●閉店・閉館映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

閉店・閉館映画

 

1 ラスト・ショー

ある町でのほろ苦い青春ドラマ。友情・愛情・友人の死・喧嘩・性など青春期のテーマと、さびれた映画館やビリヤード場、戦争の影と、情緒に訴える小道具も満載で,雰囲気たっぷりの哀愁を感じる作品。町の映画館が閉館を迎えるシーンで終わっていくのですが、映画館の終りと青春の終りが重なり、とっても寂しい気持ちになりました。

ラストショー

 

2 ユー・ガット・メール

今の時代では当たり前になってしまったネットを通じての恋愛も、1990年代後半においてはまだまだ目新しいもの。トム・ハンクスとメグ・ライアンの黄金コンビによるメールを通じてのロマンスを描いたラブ・コメディです。涙あり笑いありで、メグ・ライアン演じる主人公の働く書店をたたんでしまったあとの淋しさなどはしんみりもしてしまいましたが、メグ・ライアンの魅力が充分発揮され、そしてそれが作品全体のキュートな印象にも繋がったと思います。

ユー・ガット・メール

 

3 カーテンコール

映画ファン、特に昔からのファンにとってはノスタルジックでたまらない作品かもしれません。主人公の記者が追う1人の男性の人生が、映画の隆盛と斜陽と重なってくるように映し出され、ラストでは穏やかな感動を覚えます。決して派手な作品ではないですし、在日朝鮮人への差別といった社会的なテーマも盛り込まれ、まじめな映画ではありますが、人探しを展開の軸に持ってくることで、最後まで飽きさせずに観ている者の興味を離さない工夫されたつくりになっています。2/3以上は現代のシーンでしょうか、都会から久しぶりに田舎に戻ってきた女性記者を伊藤歩が好演。昔から好きな女優さんなのですが、「チェケラッチョ」ではどこか無理した感じがして違和感を持ったのですが、こちらでは等身大の役柄を好演していましたね。閉館する映画館が、昨年取り壊された地元の映画館と重なって、なんとなくせつない思いになりました。

カーテンコール

 

4 厨房で逢いましょう 

店を壊され再起不能となり閉店を決め、さらには事故から人を殺してしまったことで刑務所暮らしを余儀なくされるも、再起を果たすシェフの物語。せつなくて、あたたかくて、ちょっぴりドラマティックにな素敵な恋の映画を味わうことができました。シェフを演じるヨーゼフ・オステンドルフの味のある演技はもちろん素晴らしいのですが、それ以上に平凡な主婦を演じるシャルロット・ロシュのチャーミングなこと。見たことはないなと思っていたら、彼女は女優ではなく、司会業が本業らしいのです。映画主演は初めてということで驚きました。笑ったり泣いたりの表情がとても豊かで、シェフならずとも惚れてしまうのは無理もないですし、夫の嫉妬も仕方ないと思わせるような魅力であふれたチャーミングな存在感を醸し出していました。ついでにおいしそうな料理(もう少しアップがたくさんあると良かったですが…)も目の保養になり、おいしい時間を過ごすことができ、満足の1時間38分でした。

厨房で逢いましょう

 

5 ハミング・ライフ

短い作品ですが、都会でなかなか思うようにいかず孤独を抱える女の子と、やさしそうな男の子の、手紙を使った交流が心地よく響いてくる映画です。携帯電話のある時代、前近代的かもしれませんが、連絡先も記さずに手紙だけでやれとれをする二人が、いざ会おうとなったときに会えなくなってしまう寂しさ。アルバイト先の雑貨屋も閉店になりその寂しさ。昔ながらの手法で、今の時代には現実的ではないのかもしれませんが、二人の雰囲気がとってもほんわかして好感が持てました。

 

6 わたしは光をにぎっている

まだまだ人間として社会人として未熟で自分に自信がなくておどおどしている主人公を松本穂香が演じ、どこか良くも悪くも人間臭い作品になっています。都市開発の中で立ち退きを迫られ、閉館が決まった銭湯を舞台に、不器用ながらも日々を一生懸命精一杯生きる人々の思いというものがあふれ、改めて人の繋がりを感じさせられました。

 

7 浜の朝日の嘘つきどもと

一旦解体が決まった映画館の立て直しの映画です。恩師に頼まれただけで、面識のない館主に強引に再建を促す行動力は映画ならではという感もありましたが、映画ファンにとっては目の離せないテーマでもあります。個性的なキャラクターが映画を盛り上げています。ただ回想シーンも多く、スピード感は期待よりはかなり緩い速度。高畑充希演じる主人公の家族崩壊の問題やドロップアウトの過去、そして恩師とのエピソードと、半分ぐらいは過去のシーンでしょうか。よって、果たして映画館は取り壊されるのか、再建されるのかというメインの物語はのんびりめ。ただそれも舞台の福島の人々の雰囲気にはあっていたのかもしれません。100年続いた映画館の雰囲気と言い、上映される名画のラインアップといい、やはり映画っていいなという気持ちには間違いなくさせられました。

 

8 マイ・ブック・ショップ

後味の淋しい作品です。夢であった本屋を開いた未亡人に対して、力を利用して徹底的に弱らせ、退去を余儀なくさせる手口。未亡人の周りの人物も利用して裏切らせるやり方に、結局大きな力に抵抗するすべもなく、夢を絶たれてしまった姿は、あまりにも残酷でせつなくやるせないものでした。唯一の味方であった店を手伝っていた少女だけが見送る最後のシーンはとても寂しいものでしたが、背景に店から火が上がっているのが、唯一溜飲を下げたところでした。

 

9 オリヲン座からの招待状

日本映画全盛期からテレビの出現により斜陽を迎える前後の時代の映画館を描いた映画として、「カーテンコール」と比較したときに、どうしても作品としての弱さを感じていまいました。この映画では特に激しい展開があるわけではありません。とにかく、貧乏に耐えながらも、好きな映画のため、そして死んだ先代のために、長い間ひたすら映画館を守っていくだけの話なのです。そこにある日本的な奥ゆかしさをノスタルジー中で見せていきたいという主題のようなものは理解できるのですが、ちょっと物足りなかったです。

 

10 百貨店大百科

デパートの新任社長の元、業績と同時に人間性を取り戻して行く社員たちでしたが、最後には持ち直したにもかかわらず、隠された陰謀のせいで、百貨店は売却されていきます。ラストの合唱曲にはなんともいえないやるせない気持ちにさせられました。