●M・ナイト・シャマラン 監督映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

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まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

M・ナイト・シャマラン 監督映画 ベスト10

 

良くも悪くも話題を呼ぶ監督です。

 

1 オールド

M・ナイト・シャマラン監督が久々にその才能を見せつけることができた作品ではなかったでしょうか。突っ込みたいところはたくさんあるにせよ、娯楽映画としては最初から最後まで、十分に楽しむことができました。年を取るスピードが異常に速いビーチに集められた人々、余命の少ない年配者や犬から死んでいき、その恐怖から殺人まで行われる始末。脱走しようとするとまた死んでしまい、八方ふさがりの中で誰が最後まで生き残るのか、ビーチから抜け出すことはできるのか、一種のサバイバル合戦の中で、それぞれが抱えている健康や家庭の問題も露わになっていき、目が離せません。シャマラン作品では時にオチが弱いこともあるのですが、今作はしっかり種明かしとなるオチもきちんとあって、鑑賞後の満足感も良し。細かいところを言うと、逃げようとしたときの気絶状態とか、種の分からないところもあったり、突っ込みたいところもあったりはしましたが、まあいいでしょう。お約束の監督自身の登場もあって、面白く観られました。

 

2 ヴィレッジ

それまでのシャマランの作品とくらべると、ストーリーはしっかり組み立てられていますし、幽霊→超人→宇宙人と続いた超常現象とはやや違った、演出された超常現象ということで、SF的要素のないものになっていました。ガラスに映る本人登場シーンはくすっとしてしまいますが、凝っている感じはします。ただ演技派を集めたのにも関わらず、ややその演出では力をもてあましている感じはありました。特にエイドリアン・ブロディの狂人の演技はあまりに直接的すぎるかも。

 

3 スプリット

シャマランが本格的なサイコスリラーに挑んだ今作は、彼の得意の領域にようやく戻ったというところ。しかもそもそもあったやり過ぎ感も控えめに、むしろ静かに進んでいくので、それが余計に恐怖感を増幅させています。犯行現場が最後の最後にようやく明かされるのですが、ところどころに会話などにその伏線も張られていて、もう一度見直してみたくなるのも『シックス・センス』と同じ。おまけにブールス・ウィリス御大がラストシーンで登場するというサービス付で、その登場のさせ方からしても、シャマラン自身も今作については『シックス・センス』以来の手ごたえを感じていたのかもしれません。24番目の人格の登場には、やはりシャマラン的演出ともいえる突然感もありましたが、さすがに多くの劇場で公開されるだけの出来にはなっていたのではないでしょうか。ジェームズ・マカヴォイの演じ分けがまた凄かった!

 

4 エアベンダー

酷評を受けた作品で、シャマランにとって最悪の時期だったかもしれませんが、個人的には実はそんなに嫌いではありません。大掛かりな娯楽大作を無難にまとめる力がこの監督にあったことに驚きました。近年流行のファンタジックなアドベンチャー映画を正攻法からとりあげ、続き物の序章としての今作は、まずは手堅く仕上げたという印象です。スターも登場しないのも今までと違うところ。それでも上映時間も適当ですし、すごく面白いということはなくても、へんに小難しくすることもなく、観やすい映画になっていたと思います。自分の作ったへんてこなストーリーから離れたことで、あまり無茶ができなかったのかもしれませんが、とりあえず続きも観てみようかなという気持ちにはさせてくれました。

エアベンダー

 

