●松田翔太 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

松田翔太 出演映画 ベスト10

 

1 望み

実に重い作品です。まさに究極の二択。行方不明の息子がどうやら殺人事件に絡んでいるらしいと。殺人事件は一人が殺されて発見、さらにもう一人殺されているらしいこと、二人が逃走したことが分かっている中、息子を含めた3人が行方不明だという状況で、息子は殺されたもう一人の被害者なのか、或いは殺した加害者なのか。どちらかであることは間違いのないという中で、自分の息子がどっちでほしいのか。父親は自分の息子が殺人者であるはずがないという気持ちが勝っていて、母親はどんな形でも生きていてほしいという気持ちが勝っており、夫婦感でも思いはちょっと違うのですね。しかしどちらも親としては当然の気持ちで、遅かれ早かれ最終的にはどちらかは真実となるというこの状態は、まさに苦悩としかいいようがありません。マスコミは押し掛ける、SNSでは犯人扱いされる、家や車はいたずらされる、仕事はキャンセルされるで、とにかく踏んだり蹴ったり。おまけに受験生の妹にもその被害は及び、まさに究極の辛い状況といっても差し支えないでしょう。結局息子は、友人を助けるために、そして家族に余計な心配をかけないために、結局犠牲になってしまったことがわかるのですが、最後に雑誌記者に母親が語った言葉が印象的でした。「私たちが思っている息子でよかった。生きて帰っていたら一瞬は嬉しかったかもしれませんが、その後も苦悩の日々が続いたでしょう」。松田翔太は週刊誌の記者役。

 

2 イニシエーション・ラブ

主人公の奥手な大学生を松田翔太が演じた作品。この原作をどう処理するかと思ったら、なるほどそうしましたか。考えましたね。日付に年を入れないで月日のみにしたところがみそですね。80年代の小道具をふんだんに盛り込んだところは、その時代に青春時代を送った者としては、くすぐられるところはあります。使われる音楽が必ずしも86から87年という時代に合致しない者がいくつかあったのは残念で、そこまで徹底してほしかったというのはあります。それにしてもマユという女の怖さ。一方で堕胎までして捨てられた可哀そうな女性を演じながら、並行して恋に奥手な女性を装い男を引き寄せる悪女ぶり。子供かと思わせておいて裏の顔は…。二人に「初めて送るの」と言って同じプレゼントをあげるのは、これ以外にも同じ手を使っているのではと思わせます。言い間違いがないように、無理やり同じ相性で呼び、間違いを起こさないようにする用意周到さ。一方でルビーの指輪を返すところなんかは、金や物が目的でもないらしい。いったい何を考えていたのか。ラストに見せる微笑みの恐ろしさよ。

 

3 オーバー・フェンス

それぞれに色々な背景を抱えながら大工の職業訓練校に集まった男たち。年齢も経歴も様々。特にこの主人公は妻子と別れ、職も捨て、特に目的もなく、失業保険つなぎのために入学している状態。そして出あったホステスは、感情の起伏が激しく、突然態度が豹変することもある、はたから見れば難しい女。その激情型の女を蒼井優が熱演しています。彼女や学校の仲間たちとの交流の中で落ち着きを取り戻していく主人公は、前妻やその実家との関係も雪解けしていくかのように、頑なな心がほぐれていくようで、ラストのバットを振り抜いたシーンには爽快感さえ感じられました。ただ生きるだけ、生きるために働くだけといいながらも、やはりどこかで光を求めて生きている彼らの未来が明るいものであることを祈りたくなるような終わりかたでした。函館の街も晴れたシーンが多く、その点も特徴的でした。ただ主人公以外の人物の背景がいまひとつ明るみにならず、特に実家の離れで暮らしている聡の生い立ちとか職歴とか恋愛遍歴とか、実は謎に隠されたまま。また訓練校の生徒を演じた松田翔太の役どころがいまひとつ存在感が弱く、使い方としてはもったいなかったです。

 

4 ライアー・ゲーム ザ・ファイナルステージ

ごくごく簡単なルールのゲーム1本で2時間以上持たせるのか?と思って観始めたものの、なかなかどうして。練られた展開で、最後まで面白く観ることができました。どうしてもコミックの世界を引き摺っているので、多少の大げさな演出やオーバーアクトは気にならないではないものの、すでにテレビの世界でもその独特な世界が築き上げられたものでもあり、そのあたりだけ割り切って観れば、映画としても鑑賞に耐えられるものだったと思います。人気が出たからといって、安易にスケール感だけ大きくして作るような「THE MOVIE」も多い中、ある程度計画に作られている分、まともだったように思います。脚本としてはかなり気を使ったでしょう、どうしても不備や粗を探したくなるような題材だけに、そのあたりも結構慎重に組み立てられていました。ただ「X」のが誰かということは、キャストの格と正体が明かされるまでの存在感のギャップで、想像はついてしまいますね。

 

