●中村玉緒 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

中村玉緒 出演映画 ベスト10

 

1 筑前竹人形

父親の墓前に手を合わせにやってきた遊郭の女性に恋してしまった息子、情熱的に訴え自分の嫁として迎えたものの、父親との関係がひっかかり、夫婦の営みにどうしても至る気になれない。このあたり、なかなか読みにくい心の内。好きでいながら抱けない。そんな中で昔の馴染みについつい体を許してしまった妻、しかも妊娠してしまうのです。その頃、父親が妻と体の関係がなかったことを知り、急に元気になった夫ですが、これがなんとも皮肉。なんとかばれないように処置しようとした妻は、偶然からそれが達成されるものの、その処置がもとでか、命まで落としてしまうという、これまた皮肉な結果に。うまくいく方向にものごとが運ばれるかと思ったところで悲劇が襲う循環で、最後は最悪の結果に終わってしまった悲しい物語。軍人が街を闊歩する時代、人さみしい田舎の職人の住処という背景も効果的で、なかなかつらい気持ちになってしまうような作品でした。若尾文子演じる主人公にアドバイスを送る知人役で中村玉緒は出演。

 

2 椿三十郎

この森田版も黒沢版と同じ脚本で作られたということですので、この脚本であれば、誰がリメイクしてもそこそこのものは作ることが出来たのではないでしょうか。やはり映画の基本は脚本ということです。織田ならではの三十郎像は描けていたのでしないでしょうか。ただ、一人でばったばったと敵を切り倒し、臨機応変、機転の利く頭脳明晰な天才的存在としては、やや軽い感じであったことは否定しません。しかしそれは森田監督のひとつの狙いであるともいえ、それは中村玉緒や鈴木杏あたりの演技を見ても、時代劇特有の重厚な雰囲気を目指したものでなく、全体的に現代的な味付けをしたかったというのは明白でもあります。好き・嫌いはかなり分かれそうな織田三十郎ですが、これもつとして「あり」かなという気はしました。それよりも、豊川悦司が良かったです。ベテラン勢も含めて全体的にオーバーアクトの演技が目立つ中で、一人力が抜けて、作品を締めていたように感じ取れました。

 

3 衝動殺人 息子よ

実際にもこの映画が追い風となって、犯罪被害者への補償を行う法律が施行されたということですから、映画の作り手や演じてはもちろん、モデルとなった事件の被害者の人たちの思いが伝わったといってもいいのでしょう。しかしこの映画が作られた時点では、立法の目途が立っているわけでもなく、その意味で、木下監督らをはじめとする映画に関わった人々の、なんとかしなければという意思は、かなりのものであったことでしょう。交通事故でも労働災害でも残された遺族に助けとなるお金は出るのに、非もなく犯罪で殺された人には何も出ない。そればかりか、忌み嫌われ、世間からも避けられてしまうことさえあるといい、悲惨な生活を余儀なくされることも珍しくないという事実。その矛盾、不公平さにメスを入れたということで、実に意義の深い作品に仕上げられていました。必要以上に脚色してスリルを煽ることもなく、とにかく自分の足で歩いて何とかしなければならないという主人公夫婦の必死な思いが伝わり、改めて今ある様々な法律の前には、似たような人々の尽力があったであろうことも、改めて気づかされた思いです。中村玉緒は夫を殺された未亡人役。

 

4 黒い十人の女

なんとも風変わりな作品ですが、いざというときの男のだらしなさと、逆に女性の強さが露になった一種のブラック・コメディといえる作品になっています。男のいないところで女性たちが結託してなにやら企んでいる様子。その中でも本音と建前が交錯して、いったい本心はどこにあるのか、男からするとゾッとするような作品でした。曲者の女優陣が共演して絡み合う演技にも緊張感があって、その緊張感を見事に映像に映し出した市川監督も見事でした。愛人の一人として中村玉緒も出演。

 

5 ぼんち

原作山崎豊子、監督市川崑なので面白くないわけがない、ということで市川雷蔵の色気を存分に味わえる、もちろん女優陣の生々しい色気も楽しめる艶のある作品になっています。大阪独特の活気やいかにも昭和らしい男女関係もリアルで、見ごたえも味わいも十分。市川雷蔵演じる主人公の最初の妻役が中村玉緒。

 

6 金環蝕

ボリューム感のある政界ドラマです。金と地位に目のくらんだ人物たちのオンパレードで、よくもまあ悪い奴ばかり。キャストもあくの強い面々が並び、いい意味で暑苦しい映画。今のも昔も政治家のやっていることは何にも変わらないという感じで、日本の政界はまったく成長していないし変わっていないというように率直に思いました。作品としてはまずまず面白かったです。中村玉緒は金融王の妾役。

 

7 切られ与三郎

なんとも切ない幕切れが涙を誘います。最初から養子の兄を慕うお金の気持ちは溢れるほど明らかなのに、それに気づかぬふりをして放蕩生活に出る血のつながらない兄。あくまでも妹として彼女を心配する態度に、失望して自ら命を絶ってしまう思いというものは、あまりにも純粋ではかないものでした。

 

8  DESTINY 鎌倉ものがたり

山崎貴らしいファンタジー作品です。年の離れた新婚夫婦が魔物がうろつく鎌倉に一緒に住みだしたところから始まり、前半は新婚の奥さんが魔物たちになれていくまでを描いています。愛嬌のある魔物や妖怪、幽霊たちと、高畑充希演じる可愛い奥さんとのやり取りがほのぼのとして、特に貧乏神とのエピソードなんかは、優しい気持ちになったりします。後半はその奥さんの魂が体から抜け出していくことから、夫婦愛をクローズアップした方向へと展開。妖怪映画といっても刺激は少なく、どちらかというとほのぼの系。主演の二人のキャラクターもあって、家族で楽しめるような優しい作品となっていました。長年務めている家政婦さん役で中村玉緒は出演。

 

9 悪魔が来りて笛を吹く

金田一耕助シリーズは誰が演じてもそれなりのおどろおどろしいムードになるのですが、今作は特に最後に明かされる事実がドロドロの人間関係にあるので、それが際立っています。金田一独特のユーモアは西田敏行でもきちんと表現されてはいますが、事件が月から次へと切れることなく起きていくので、閉鎖された人間関係の中でよくもまあここまでと思わせるほどの、吐き気を誘うほどのむわっとした空気感でした。

 

10 忠臣蔵

映画では数えれないほど描かれてきた題材ですが、3時間近くのボリュームとその中にある数々の人間ドラマが描かれた本格的な忠臣蔵映画です。中村玉緒は浅野家腰元・みどり役。