 君がいるだけで 289.5万枚

2 浪漫飛行/ジェットストリーム浪漫飛行 66.5万枚

3 ひとすじになれない 65.8万枚

4 ア・ブラ・カダ・ブラ 56.0万枚

5 手紙 42.9万枚

「君がいるだけで」は圧倒的な枚数を売り上げて、世紀の大ヒットといっても過言ではない売上枚数を残しました。その次は「浪漫飛行」で、カップリングが異なる「浪漫飛行/そら行け!浪漫飛行」の41.4万枚を足すと、実質ミリオンセラーといってもいいでしょう。3位以下は混戦ですが、1991年の「ひとすじになれない」に続いて1994年の2曲がランクインと、この辺りは多少意外なラインアップとなっています。

 

■最高順位 

1位 …  浪漫飛行/ジェットストリーム浪漫飛行、君がいるだけで

2位 …  FUNK FUJIYAMA、愛はふしぎさ、ア・ブラ・カダ・ブラ、俺色にそまれ

1位の2曲は枚数上位2曲と合致し、納得の2曲でしょう。2位は4曲獲得していますが、バラエティに富んだ作品が並んでいます。

 

■代表曲

1 君がいるだけで 

  浪漫飛行

3 Shake Hip!

4   FUNK FUJIYAMA

一般的に「君がいるだけで」「浪漫飛行」の二択になるでしょうし、売上の枚数には差があるものの、印象としては両者甲乙つけ難いです。代表曲2曲といわれると、この2曲でほぼ文句はないところでしょう。ただこの2曲って、米米CLUBというバンドを象徴する曲かといわれると、ちょっと違う気もして、バンドの“B面”的な曲だと思うのですよね。逆に3位4位に挙げた「Shake Hip!」「FUNK FUJIYAMA」の方が米米らしさの現れた“A面”的な曲だとは思いますが、でもやっぱり一般的には「君がいるだけで」であり「浪漫飛行」になるのでしょう。

 

■好きな曲 ベスト5

1 浪漫飛行

2 Sake Hip!

3 ひとすじになれない

4  Sûre danse

5 I・CAN・BE

なんだかんだいつても「浪漫飛行」がやっぱり好きで、初めて聴いた時の衝撃は今も忘れません。続いてカラオケで歌うと気持ちの良い「Sake Hip!」です。5曲は初期か中期の曲で、正直言うと、「君がいるだけで」(これもけっして嫌いではないです)までで米米は終わったものと思っています。あの超絶ヒット以降の曲は、私の中ではどれもつまらなくて、惜しい曲もありません。

 

結論:米米らしいかどうかはべつとして、抜群に売れた2曲が代表曲ではあることには違いない