●永島敏行 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

永島敏行 出演映画 ベスト10

 

1 みをつくし料理帖

江戸時代の小さい料理屋を舞台に、幼なじみの若い女性同士の友情を描いた作品で、時代劇としては珍しいテーマを扱っていたと思います。料理店を引き継いで切り盛りするのも若い女性ということで、このあたりは時代劇でありながらも、現代的なニュアンスを持った作品だったと思いますが、優しさにあふれた素敵な映画でした。感動を誘われました。ここに描かれている人間関係がどれも温かくて、幼なじみ同士の友情物語だけにとどまらず、両親を亡くした女の子を助けた料亭の女将との母娘のような関係性、料理屋の老主人の若い主人公を見守る優しい視線、店にやって来る侍や物書き、医者といった個性的な人々との温かい交流、そして吉原にて命がけで使える料理人。素敵な人間関係が二重、三重、四重に描かれていて、とても人間らしい気持ちに包まれるのです。その中でも、8歳で別れて以来一度もあっていないのに、強い絆で結ばれた友情が素晴らしく、何回も心の中でうるうるしていました。主演はとうとうここまで昇りつめた松本穂香。その幼なじみ役が奈緒。吉原の中で世間から隔離されて囲われている感じの雰囲気がよく出ていて、配役としてぴったりだったように思います。角川春樹最後の監督作ということで、かつて角川映画で活躍した薬師丸ひろ子、浅野温子、渡辺典子、野村宏伸といったキャストが顔を見せているのも、ニヤリとしてしまうところでした。奈緒演じる野江が暮らす翁屋の楼主が永島敏行。

 

2 十八歳、海へ

偶然から心中詐欺に味をしめ、機会をうかがっているうちに、自らの意思で死を選んだ若すぎるカップル(永島敏行と森下愛子)。若さの危うさを瑞々しい映像で映し出すのは藤田敏八監督のまさに得意分野。無防備で、けっして万人には理解できない彼ら彼女らの行動ではありますが、その彼らの心のうちに何か答えがあるのだろうと、観ながら必死に見つけたくなるような、不思議な魅力を放つ作品でした。40年近くたっても決して色あせない作品でもあり、特に森下愛子の放っておけないようなはかないかわいらしさ美しさに惹きつけられました。

 

3 事件

法廷シーンを主軸に回想シーンを効果的に使い、また裁判官や検察側からの目線でのシーンも入れ込むことで、重厚でかつ人間くさいドラマに仕上げた作品です。単純な殺人事件としてのとっかかりから、加害者・被害者を取り巻く人々の葛藤が入り混じり、彼らの複雑な心理をうまく描き出すことに成功しています。裁判の過程で暴きだされる隠された内側の劣情や打算、意地、或いは自分の置かれた立場、そんなものがうずまき、ドロドロした中にも人間らしさを如実に映し出し、単なる法廷ミステリーで終わりません。キャストにも芸達者が揃い、今見てもなかなかの豪華キャスト。観ている者を常に画面に引き付けておく力強さを感じさせられました。永島敏行は殺人事件の犯人として捕らえられる青年役。

 

4 ゴールデンスランバー

さすがに売れっ子作家の原作に、ベストセラー小説の映画化作品に長けている中村監督の組み合わせということで、面白く観ることができました。わけもなく犯人に仕立て上げられて追いかけられる不条理こそが、この作品の生命線。ですから「なぜ?」は不必要なのですね。「なぜ?」を問いだしたら、この作品はまったく成立しなくなるわけで、とにかく背景にあるものはすべて無視。「なぜ彼が?」「犯行の狙いは?」などと探るのは野暮というものということでしょ。主人公がどう冤罪を晴らすかでなく、どう逃げ切るか、それだけに絞った展開によって、スピード感と緊張感にあふれた作品に仕上がったのだと思います。堺雅人のキャスティングもうまかったですね。これだけ大々的にマスコミから犯人扱いされても、まだ彼を信じて手を差し伸べようとする人々が多くいるということ、それにはこんなことなどするわけがないという、にじみ出てくるような善人ぶりが大前提となるわけです。観ている者が少しでも「こいつ怪しい」と思ったらアウトですし、その意味で、主人公にまったく落ち度がなく、ただただ陰謀に巻き込まれただけだと無条件に受けいれられるキャラクターということで、まさにはまり役でした。サディスティックで狂気的な男を永島敏行は演じています。

