●高畑充希 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

高畑充希 出演映画 ベスト10

 

1 怒り

配役と犯人の写真の作りかたがかなり巧妙で、3人のうちのだれもが犯人の可能性があるように思え、うまく映像を利用したところがまずは褒めたいと思います。日本の3か所で同時進行で進んでいる出来事。素性の分からない一人の男がそれぞれに現れ、そこで暮らす人の心の奥に入り込んでいく中、それぞれに信頼関係が生まれていきます。その中で東京と千葉においては、繰り返される殺人事件の報道、整形の写真、情報公開を求める番組等の中で、もしかしてという気持ちが芽生えることで、瞬間的にその関係が揺らいでいきます。しかしその疑惑が疑惑でしか分からなかった時に、相手を信頼しきれなかった自分を公開する大粒の涙が…。東京ではそれは取り戻すことができないこととなり、一方千葉では再度のチャンスが与えられるわけで、そのあたりの差はありますが、受け入れる側が信頼しきれなかった結果での展開ということでは一致しています。しかし残りの沖縄は逆で、信頼していたのに裏切られたというところから最後の衝撃的な第二の殺人事件に繋がってしまったわけで、その構図は他の2か所とは異なります。またよそ者の男が犯人ではないかと疑われることもなく、結果からみると、一番怪しくない人物が実は犯人だとか、結局人間性としては犯人たる性格の持ち主だったとか、その意味では真っ当で正攻法な結果だったのではないでしょうか。ここのところ重い作品の続く李相日監督ですが、きちんと見せる作品に仕上げてくるところはさすがと言ったところです。高畑充希は見知らぬ女性という立場での出演。

 

2 泥棒役者

舞台劇からの映画化作品ということで、閉ざされた空間での会話劇が楽しいです。勘違いからそれを取り繕うとしてふかみにはまっていく主人公のあたふたぶりと、やがて泥棒だと知られてしまう中でも、彼の人の好さを知ったみんなが、彼を結局許して助ける人情話っぽいところがまじりあい、笑いとほろりがいい塩梅に繋がっています。場内からもところどころで笑いが漏れる映画は、それだけでも楽しい気持ちになってきます。ねられた会話での知的なやりとりも面白く観られました。丸山隆平演じる主人公の恋人を高畑充希が演じています。

 

3 町田くんの世界

最後の風船をもって飛ぶ展開は、現実的な世界から急にファンタジーの世界に飛んでしまい、戸惑ってしまいましたが、それまでの展開は「恋って何?」「好きってどういうこと?」から始まり、先に恋心に気づいた女の子を男の子が追いかけるという展開で、純な青春ラブコメ映画をあじわうことができました。無名の新人二人を主役に抜擢しながら、脇役がとにかく主演級の俳優がずらり。しかも高校生の役にアラサーの男女がずらりと並び、このあたりは監督の遊び心にも感じられます。前田敦子、岩田剛典、高畑充希あたりは実にいい味を見せていました。自分よりも人のことばかりを優先させてしまう町田くんが、自分のことだけを考え始めた時が恋の始まり、ということで、初々しい二人をとにかく応援したくなるような、そんな映画でした。

 

4 アオハライド

かなりくすぐったいようなこそばゆいような、恥ずかしくなるようなくさい言動がいっぱいなのですが、青春=くさいはそういえば昔からのもの。映像が奇麗ですし、本田翼がとにかく可愛い!この子は表情が非常に豊かで、話を聞いている受けのシーンでもよく顔の筋肉が動いています。そして仲間がほんとうにいい奴で、これもまたくさい要素の一つ。冒頭にあった仲間からの総スカンはどうした?勉強も少しはしろ!校内でこんなどうどうとキスしちゃうの?とか突っ込みどころも満載なのですが、タイトル通りの青春期の青臭さのようなものが全編を支配していて、なんか懐かしかったです。高畑充希は不幸な子供時代を送った女子役での出演。

 

 

5 キャラクター

オリジナルストーリーということだけでも意欲を感じます。売れない漫画家の卵が、たまたま目撃した殺人事件を漫画にしたことが、突然のお金持ちに。結婚して奥さんは子供を妊娠と、一見順風満帆幸せいっぱいに見える主人公に忍び寄る、連続殺人犯の影。その連続殺人犯に、本職の俳優ではないFukaseを配したところがまた味噌なのでしょうね。ありきたりの犯人像ではなく、また作りこんだ演技でない、そのままナチュラルに存在しているような佇まいが、この犯人像に求められていた要件だったのかもしれません、作品を観て納得できました。最後はギリギリのところまで追いつめられる主人公でしたが、そこは映画、きっと最後には誰かが気づいて助けにきてくれるものですね。ただそれが、主人公により近かった小栗旬だなく中村獅童というあたりは、ちょっとひねりも加えています。何せ小栗旬が、突然殺されてしまうのですからね。とにかくサイコ・サスペンスとして、いろいろ工夫がされて面白く観ることができました。菅田将暉演じる主人公の恋人を演じたのが高畑充希。

 

