●池松壮亮 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

池松壮亮 出演映画 ベスト10

 

今や邦画界においてなくてはならない存在になっています。

 

1 大人ドロップ

主演の池松壮亮演じる高校生ほか男女4人の繊細かつ不安定な心情を丁寧に描き、好感度の高い作品に仕上がっています。余分なクラスメイトを登場させることなく、ほぼ4人の関係に絞った分、会話だけでなく表情や態度もじっくり描くことができ、言葉にしない彼ら彼女らの秘めた思いなども如実に伝わり、心が痛くなるほど。特に主人公由の心の言葉として時々ナレーションを差し込むことで、彼の迷いや揺れ、嫉妬心、恋情、状態は同じ男として、若いころを思い出しながらも共感できるところが多かったです。また性格の違う二人の女子もそれぞれ魅力あるキャラクターとして描かれていて、特に春ちゃんの素直な一生懸命さには、年甲斐もなくキユンキュンさせられました。最後に示されるその後の彼らの関係には、それが大人への成長ということなのかもと思いながらも、どこか寂しさを感じたりもしましたが、作品全体に映し出される大人への成長過程にある等身大の高校生の姿に、懐かしくも切ない思いでした。

大人ドロップ

 

2 横道世之介

懐かしくて、微笑ましくて、そしてせつない、まさに「CHA-CHA-CHA」や「MONOTONE BOY」がヒットしていた時代に、地方から上京して大学生活を送っていた身にとっては、たまらない青春映画です。2階建ての木造アパート、シャツインのファッション、連絡は固定電話、ねるとん、車…まるでタイムスリップをしたように、心はあの頃に連れて行かれました。バブル景気で世の中全体が浮かれている時代、そんな雰囲気もあちらこちらに出ていましたね。そんな背景の中での二人の恋愛模様も、進んだり止まったりで、どこかもどかしい感じが微笑ましかったです。そんな青春時代に差し込むように、10数年後に思い出として世之助が語られ、そして消息が明らかになる構成も、懐かしさを誘いました。短期留学に立つ祥子に「帰国後真っ先に見せる」と約束した写真が、10数年経って初めて祥子の目に触れた事実。そのことを思うと、映画のラストシーンのあと世之助と祥子に何が起きたのか、想像すればするほどさらにせつなくなるのです。世之介が大学に入って最初に友だちになるのが池松壮亮です。

 

3 夜のピクニック

等身大の高校生の姿が自然に描かれ、好感の持てる作品になっていました。一晩歩き続けるというだけのストーリーを、うまくまとめていたように思います。主要の4人はごく普通の高校生としてリアルに映し出し、脇に何人か多少極端なキャラクターを配置して時々からませることでメリハリをつけていたのが、うまく作用していたのでしないでしょうか。捉え方によると過剰演出とも言われかねないのかもしれませんが、調子のいい野郎、受け狙いばかりに走る奴、小悪魔的な女生徒、正義感で突っ走る者、どこにもそんな生徒はいるもので、映画の展開を見守る一方、「こんな奴いるいる」というような別の楽しさもあってなかなか面白かったです。前半のクラス行動ではクラスの中の仲良しグループで歩き、後半の自由歩行からは別のクラスの一番の親友と行動を共にする、そのあたりの交友関係などもリアルだったように思います。加藤ローサ演じる生徒の弟役で池松壮亮は出ています。

 

4 ぼくたちの家族

石井裕也監督は実に手堅くきっちりと作品を仕上げてきます。今回は今までの作品に比べてユーモアの部分が薄く、シリアス度が高いのですが、丁寧な描写で観る者にテーマをしっかりと伝えてきました。4人家族の関係性、それぞれの性格や生活背景などの描写が実にリアルで、こと長男と次男の対比は見事というしかありません。長男は長男ぽく、次男(池松壮亮)は次男らしく映し出していますし、本音で常に話しているように見えた次男が、母親の手術のあとでぽろりと本当の思いをこぼしたシーンは秀逸。繊細かつもちろん演技で応えた二人も文句なし。重くてけっして派手ではない題材、さらには使い古されてきた難病ネタでありながら、一方で観客を飽きさせないという手腕も確かなものです。良くできていました。