5 スイートプールサイド

たかが毛、されど毛。それがコンプレックスにもなりうれば、欲情の対象にもなるということ。多くても少なくても悩みの種だったりするわけで、そんな毛にまつわる思春期終盤を迎えた男女の極端な悩みと暴走を描いて、思い切った作品です。よくもこのテーマでここまで思い切ったと。女の子が男の子に毛を剃らせるというシチュエーション自体があり得ないのですが、その場所が野外であったり、水着姿であったり、さらにはそれを保管して口にしたりと、もうこれは変態です。でもその変態がどこか分かってしまうところが、この映画の巧みなところ。行き過ぎのギリギリのところを攻めて、どこか「わかるわかる」という共感を引出すところに成功したように思います。変な映画ですが、笑えました。松田翔太は須賀健太演じる主人公の兄を演じています。

 

6 イキガミ

松田翔太主演。24時間後の死を突きつけられた3人の青年を中心にしたエピソードをまとめあげたこの作品、観終わっての第一印象としては、その3つのエピソードに心を動かされる感動の映画、そして「生きること」の意味を切々と問うたヒューマンドラマ、といいたいところなのですが、実際はそんな単純な問題ではないのですよね。3つのエピソードそのものは材料のひとつに過ぎず、漫画であれ映画であれ、作品として観てもらい感じてもらうためには感動的な要素がある程度必要であったということで、ホントウに感じてもらいたいのはもうひとつ奥にあるのでしょう。現代の日本を舞台にしながらも、架空の法律や医学技術により、特定の人間に「死」が仕込まれた社会。これは近未来SF映画的な設定でありますし、実際にある種のSF映画だといってもよいでしょう。その中で行われる国家による強制的な殺人、そして思想犯に対する強固な取締り。わざと穿った見方をしてみますと、これはまるである時代の日本と一緒ではないでしょうか。あるいは今にける世界のどこかの国(けっして1つではなく)にもそっくりといえるでしょう。

 

7 アフロ田中

ダメダメモテナイ仲間の中でも最も遅れをとった主人公が、可愛い女性の登場にどぎまぎしながら、一方で時々抑えきれなくなる性欲を持て余し、結局は振られてしまうという、バカ男たちのアホアホ騒動記。本当にバカらしい彼らなのですが、それでも憎めない、むしろ愛情さえ感じてしまう駄目さ加減についつい笑いながらも応援してしまったり。天然アフロの主人公を松田翔太が演じています。

 

8 スマグラー お前の未来を運べ

今作は100%石井克人という感じでした。執拗な拷問シーンなど、面白さと嫌悪感が紙一重のところでしたが、配役の妙と各俳優の熱演で、私の場合は「面白い」の方に今回は振れたみたいです。メインのキャストについては、やはり役柄のイメージに合った俳優を堅実に配していますし、それぞれがきちんと役目を果たしていました。脇役についても、短い登場でも強烈な印象を残す濃い面々を並べ、いつもの石井作品の常連さんも含め、皆さんいい仕事をしていたのではないでしょうか。もうひとひねり展開的にあると、抜群のレベルにまでいく可能性も秘めていたとは思いますが、たまにやり過ぎて興ざめすることも少なくない石井監督の作品としては、まずは楽しく(?)観られました。松田翔太は警官役。

 

9 一度死んでみた

とにかくカメオ出演的なキャストが豪華で、主演級の俳優が、一瞬だけ登場するというシーンがたびたびあります。贅沢な俳優の使い方で、それだけで華やかになります。またリリー・フランキーが「火野」という役で、堤真一と並んで「トントントントン…」と某トラック会社のCMのネタを差し込むあたり、実に心憎いです。その中での主演となった広瀬すずですが、今までにあまりない本格的なコメディで、振り切れた演技によって新たな一面を見せてくれています。歌を歌うシーンも多いのですが、思った以上にしっかり歌えていますし、改めて彼女のセンスを感じさせられました。作品自体は、まずありえない展開ではあるのですが、火葬を早くしたい裏切り派と、なんとか生き返るまで伸ばそうとする娘たち。そのせめぎあいがストーリーの肝となるわけで、コメディですからそのあたりはドタバタ劇ですね。食堂に社長の遺体を安置しておくなんて本当はあり得ないし、家族を差し置いて会社の社員が勝手に葬儀を進めるなんてことも考えられないわけで、そんな点も含めて、バカバカしさを頭の中空っぽにして楽しめ、というのがこの作品の観方なのでしょう。それはそうととにかく広瀬すずでした。そんな変な薬を発明したのが松田翔太。

 

10 ライアー・ゲーム-再生-

多少新鮮味が欠けてくるのは仕方ないところですが、また新しいゲームを仕掛けてきてくれるので、今作についても面白く鑑賞することができました。1作を通じて同じゲームをしながらも、1回1回全く狙いも優劣状況も変わってくるので全然飽きませんし、秋山が負けないことは分かっていても、どういう形で決着がつくのか展開も読めず、まったく目を離せません。ゲーム参加者のキャラクター付けについては、もう少し工夫の仕方があったようには思いますが、オーバーな表現も含めて、この作品の世界に求めるものは大部分満たしてくれていたと思います。