6 ヲタクに恋は難しい

とにかく高畑充希がチャーミングで、不愛想に徹していて魅力を発揮するのが難しかった山崎賢人の分をも補って余るほどでした。アニメヲタクという設定の中、オタク用語やアニメのマニアックな単語が次から次へと出てくる中で、生き生きとそれらを語る表情が可愛らしく、そして愛を感じるもので、彼女の喜怒哀楽の表情を観ているだけでも楽しかったです。福田雄一監督もリアルよりもとにかく笑いを追求し、山崎を除くキャストの演技がこれでもかというオーバーアクト。高畑はもちろん、佐藤二朗はいつも以上のやりすぎ感が妙にフィットしていましたし、菜々緒や斎藤工のあるシーンでの豹変ぶりがとにかく大げさなのですが、それがまたいいのです。原作ファンからは厳しい意見も多いようですが、私は素直に面白かったです。

 

7 アズミ・ハルコは行方不明

ラストシーンを観るまで、時間軸のずれがよく分かっていませんでしたが、それを観て納得、腑に堕ちました。実際にはかなり空白の時間があって、観ている方はそれを埋めていかなければならないという作業があり、かなり想像に任される部分は多いです。原作はまた違った流れの用で、映画用にかなり組み替えているようですが、小さい町で冴えない暮らしを続ける安曇春子の息苦しさは充分に分かりましたし、失踪するのも仕方ないとは思います。一方で別の大きな街へと旅立っていく思い切りもないようで、安曇に限らずその同級生たちも、羽ばたけずに、うだつの上がらない日々に彷徨っている様子もまた、痛いものがあります。正社員でなくアルバイトで過ごす同級生の男、結婚してもすぐ出戻りしてきた同級生のキャバ嬢、認知症の親をもてあまし怒鳴り続ける母親、小さい会社で安月給で働き続けるOL、そのOLを陰でからかうことしかできないセクハラ社長…。一方でそのうっぷんを集団暴行という形や、落書きというもので紛らわす若者たちもいて、日常の鬱屈感をちまちま貯め続けるか、爆発させるのか、いずれにせよ健康的でないこの街の人々の様子が、物悲しくもおかしさを誘うのでした。高畑充希は20歳のちょっと軽めの女の子役。

 

8 こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

大泉洋演じる体が不自由な鹿野やヒロインの高畑充希演じる美咲の人間性がにじみ出た作品となっています。冒頭はちょっと嫌な奴に思えた二人ですが、物語が進むにしたがって、みんながそこに集まる理由のようなものが次第に伝わってきました。実話ベースということで説得力がある上に、障碍者の生き方、あるいは医療の在り方というものにも問題提起する一方で、人生をせいいっぱい楽しむために道を嫌い開いていくバイタリティ、そして彼からあふれるユーモアなど、作品の中にいろんなものが吹きこまれています。一方イケメン医大生との恋愛と将来を第一に考えているような普通のフリーターが、鹿野の影響で再び大学を目指し勉強を始めるという生き方も前向きになっていくのです。対照的なのが三浦春馬演じる医大生。ボランティアの中で自分の目標を見失い、ボランティアまでやめてしまいます。そんな意味で鹿野という人は、周りの人にも大きな影響を与えるような人物であったことも伝わってきました。大泉の飄々とした味わいがうまくはまって、魅力的な作品になっていました。高畑充希は新人ボランティア役。

 

9 書道ガールズ!!わたしたちの甲子園

ベタな展開ですが、アンジェラ・アキの歌がマッチしていて、最後はすがすがしい気持ちになれた青春文化系部活動映画になっていました。男子部員の影の薄さと、ところどころにあるわざとらしさがなければ、より自然に受け入れられたでしょう。そこが惜しいです。高畑充希は書道部員の一人として登場。

 

10 明日の食卓

瀬々敬久監督らしい重いテーマの群像劇です。同じ読み方の名前の息子を持つ3人の母親。裕福な家庭もあれば、シングルマザーとして一人で必死に育てている母親もあり。或いは2つの仕事を掛け持ちして働きまわっている母親もいれば、専業主婦もいる。それぞれに環境も異なる中ではあっても、子供との関係にはその家庭なりの問題があるわけで、それが次第に大きくなっていくのが、この作品。中でも尾野真千子演じる母親の一人息子は、観ている側からしても、どうしていいか分からなくなるほどの不気味さをもって描かれていて、もし自分の子供がこんなだったら、気が狂いそうになるだろうというぐらい。一方菅野美穂演じる母親での男二人兄弟の兄弟げんかは、まあよくありそうな感じではあります。ただ問題なのは、父親が職を失ったことをきっかけに暴力をふるい出したこと。そしてたまっていたものが一気に爆発することになるのです。高畑充希の母子は、一番貧しいけれど、互いに思いやっていることは伝わってくるので、その点では安心感はありました。ただこの作品、予告を観ると、この3人の誰かが子供に手をかけるのだろう思わせておいての、4人目の母親の存在が突然最後に出てくるわけで、そのあたりは正直観ているものを馬鹿にしているようにも感じます。一体3人の誰だろうか、やっぱりサイコパスと言われた尾野真千子の子供だろうかといろいろ想像させて上での肩透かし。これがあると、結局作品として描きたかったのも、犯人当てだったのだろうかと、もっと大事なテーマがどこかへ飛んで行ってしまうような気がして、かえって興ざめでした。