ぼくたちの家族

 

5 セトウツミ

コントというような漫才というような、とにかく脚本の出来に大きく左右される類のコメディでしたが、池松壮亮と菅田将暉、芸達者の二人の貢献もあって、くすくすと笑える作品になっていました。二人の対照的なキャラクターも生かされていて、とにかく頭がよくてクールであまり感情を現さない内海と、お調子者でおバカで感情がすぐ表に出る瀬戸、その設定どおりの会話が随所に繰り広げられ、笑いを誘います。マドンナの樫村を巡るやりとりがまた面白く、一人で憧れてその彼女の反応に一喜一憂する瀬戸と、実は瀬戸の知らないところで樫村とあれやこれやがあった内海。そんな瀬戸をどこか見下したようなところがある一方で、誕生日にはサプライズでお祝いしたりと、ほぼ唯一の友達といえる瀬戸に対していいところもあるのですよね。一方飼い猫の死や両親の離婚問題に消沈する内海は、怖い先輩の前では態度が一変するなど、実に人間らしい愛すべきキャラクター。馬鹿だと思いつつも、好きになってしまう魅力があるのです。くだらないことを考えては、○○選手権とか、○○グランプリとか二人だけで勝負しあう姿を見ていると、こんな青春もいいなあと思えてしまいます。短めの作品でしたが、面白かったです。

 

6 宮本から君へ

壮絶な愛、でした。まさに命がけ。恋人を巨漢の男に強姦され、その復讐のためにぶつかっていく男ですが、とにかく強い!最初はコテンパンにやっつけられてしまうのですが、それでもあきらめずに再度挑戦!冷静に考えればこれは犯罪ですので、警察に訴えるのが一番だとは思いますが、そういう選択肢は二人にはなかったみたいですね。冒頭でいきなり二人が恋人同士になってしまうので、そこまでの気持ちが盛り上がっていく過程はなく、はたして二人の気持ちの大きさは本物なのか、計りかねないところはあったのですが、少なくとも男側の気持ちのまっすぐさは伝わってきました。一方で感情の起伏の激しい女性は、本音なのか裏腹なのか、女心はなかなか読みにくいところもあるのですが、こういった役どころは蒼井優はさすがに上手です。ただし今作はかなり激しいベッドシーンもあり、ヒヤヒヤドキドキするところもあったのですが、最後は池松壮亮演じる男の気持ちの強さに、すべてを預ける気持ちになったのでしょう。元カレだったり、強姦犯人だったりと、いけすかない男ばかりが登場しますが、それでも揺るがない愛、恐れ入りました。

 

7 町田くんの世界

最後の風船をもって飛ぶ展開は、現実的な世界から急にファンタジーの世界に飛んでしまい、戸惑ってしまいましたが、それまでの展開は「恋って何?」「好きってどういうこと?」から始まり、先に恋心に気づいた女の子を男の子が追いかけるという展開で、純な青春ラブコメ映画をあじわうことができました。無名の新人二人を主役に抜擢しながら、脇役がとにかく主演級の俳優がずらり。しかも高校生の役にアラサーの男女がずらりと並び、このあたりは監督の遊び心にも感じられます。前田敦子、岩田剛典、高畑充希あたりは実にいい味を見せていました。自分よりも人のことばかりを優先させてしまう町田くんが、自分のことだけを考え始めた時が恋の始まり、ということで、初々しい二人をとにかく応援したくなるような、そんな映画でした。池松壮亮は週刊誌の記者役。

 

