フランキー堺 出演映画 ベスト10
1 復讐するは我にあり
金のためなら誰でも殺してしまう殺人鬼の別の一面を丁寧に描き、力強い作品となっています。緒形拳はじめ俳優陣の演技が絡み合って、人間臭さのあふれた犯罪ドラマでもあります。生活臭が画面から伝わってきそうなほど、そして呼吸の音が聞こえた着そうなほどのリアリティに時代感が加わり、濃密な人間関係が繰り広げられていました。犯罪者の心理を探るという意味では伝わりにくい部分はあるのですが、その分かりにくさこそこの映画のテーマであるように思います。フランキー堺は警部役。
2 私は貝になりたい
この有名な作品を改めてみると、不条理な戦争の中に巻き込まれた庶民の悲劇の残酷さに改めて憤りを覚えるのであります。普段陽気な役が多いフランキー堺、しかもこの作品でも家族思いでちょっと調子のよい床屋の店主を演じており、そんなどこにでもいるようなお父さんが巻き込まれてしまったということが、なおさらその理不尽さを増長させるのです。上官の命令に逆らえず犯してしまったことで死刑にされてしまう、そんな時代が二度とこないことを祈るばかりです。
3 国士無双
中井貴一のとぼけた味わいと、芸達者フランキー堺の軽薄軽妙なノリ、そのコンビネーションが楽しい時代喜劇。くだらないと怒る人もいるかもしれませんが、私は嫌いではないです。
4 ダイナマイトどんどん
ヤクザの抗争を野球で勝負を付けようという、ある意味牧歌的といいますか、能天気といいますか、楽しい設定となっています。もちろん血気盛んな者たち同士、球はぶつける、殴る蹴るで審判までぶつけてしまうほどの乱暴な試合になるのですが、その中でヤクザ特有の人情のようなものが入り込んで、ちょっとほろりとしたり。とにかく元気な映画です。戦争で片足を失ったかつての名投手役でフランキー堺は出演。
5 女は二度生まれる
若尾文子の美しさがあれば当然なのですが、男性に寄りかからないと生きていけない主人公、その術を身につけて世の中をなんとか泳ぎ続けていたのが、愛人の死をきっかけに、生き方を変えていこうと心機一転するまでを描いた女の人生ドラマというところでしょう。銀座のバーだったり、芸者だったり、水商売を転々とする姿は、この時代が女性一人で身を立てていくには、一番メジャーな方法だったのでしょう。同行した少年と上高地を目指し、途中で少年と別れパスを待つシーンは、なんとも不思議な余韻を残しました。
6 社長シリーズ
まとめて一つとしたフランキー堺おなじみのシリーズ。こんな能天気な会社ばかりだったら、世の中楽しいだろうにとは思います。
7 駅前シリーズ
あまりにたくさんの作品があるのでまとめてひとつとしました。フランキー堺おなじみの代表的なシリーズ。毎回賑やかにひっかきまわして、なんとも賑やかで呑気な人情シリーズ。
8 北斎漫画
葛飾北斎が女性にのめりこみ狂わされていく様子を幻想的に描いて一風変わった伝記映画。妖艶な色気とともに笑いを取り込んでいるのですが、この辺りは好き嫌いが別れそうに思います。フランキー堺は中島伊勢を演じています。
9 独立愚連隊西へ
岡本喜八の気概があふれた戦争映画です。全編を流れる空気感はユーモラスではありますが、その中で展開されるのは批判精神に満ちた戦争への思い。かなり毒気の強い設定、皮肉たっぷりの殺戮、軍隊特有の理不尽さ、戦争というものの不毛さが溢れています。それでも進んでいく隊員たちの笑顔が、なんともいえない思いにさせてくれます。
10 グラマ島の誘惑
当時話題のベストセラーをヒントにした喜劇ですが、森繁にフランキー、そこに小金治まで加われば、到底正当な戦争ものになるはずがなく、敗戦直前というのになんとものどかな想像が繰り広げられます。こんなに女性がいれば、当時の軍人にとってはまさに天国のようなものでしょう。