80年代音楽界を彩った作詞家作曲家たち vol.56

 

大沢誉志幸(作曲家)

今さら言うまでもなく『そして僕は途方に暮れる』のヒットでも知られるアーティストですが、他の歌い手にもその個性的な作品を多く提供しています。今回はそんな大沢誉志幸の提供曲のベスト10を独断で選んでみました。言われれば大沢誉志幸らしいなと思わせる作品がずらりと並んでいます。

 

大沢誉志幸作詞作曲作・ベスト10

★=80年代発売

 

10位 MIDNIGHT TRAVELER 鈴木雅之

(53位 1.4万枚 作詞 大下きつま 作曲 大沢誉志幸 1993年)

鈴木雅之には何曲か曲を提供していますが、その中ではこの曲はわりと地味な作品ではあります。ミディアムテンポの大人の歌という感じで、あまり大沢誉志幸の色は強くない印象ではあります。歌手揚力のある歌い手なので、それを十分に生かした一曲といえるでしょう。

 

9位 薔薇の奇蹟 アン・ルイス 

(96位 0.4万枚 作詞 柴山俊之 作曲 大沢誉志幸 1984年)

タイトルからしていかにもアン・ルイスという雰囲気ですが、大沢誉志幸が提供していたのですね。ケバケバしいファッションとメイクで歌う姿も様になっていましたが、曲としてはそこまでギンギンギラギラではない感じですね。セールス的には伸び悩みました。

 

8位 No No サーキュレーション 吉川晃司  

(4位 10.8万枚 作詞 安藤秀樹 作曲 大沢誉志幸 1984年)

12インチシングルでの発売ということで、前後のシングルに比べると枚数や順位は劣りますが、それでも当時の吉川晃司の勢いで、トップ5と10万枚をクリア。大沢誉志幸らしい癖のある楽曲ではあります。

 

7位 プライベートホテル 鈴木雅之

(60位 1.0万枚 作詞 安藤秀樹 作曲 大沢誉志幸 1990年)

セールスは伸びませんでしたが、鈴木雅之らしさの詰まった一曲といっていいでしょう。鈴木雅之の色気あるボーカルと、アーティストとしても活躍した安藤秀樹の癖のある歌詞に、大沢誉志幸のメロディーがいい塩梅にのっかって、心地よいノリの楽曲に仕上がっています。

 

6位 こっちをお向きよソフィア 山下久美子

(32位 6.0万枚 作詞 康珍化 作曲 大沢誉志幸 1983年)

山下久美子にぴったりの、どこかせわしなささえ感じるリズムとスピード感ある独特のメロディーは大沢誉志幸ならでは。そんな曲のノリのよさと山下久美子の個性的な歌唱で、オリジナリティを生み出しているように思います。

 

5位 1/2の神話 中森明菜  

(1位 57.3万枚 作詞 売野雅勇 作曲 大沢誉志幸 1983年)

初期の中森明菜に提供した曲がこちら。当時ツッパリ路線とバラード路線を交互に歌っていた中森明菜ですが、そのツッパリ路線にあるのがこの作品。

 

4位 ガラス越しに消えた夏 鈴木雅之 

(15位 14.7万枚 作詞 松本一起 作曲 大沢誉志幸 1986年)

ラッツ&スター解散後に初めてソロとして発売する作品を大沢誉志幸にまかせた鈴木雅之。ソロとしての色合いを出したいということもあったのか、じっくりと歌を聴かせるバラード曲での勝負は、CMとの相乗効果もあってまずは成功。大沢誉志幸が作曲したバラード作品の代表曲といっていいでしょう。

 

3位 晴れのちBLUE BOY 沢田研二

(11位 9.5万枚 作詞 銀色夏生 作曲 大沢誉志幸 1983年)

とにかくカッコいい曲です。ただしけっして万人受けするような曲ではないので、ジュリーがよくもこの曲をシングルに選んだなという感はありましたね。まさに大沢誉志幸にしか作れない作品。歌詞もまたよく意味の分からないぶっとんだものになっていて、改めてカッコいい曲でした。

 

2位 おまえにチェックイン 沢田研二

(8位 27.4万枚 作詞 柳川英巳 作曲 大沢誉志幸 1982年)

こちらは3位よりもよりも前に大沢誉志幸がジュリーのために手掛けた曲でして、より分かりやすく万人受けしそうなメロディーとなっています。ただし歌詞はちゃんと大人の営みを歌ったもので、思春期の男の子には多少刺激的なところはありました。ノリがよくて盛り上がる曲です。

 

1位 ラ・ヴィアンローズ 吉川晃司 

(4位 19.9万枚 作詞 売野雅勇 作曲 大沢誉志幸 1984年)

大好きな曲です。歌っていて、聴いていて気持ち良い作品で、どこかけだるさのある休日の感じがよく表現されていて、前後の吉川晃司の曲とはまた違った味わいで、新しい魅力を引き出しています。大沢誉志幸らしさもあって、この曲を1位としました。