8 よこがお

抱えてしまった秘密が重しとなって、作品全体を支配するどんよりとしたムードは、深田晃司監督得意の空気感。身内に犯罪者をだしてしまい、しかもその犯行のきっかけが自分にあったこと、被害者が知り合いの中学生の次女であったことなどが重なる中、同じ家族の親しい長女との間で秘密を抱えることになります。しかしいつまでも秘密にしていられるわけもなく、世間に明るみになってしまうのですが、そのきっかけが自分の婚約に嫉妬した長女の言動の変化ということから、物語はこじれていきます。嫉妬がもたらせたその言動は、やがて別の復讐を産み出すものの、その復讐は何かを変えるものにはならず、結局は仕事も婚約者も家も友人も信頼もすべてをも失ってしまうという結末に。ラストと近くでさらりと描かれていますが、甥である加害者の母親、つまり主人公の妹まで失うという悲劇は、後味の悪いまま、どんよりとした空気の中で終わっていきます。あまり感情の起伏を見せることなく、すべてを受け入れていくような主人公ですが、その心の内の奥はいったいどうだったのでしょうか。明確な回答を見せずに、いろいろと観ている側に想像させるような形で作品は終わっていきました。池松壮亮は美容師役が似合いますね。

 

9 砂時計

中学高校時代と結婚を控えた今とを交錯させながら、田舎の景色を背景に叙情的に恋愛模様を映し出した、雰囲気ある作品だったと思います。やや全体的に暗い印象なのかもしれませんが、それは終始一貫していますし、母親の自殺の影というものがこの中で描かれている恋愛模様に大きく影響を与えているのも、最初から最後までぶれてはいなかったと思います。主人公の人格にトラウマとしてその出来事が大きく影を落としているばかりではなく、素質として引き継いでいる部分もかなりあったのかもしれません。好き同士なのに別れる、しかも一方的に別れを告げられる、普通に観ていればよく理解できない可能性もあるのですが、これが半ば心理的に病的な素質を自覚した末の決意であることで、説得力を持ってくるわけです。それが、10年後のもうひとつの別れにも繋がってくるわけでもあるのです。さらにクライマックスで主人公のその病的な部分がもっと明確にされたことにより、主人公の恋愛模様を「母親自殺の影を引き摺った一人のヒロインの心理的葛藤」というテーマの下で繋げて観ることができたわけです。その意味で、自分の中では、一連の展開をわりとスムーズに受け止めることができました。そして島根県の昔ながらの田舎の風景が、懐古的なドラマ構成に調和し、感傷的なムードを盛り上げてくれたのでした。池松壮亮はカップルのうちの男の中学時代を演じています。

 

10 だれかの木琴

ごくごく普通の家庭の主婦にはらむ危険のようなものを感じずにはいられません。仕事もせず、子供も手がかからなくなり、引っ越したばかりで近所は誰も知らないそんな主婦が、無意識のうちに陥ってしまう家庭崩壊への入り口。偶然はいった美容室の若い美容師(池松壮亮)へのストーカー的に行為がエスカレートしていく主人公ですが、彼に対する愛情とか、執着とか、そんな本心は一切この作品では語られません。好きなのか、彼女に嫉妬してるのか、そんな言葉は一切なく、ただただ若い美容師だけに執着していく。ほかに夢中になれるものがないゆえのものなのか、そんな心の空虚さが生み出した業なのか、とにかくメールを送りまくり、家も訪ね、彼女の店にまで行ってしまう始末。自分の行動をどこまで理解しているのかさえ分からず、どこか病的な感じさえします。ところがその彼女が乗り込んできたことをきっかけに、夢から醒めたようにひいてしまうのがまた不思議なところ。隣にいるのにメールで謝罪をし合う夫婦の姿もまた異様で、最初から最後まで不思議な感覚が抜けることはありませんでした。

だれかの木琴

 

11 春を背負って

12 DIVE!!

DIVE

13 永い言い訳

14 UDON

15 信さん・炭坑町のセレナーデ

16 斬、

17 わたしのハワイの歩きかた

18 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

19 私たちのハァハァ

20 紙の月

 

21 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

22 蒼き狼 地果て海尽きるまで

23 ちょっと思い出しただけ

24 万引き家族

25 海よりもまだ深く

26 愛の渦

27 続・深夜食堂

28 無伴奏

29  カツベン!

30 君が君で君だ