5 ハプニング

設定としては「サイン」に似たパニック映画ですが、「サイン」ではっきり正体が現れた瞬間にガクッときたものが、今回は見えない相手だけに最後までスリルが持続され、私としてはまずまず面白く観させてもらうことができました。人間に自殺を誘発する謎の「毒素」から逃げ回るマーク・ウォルバーグたち。姿の見える相手なら、とりあえずスクリーンに敵が映っていない間ならほっと一息つけるのですが、敵が見えないだけに、そこに「ある」のか「ない」のかさえ分かりませんので、その意味では観る側も油断出来ない作品だったと思います。途中らは、直接的にはその毒素とは関係ない、狂気に駆られた別の敵も登場するなどでパニックを盛り上げ、いつもよりも増してシャマラン監督はサービス精神旺盛だったように思います。ラストはシャマランらしい、相変わらずの後味の悪さ。この監督の場合、どうしても「シックス・センス」のイメージが強いため、あっというような結果を求めがちなのですが、実は他の作品についてはどんよりした結末なのですよね。それよりもすっきりしない後味の悪さこそがこの監督の持ち味であるわけで、その点でも、今回は彼らしいものになっていたと思います。

ハプニング

 

6 ヴィジット

映画撮影に興味があるという体でインタビュー形式の構成はシャマランも手を変えてきたなあという感じです。話自体は普通のホラーという印象ですが、二人の姉弟のおじいちゃんおばあちゃんだと思ったのが、実は…というところがすべての味ポイント。私はそれに気づくことはなかったのですが、気づいたとしたらあとはどう二人が切り抜けていくかというだけになってしまいます。そういう「仕掛け」があるという意味では、初期の頃のシャマランに戻ったという感もあります。おばあちゃんの不気味さも怖さを誘い、そこそこの出来にはなっていたのではないでしょうか。

 

7 アフター・アース

ウィル・スミスもその大部分が寝たままで指示をするだけの役では、彼本来の魅力も出てきませんね。同じく寝たきり演技に挑んだデンゼル・ワシントンほどの繊細な演技力があるわけでもないですし…。息子を立たせることを第一に考えた上でのこの「お話」だったのでしょう。ただ観ている方としては、スターであるスミスのキャラクターが立たないと、面白さも半減です。そんなお話をSF映画に仕上げたシャマランさん、このところは職業監督的な仕事が目立つようになっていますね。ただ作品の大半が二人芝居、しかも離ればなれの状態が長いので、映像に頼る部分がどうしても大きくなってしまいます。難しかったのでは?基本的に予定調和の展開なので、いつアーサが現れるかという緊張感はあるものの、安心して観ることができました。ま、SF映画に父子ドラマを盛り込んだ普通の映画です。

 

8 シックス・センス

シャマラン監督の出世作ですし、最も有名な作品です。計算され尽くしたシャマラン一世一代の作品ですし、赤や寒気など小道具を使った暗示も冴えています。単なるオカルトスリラーの枠に収まらないドラマ性を持たせた脚本も工夫がありました。ただ本来なら最上位に来ないといけない作品でしょうが、好きか嫌いかという判断ですと、個人的にはあまり上にはこなかったのですよね。当時話題になり過ぎて、へそ曲がりの私としては、逆らうような目で観てしまったというのがあるかもしれません。

シックスセンス

 

9 ミスター・ガラス

『アンブレイカブル』『スピリット』のメインキャラクターが集まってひとつになったという話題性はありましたが、作品としては平凡。オチも大したことはなく、普通のサスペンス映画でもよくあるようなもの。消去されたと思っていた動画が実はダウンロードされていて、死んでも彼らの超能力が世の中に知らせることができたよということですが…、パッとしません。ただマカヴォイ演じる多重人格男の怖さはさらにパワーを増し、観ているだけでもゾッとするところがありました。

 

10 サイン

なんとも中途半端なSFスリラーといった趣きの作品になってしまいました。それが意図的なものなのかどうかは不明ですが、最後は情けない姿をエイリアンがさらして終わりと、B級テイストの雰囲気いっぱい。エイリアンもどこか間抜けで、しかも地球に下りながら水に弱いというアホな設定。そこに親子と兄弟の家族ドラマを入れこんでしまったから、何がなんだか分からない際ものになってしまっているのです。とはいっても、最初から際ものとして見ればそれなりに楽しめるのですが…。とにかく出たがりのこの監督、結構重要な役で出てしまったりして、したい放題やっていました。