●市村正親 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

市村正親 出演映画 ベスト10

 

実は映画に出るようになったのは21世紀になってからなのですね。

 

1 のぼうの城

野村萬斎でなければこの映画はまったく別のものになっていたでしょうね。彼の飄々とした個性が十分に生かされた、華やかでスケール感があり、それでいてユーモアたっぷりの楽しい時代劇に仕上がりっています。特に田楽を演じるシーンは圧巻、素晴らしかったです。それにお殿様が実に魅力的なのですよね。結局最強の戦術は人々を惹きつけ、自分のためにならひと肌脱いでも構わないという人心掌握が一番とでもいうような、長親のリーダーぶりは、ある意味勉強にもなりました。作品としても 2時間半近い長さの映画にも関わらず、全く飽きることなく、最後まで集中して楽しく観られました。映像的にも力が入っていましたし、キャストも子役・若手・ベテランと幅広く揃い、かなりの豪華メンバーで、TBSの力の入りようは充分に伝わります。公開が1年延びてしまいましたが、「まだかまだか」と待たせる中で飢餓感を煽り、映画の認知度アップにはプラスに働いたかもしれません。掛け値なく面白かったです。市村正親は豊臣秀吉を演じています。

 

2 そして、バトンは渡された

高校生からの優子のストーリーと、子供のみいたんのストーリーが同時進行していく形で作品は進んでいきます。おそらく永野芽郁演じる主人公の子供時代がみいたんなんだろうと想像はするものの、名前が違うことが謎となり、中盤まではややミステリーの要素を含みつつの展開で、そのあたりの引き付ける工夫というものは巧みでした。そして終盤、石原さとみ演じる母親の秘密が明るみになると、自由奔放で自分第一という印象だった彼女のキャラクター像は一気に崩壊し、いかに血の繋がっていない娘への愛情があふれていたかが示されていきます。そうすると観ている側はその心の内を思い、涙を禁じ得ないということになるわけで、そういう意味ではよくできた作品だったと思います。さらには田中圭演じる血の繋がらない父親の優しさ、市村正親演じる途中母娘を迎え入れた高齢の父親の包容力、自分の進む道を迷っている婚約者の葛藤など、さまざまな要素が盛り込まれ、実に見ごたえのあるドラマでした。おそらく評論家受けはいまいちだとは思いますが、一般には支持されやすい作品に仕上がったのではないでしょうか。

 

3 泥棒役者

舞台劇からの映画化作品ということで、閉ざされた空間での会話劇が楽しいです。勘違いからそれを取り繕うとしてふかみにはまっていく主人公のあたふたぶりと、やがて泥棒だと知られてしまう中でも、彼の人の好さを知ったみんなが、彼を結局許して助ける人情話っぽいところがまじりあい、笑いとほろりがいい塩梅に繋がっています。場内からもところどころで笑いが漏れる映画は、それだけでも楽しい気持ちになってきます。ねられた会話での知的なやりとりも面白く観られました。絵本作家役で市村正親は出演。

 

4 燃えよ剣

見ごたえある幕末時代劇で、新選組の土方歳三を中心に据え、その生きざまを濃密に描いた作品になっていました。新選組とはいっても、それぞれの思いというものは千差万別の中、自ら憎まれ役を買って出て、その統率に力を注いだ土方の熱い気持ちというものが十分に伝わる内容で、一方でそのためには残忍な殺戮をも厭わない冷徹さも垣間見られ、この時代を生き抜く厳しさというものも実感しました。決してきれいごとだけでは済まされない、明日を生きるか死ぬかのぎりぎりの中で、冷静な判断力と人を見抜く力によって、組を率いてきた姿は、りりしく感じられました。名前だけに頼らないキャスティングも興味深かったです。市村正親は本田覚庵役。

 

