シシー・スペイセク 出演映画 ベスト10
1 ヘルプ 心がつなぐストーリー
人種差別という大きく重いテーマを根底に抱えながらも、勇気、ユーモア、そして人種を超えた心の交流といったものを作品全体に散りばめることで、心温まる、そして爽やかであと味の好い素敵なドラマに仕上がりました。人種差別が色濃く残る時代、その中で厳しく辛い体験を重ねながらも、希望と明るさを失わないメイドさんたち、そして新しい時代へと踏み出す一歩になる彼女たちの勇気に、自然と応援したい気持ちになってきます。そして結果的に彼女たちの背中を押すきっかけになった作家の卵のヒロインの、上流階級に染まり切っていない純粋さもまた好感が持てました。それと対照的なのがブライス・ダラス・ハワード演じる伝統的な人種札別主義者なのですが、悪役を一手に引き受けて熱演したハワードの熱演も、この作品にはなくてはならないものでした。人間やはり最後は思いやりなんですね。優しい気持ちになれる良い映画だったと思います。横暴な娘ヒリーに痛烈な皮肉で反撃する母をシシー・スペイセクが演じています。
2 スタンドアップ
男からするとちょっと申し訳なく、そして恥ずかしくなってしまうような内容ですが、映画自体は良い映画です。実話に基づいたストーリーだけに説得力があります。最後に至る直前までのシーンは観ていて決して気持ちの良いものではないですが、これが現実だったのです。劣悪な職場環境の中、孤立しながらも自分だけでなく世の女性のために変えていかなければと必死に戦おうとする主人公の姿には打たれるものがありますし、それだけに最後にそれまで黙っていた者達が立ち上がった瞬間のシーンにはジーンとくるものがあります。そしてその無援状態の中で1人戦おうとするヒロインを、シャーリーズ・セロンが好演していました。最近の作品選びをみているとかなり挑戦的な意欲を感じるセロン。「モンスター」ではせっかくの美貌を隠してまで役になりきった演技を見せていましたが、ここではさらにその美貌を生かしつつもそれだけに頼らない見事に演技を見せてくれました。主人公の母親役でシシー・スペイセクは出演。
3 ストレイト・ストーリー
出てくる人物がほとんどいい人ばかりで、旅の途中のエピソードがどれもしみじみと心温まるロードムービーです。天気や景色や音楽が互いに交じり合ってほのぼのとした気持ちになれる作品でした。シシー・スペイセクは主人公のおじいちゃんの娘役での出演。
4 JFK
ケネディ暗殺と言う実に微妙で重いテーマを真剣且つ重厚に、そして見応えあるものに仕上げており、ストーン監督の意欲が充分以上に伝わってくる社会派ミステリー。出演俳優も豪華。誰が真実を言っているのか、ケネディ問題について一石もニ石も投じるような衝撃的で論理的な内容は、観ているうちにどんどん惹きこまれて行きます。特に裁判が始まってからの場面は、ただ説明しているだけでも息を飲みます。そして最後に残るのは、巨大な権力の前にはいかに国民一人一人が無力であるかということ。実際のニュース映像も使用しているため、説得力もあります。どこまでがフィクションなのか、全部が真実なのか、そこの境目がつきにくいところがこの映画の欠点ではありますが。
5 歌え!ロレッタ・愛のために
シシー・スペイセクの唄がなかなか板についていて、オスカー獲得も納得の熱演ぶり。若いトミー・リー・ジョーンズも粗野な感じがきちんと出せていてこちらも好演。歌手としてスポットライトを浴びながらも、夫や子供たちのいる家へ落ち着き、ほっとしました。
6 白い刻印
冬の貧しい町で起こったある事故をきっかけに、破滅へと転落していく男の生き様がなんとも切ない。芸達者が揃い、重みのあるドラマにリアリティを与えていますが、中でもオスカー獲得のコバーンの存在感は大きかったです。だめ夫でだめ父親ぶりのニック・ノルティも熱演。シシー・スペイセクはウェイトレスの役。
7 ミッシング
クーデターの最中失踪した息子・夫を探す父親と妻の心の葛藤、悲惨な虐殺と、サスペンスフルな作品に仕上げていて見応えがあります。謎解きから最後は社会ドラマ的な結末。主人公夫妻の妻がシシー・スペイセク。
8 地獄の逃避行
「俺たちに明日はない」を見ていると、ほぼ同じなので、未公開もなんとなく分かる気はします。実際の事件を映画にしているということで、このあたり時代を映し出していますね。無軌道な若者の暴走を乾いたトーンで描いた作品。
9 タイムトラベラー きのうから来た恋人
ブレンダン・フレイザーがはまり役。設定こそ核シェルターで35年間暮らした男という現実離れした設定ですが、内容はれっきとしたラブコメディ。変人役のクリストファー・ウォーケンがいつもとは違う意外性を発揮。その妻がシシー・スペイセク。
10 イン・ザ・ベッドルーム
静かな中に突然やってくるニ度の悲劇。ごく普通の夫婦の間に起こった事件によって思わぬ方向に人生が動いていくのですが、それは「動」の世界ではなく、この中で描かれているのはあくまでも「静」なのであります。シシー・スペイセクとトム・ウィルキンソンが重厚な演技で、淡々とした中に見え隠れする激しい感情を表現。マリサ・トメイがスペイセクに殴られてから話に出てこなくなり、その部分でもきちんと結末をつけてほしかったという思いがあり、その点ではもうひとつ物足りなさが残りはしましたが。