 

5 糸

瀬々監督らしく壮大でボリューム感たっぷりのドラマで、見応え十分でした。どんな場所であっても、どんな境遇であっても、うまくいっていてもいってなくても、登場する人たちがみんな一生懸命生きている感じがして、不思議な快さを覚えたのです。頑張ってみんな必死に日々をもがきながら生きている様子に、心が洗われるような思いでした。一方で中学生の時に出会った二人が、何回かの再会と紆余曲折を経て最後に結ばれるまでがドラマティックで、舞台も北海度から東京、沖縄、シンガポールと長い距離が、そこまでの道のりの長さ、困難さを表しているようで、それがこの作品の壮大さにも繋がっていたのではないでしょうか。豪華キャストの中では、がんに侵された役を、おそらく体重まで落として臨んだであろう榮倉奈々のリアルな演技が目をひきました。永島敏行は榮倉奈々の父親役での出演。

 

6 遠雷

永島敏行が農業に従事する青年を好演。1980年代当時の農家の青年のリアルを映し出した作品です。お見合いで知り合った女性を演じる石田えりも、今観ると演技は未熟さを感じますが、明るい娘役を感じ良く演じ、好感が持てます。友の殺人や親の不倫など、重いテーマを扱いながらも、すがすがしい気持ちにさてくれる佳作といっていいでしょう。

遠雷

 

7 二百三高地

とにかくボリューム感のある作品です。日露戦争のポイントとなる戦いの前後の戦況と勝利までの苦難の道、そして多くの犠牲を描くことで、勝利と言う喜びの裏で数多くの涙が流されたことをクローズアップしています。さだまさしの防人の詩が中盤でその歌詞まで字幕入りで流され、強調されているところに、戦争というもののもたらす重さを感じました。仲代の最後の泣きながら崩れ落ちるシーンは印象的です。永島敏行は乃木保典役。

           

8 真夏の方程式

一言でいうと「手堅い」といったところでしょう。派手なアクションがあるわけでもなく、狂気的な連続殺人があるわけでもなく、奇想天外なトリックを駆使するわけでもなく、科学的に組立を使いながらの癖のない正統派のミステリーに仕上がっていたと思います。キャラクターに頼り過ぎず、ドラマ性もきちんと折り込まれていますので、ドラマを観ていなくてもそれなりに楽しむことができるでしょう。とっかかりの環境破壊問題の動向についても、もう少し突っ込んだ後追いの描写があれば、さらに深みのある作品にはなったかもしれませんが、2時間強の中では合格点でしょう。永島敏行は警視庁の管理官役。

 

9 幸福

殺人事件の捜査を軸にとりながらも、犯人探しはこの映画の主題にはなく、若い二人の刑事を取り巻く「婚約者の死」「妻の家出」という状況の中に感じ取るタイトル「幸福」についてを描き出している厚みのある作品になっています。母親がいなくなった中、忙しい父親に対する子供たちの健気さに、ジーンときてしまいます。永島敏行は刑事役。

 

10 ひめゆりの塔

太平洋戦争での女学生の悲劇を描いた作品はたびたび作られますが、何度描かれても、くどすぎるということがない、語り継ぐべき悲劇です。特に今作は生き残った少ない人々の視点を中心に描かれているということが特徴ともいえます。ラストに戦後に生き残った先生との再会シーンを入れ込むことで、一味違うものになっています。死を美とするだけでなく、それ以上に生き残ることの美しさ、尊さを強調していて、その点で平成時代に作られた戦争映画なのだということを実感するのでした。戦火の中、食べ物も寝る場所もろくに確保できない中で、破滅へと進んでいく戦況を戦い抜いた彼女たちの思いを考えると、せつなくやるせない気持ちだけがやはり最後には残ってしまいました。永島敏行は女学校の教員を演じています。

 

11 種まく旅人~みのりの茶~

12 皇帝のいない八月

13 クロスファイア

14 出口のない海

15 連合艦隊

16 黒いドレスの女

17 動乱

18 異人たちとの夏

19 英霊たちの応援歌 最後の早慶戦

20 渋谷物語