●山崎努 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

山崎努 出演映画 ベスト10

 

1 世界の中心で、愛をさけぶ

これでもかというくらい泣かせにかかる、正攻法の純愛映画。1986年という時代背景が、世代の重なる自分にとってはノスタルジーも合わさり、余計に切ない気持ちにさせられました。佐野元春や渡辺美里、ウォークマン、ザ・ベストテンなど、音楽や小道具もそのあたりをくすぐり、その世代である行定ならではの演出も心憎い。さらに森山が大沢に似ていて、こうした時間軸の違う同一人物を演じるときの難題である、誰と誰が演じるかという点もクリアしているのも良いです。そして平井堅のエンディングテーマ。いかにも作りすぎ、出来すぎのストーリーにも関わらず、べたべたのラブ・ストーリーをべたべたに徹して完成させた好作品でした。写真館の主人役で山崎努は出演。

 

2 GO

最初から、スタイリッシュで凝った映像、「うんち」やらのふざけた言葉で、多少引き気味のところから、次第に国籍という深い問題に考えさせられるような展開へ。喧嘩、恋愛、友情、親子、進路と、普通の高校生でも迎えるあらゆる問題を、在日韓国人たちがどう向き合って、何を考えて生きているかを、無理なく描いていて、新鮮でもあります。告白するシーンでは非常にきつい思いも感じる部分です。俳優達もそれぞれいい演技をしていて、まじめに取組んでいるいい映画だという印象が残りました。窪塚洋介演じる主人公の父親を山崎努が演じています。

 

3 赤ひげ

町の養生所にやってくる人々は貧しかったり、酷い目にあってたりと、体だけでなく心に傷を抱えた人々ばかり。そんな人々とのいくつかのエピソードを通して、医師とはどうあるべきかを問うような重厚な作品となっています。一方で登場人物たちに感情移入しやすいドラマ展開で、そのあたりは黒澤明の巧みさも感じさせます。一つのエピソードの次はまた別のエピソードと、3時間の作品を最後まで飽きさせることなく引っ張る力はさすがといったところ。三船敏郎演じる医師も決して聖人君子ではないですが、弱きを助け強きをくじくという姿勢は一貫しており、まさに庶民の味方、弱者のヒーローといったところ。そこにちょっとした若き医師の卵の成長物語や恋物語も加わって、心に響く作品となっています。車大工役で山崎努は出演。

 

4 クライマーズ・ハイ

熱くそして重厚な社会派ドラマとして、非常に見応えのある作品になっていました。かなり長めの作品ではありますが、飽きることなく、最後まで引っ張られてしまいました。原田監督としては、「金融腐食列島・呪縛」以来の出来ではないでしょうか。演出のスピード感や男性社会の中での女性の使い方などは、かなり作り方も似ているように思いましたし。この作品、基本的には有名な飛行機事故の実態を暴きだすとか、被害者や遺族の無念を知らせしめるとか、そういったものに重きを置いていなかったのですね。原作もドラマも読んだり見たりしていないので、ちょっと違った想像をしていたのですが、大事故を題材にして、新聞社という特殊な中で戦っている記者たちのドラマを熱気ムンムンに描き出す、そんな映画でした。山崎努は新聞社の社長訳。

 

 

5 おくりびと

最も印象に残ったのは本木雅弘の「品性」でした。遺体を扱う仕事を見せる中で、それを人間の尊厳を引き出す立派な仕事として描ききるためには絶対に必要なもので、それを見事に体現していたと思います。ひょうひょうとした山崎務演じる社長に付いて嫌々仕事をしているうちに、納棺師の仕事の意義を見出して行く様子が自然に伝わり、評判どおりの素敵な作品であったと思います。遺体を扱う仕事だからこそ、そこに品性を感じられなければ、まったくもって説得力がない作品になってしまうところでしたので、本木の果たすべき責任は大きかったはずです。脇役のキャストはすべて演技派を揃えてきたところからも、この作品に対する製作側の思いというものが分かるわけで、まずはこの作品が成功した大きな要素のひとつに、主役の演技があったのではないでしょうか。変にドラマティックに感情を煽ったりしない分、より好感を持てました。

 

6 その場所に女ありて

主人公は27歳の女性・キャリア。男性と同じように仕事に情熱を注ぎ、大きな取引先の仕事を取り付けることに全精力を傾け。一方でライバル会社の男性に惹かれ愛し合いながらも、仕事の上で自らのプライドを傷つけられると、自分の意志で別れを告げるのです。まさに当時としては時代の最先端を行っているキャリア・ウーマンなのです。それをこの時代において特別なことでなく、普通のこととして描いていることに斬新さを感じました。舞台になっている会社では、男性たちもわりと女性と対等に接しているように描かれていて興味深かったですし、オフィスで仕事しながら女性達がタバコをプカプカと、今まで映画ではあまり見たことないシーンで面白かったです。きりっとしてちょっときつい主人公、司葉子が好演してます。