5 十三人の刺客

まさに三池節ですね。この監督がノーマルな時代劇などとるはずもなく、随所に持ち味を見せ付けてきました。ただしそのことは、逆に言えば好き嫌いが分かれそうな要素になるわけで、本格的で伝統的な時代劇を望む観客にとっては、邪道と感じてしまうかもしれません。エロ・グロ・ギャグもきっちり盛り込んで、現代劇のにおいはぷんぷんと漂ってきました。決闘のシーンに時間をかけ、ボリューム感としては十分あったのですが、最後のほうはやや単調になってしまった気はします。13人の刺客にこれだけのキャストを集めながら、それぞれの個性があまり発揮できなかったのもちょっと惜しい気がします。脚本面でも映像面でも美術的な面でも、もう少しキャラクターを生かせるような展開も欲しかったです。市村正親は鬼頭半兵衛役。

 

6 テルマエ・ロマエⅡ

2作目は説明が省ける分、本筋に多く時間をさけるので、笑いどころもそれなりにあって気楽に楽しく観られました。ただどうしても風呂や温泉周辺の小ネタに制限されるので、材料としては限界がありますし、当然目新しさは薄れてしまいます。まあ、でも肩ひじ張らずに、そして何も考えずに小一時間を楽しむには適当な作品だとは思います。ローマ帝国のハドリアヌス帝の役で市村正親は出演。

 

7 ステキな金縛り

うーむ、今作はキレが悪いですね。どちらかというと、泣かせの要素に力が向けられていて、笑える部分があまりなかったです。私が笑ったのは、中井貴一の独り芝居の一ヵ所のみ。話の展開としても、さほど意外性のあるものでもなく平凡。期待した会話のやりとりの妙での冴えもなく、過去の監督作と比べても、やや期待外れの印象でした。陰陽師、安倍晴明の友人の子孫を市村正親が演じています。

 

8 高台家の人々

馬鹿らしい妄想の数々と、自信なさげな主人公のキャラクターで快調な前半でしたが、テレパスネタが一通り出てしまった後は失速。主人公の気持ちも後ろ向きになってしまったり、結婚に反対する不機嫌な母親、さらには妹の失恋など負の要素が多くなったこともあって、観る側のウキウキした気持ちもいつのまにか萎んでしまったのは残念。そろそろ綾瀬はるかもこの手の役どころは年齢的にきつくなっている気がします。彼女ならではのキャラクターに合ってはいるのですが、いつまでも初心で少女の心を持った女の子ということにもいかないでしょう。さらに斉藤工も配役としては理解できるのですが、自分の特殊能力を隠し続ける御曹司ということで、演じるということではあまり面白味のない役。どうも魅力を出し切れていないようでした。高台家の一員として市村正親も出演。

 

 

9 劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL

それにしてもこの脚本はご都合主義に走りすぎでしょう。作品の肝である二人の特殊能力も、登場人物たちの濃いキャラクターも、しつこいくらいの無意味なギャグも、この作品の個性であり特徴であると、好意的に認めることはできるのですが、あまりに犯人を追う展開が雑すぎます。待っていましたかというタイミングで、家庭を端折って難解な謎の回答がしめされたり、その都度方針があっちにふらふらこっちにふらふら。しかも捜査の9割が会議室で行われており、完全に現場のシーンはカット。さらにはチョコザイ君が一人で海外渡航したり、車を運転したりしているはずなのですが、それも一切見せず。ま、2時間程度に収めないといけないので、ある程度は仕方ないのですが、チョコザイ君の交通手段については、ちょっとずるさを感じます。

 

 

10 テルマエ・ロマエ

この原作を主要キャストに日本人を当てて映画化するというアイディアは面白く、阿部寛のとぼけた味わいも前半はうまく作用していましたし、時々はさまれる人を食ったような説明字幕にもユーモアのセンスを感じました。ただ設定の奇想天外さにその後の展開がやや負けてしまっている印象で、おとぼけムードにも慣れてきた後半は、やや退屈を覚えたのも事実。ストーリーも予定通りで意外性も薄れ、もう一ひねりが映画的に欲しかったところ。原作にないという上戸彩演じるキャラクターも、作品に色を与えただけで、ストーリー的に面白くしたかというといまひとつ。前半が悪くなかっただけに、もうひと押し後半にあれば、もっと面白くなったかと思うと、惜しい気がしました。