 

 

7 検察側の罪人

確かにラストにはもやもや感は残るものの、作品全体としては見ごたえがあり、ぐいぐいと最初から最後まで引き付けられっぱなしでした。理想や正義も長く同じ組織にいるうちに、自分の中で形を変えてしまうということが、警察・検察の犯罪に繋がっているということを、若手や潜入記者の目を通して、いったい何が正義なのか、改めて問うています。法の下において犯罪を罰すという正義が、いつの間にか別の事件で罰しきれなかった犯人への無念さを晴らすための手段にすり替えられていくことに、長く組織に属してきた本人にはもう気づかなくなっている怖さ。木村拓哉と二宮和也との会話のやりとりには緊張感があり、その正義とは何かという応酬も、作品を大いに盛り立てていました。松倉を演じた酒向芳がまた本当に気味悪い容貌・言動で存在感が抜群。面白かったです。ただ最後だけは、やはり犯した罪の償いも何も明確にならずじまいということで、敢えての後味の悪さがなんともいえなかったです。山崎努は人権派のベテラン弁護士役。

 

8 祈りの幕が下りるとき

本格的なミステリー映画として見ごたえのある作品でした。構図は結構複雑で、ともすると説明を急ぎすぎて観ている者がついていけないケースも多々あるのですが、二組の親子の絆のドラマを絡めながら、しっかりした組み立てで、観ている側にも伝わりやすいように組み立てられています。ともに母親が家を出ていく過去を持つ似た経歴の男女ですが、立場や残った父親との関係性は実に対照的。事件の全容が少しずつ明らかになるとともに、二組の親子の事情も次第に分かっていくような構成で、ぐいぐいとストーリーに引き込まれていきました。なかなかこうした本格的ミステリー映画で最近成功することが少ないのですが、加賀恭一郎シリーズ1作目に引き続いて今作も、面白くしかも心を揺さぶるような映画に仕上げてきたのはさすがです。加賀恭一郎の父役で山崎努は出演。

 

9 日本のいちばん長い日

リメイク作品ではありますが、原田眞人らしい演出で見応えある戦争歴史群像ドラマになっていました。政府、宮中、軍部とそれぞれがポツダム宣言の受諾に対して思いを持ちながら、玉音放送までの時間に起きた出来事を刻々と追う中で、その時間は敗戦を受け入れるまでに最低限必要な時間であったのだろうという思いを強く持ちました。リメイク作品ですので内容的に目新しさはない分、前作から50年近く経過した今改めてこの作品を作る意義を考えながらの鑑賞でしたが、社会派の群像劇には長けている原田監督だけあって、緊張感を持たせながらも、現代の観客にとって観やすいものになっていたのではないでしょうか。  対外的というよりは、内部の反乱分子に対してどう収めていくかという駆引きのスリルも、ある部分娯楽映画としても耐えうる演出だったと思います。山崎努は鈴木貫太郎首相を演じています。

 

10 長いお別れ

認知症を発症した父親と7年をかけての「長いお別れ」を描いた作品です。厳格だった父親が少しずつものごとを忘れ、すべてを忘れてしまうまで、その妻と二人の娘との関係を中心に、年代を追って丁寧に描いていますが、決して苦しいとか悲しいとか辛いとかだけではなく、ところどころユーモアをもって描いているのがいいですね。認知症の本人はいたって暢気に見えるところがあって、しかもそんな父親に振り回されながらも、暖かな目で接する家族が家族らしくて好感をもてます。山崎努の飄々とした持ち味がかなり生きていたと思います。むしろつらそうなのは、2人の姉妹の人生です。英語も話せないのに米国で家族で暮らす長女は、夫との関係や息子の反抗期、そして不登校に悩み涙する日々。一方の次女は東京で店を開くという夢を抱えながらも、始めた仕事はなかなかうまくいかず、恋愛も結局は実らず、陰で涙することも。そんな二人を観ていると、実に切ない気持ちになるのです。それでも明るく気持ちを切り替えて前向きに生きていこうという姿は素敵で、応援したくなるのです。

 

 

11 道頓堀川

12 雪に願うこと

13 キツツキと雨

14 無限の住人

15 藁の盾 わらのたて

16 あ、春

17 悪の階段

18 モリのいる場所

19 皇帝のいない八月

20 ダイアモンドは傷つかない