●リゾート海岸の映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

リゾート海岸の映画 ベスト10

 

リゾート地の海岸を舞台にした映画の特集です。

 

1 オールド

M・ナイト・シャマラン監督が久々にその才能を見せつけることができた作品ではなかったでしょうか。突っ込みたいところはたくさんあるにせよ、娯楽映画としては最初から最後まで、十分に楽しむことができました。年を取るスピードが異常に速いビーチに集められた人々、余命の少ない年配者や犬から死んでいき、その恐怖から殺人まで行われる始末。脱走しようとするとまた死んでしまい、八方ふさがりの中で誰が最後まで生き残るのか、ビーチから抜け出すことはできるのか、一種のサバイバル合戦の中で、それぞれが抱えている健康や家庭の問題も露わになっていき、目が離せません。シャマラン作品では時にオチが弱いこともあるのですが、今作はしっかり種明かしとなるオチもきちんとあって、鑑賞後の満足感も良し。細かいところを言うと、逃げようとしたときの気絶状態とか、種の分からないところもあったり、突っ込みたいところもあったりはしましたが、まあいいでしょう。お約束の監督自身の登場もあって、面白く観られました。

 

2 Summer of 85 

ひと夏の甘くそして苦い思い出で・この作品では男と男の恋愛になっていますが、これが男女であっても普通にありそうな夏の恋の物語を、どんなジャンルでもなんでも来いのフランソワ・オゾンが見事に青春映画に仕立て上げたというところですね。なんといっても海辺のリゾートっぽい町の景色の雰囲気がよくて、そこにまだ引っ越してからそれほど立っていない主人公と、父親を亡くして荒れていた頼もしい美少年、そして英国からやってきたばかりの奔放な女性が加わり、印象的な出会いから、恋が燃え上がり、三人目の登場によってあっけなく恋が終わり、そして最悪の悲劇へ向かっていきます。その1985年の夏の出来事を、甘美的に、そして懐古的に描ききったオゾン監督のまたひとつ新しい引き出しを見た思いでした。

 

3 ロスト・バケーション

時々海岸に人が現れるものの、大部分の時間が一人芝居。サメと怪我を負った鳥を相手にした芝居はなかなかスリリングで緊張感のあるものでした。最後は助かると分かっていても、この危機からどうやって抜け出すのか、目が離せませんでした。特に傷口の描写が結構はっきりしていたので、いかにも作り物っぽいサメの襲う姿よりも、そちらの方に目をそらしたくなるものがありました。欲を言えば、空腹とか、便意とか、そういった生命感のあるパニックも加えていれば、よりリアルなサバイバル劇になったようには思いました。

 

4 海と大陸

漁業と観光の小さな島に難民が流れ着いたことから始まる騒動を通し、人として何を重んじて行動するべきか、そんなことを問うドラマです。特に主人公の青年が、この出来事を通して成長していく様が、ほろ苦さを漂わせつつも、観ていて嬉しくなる感覚を持ちました。人の痛みを知り、そしてひとつ人間として大きくなることで、島の大人の男になっていくための通過儀礼を受けているようにも感じました。作品自体は至って実直、観光客でにぎわうビーチには華やかさを感じるものの、派手なのはよそからゃってくり若者たちで、島に住む人々の生活は質素なもの。昔ながらの人と人との繋がりが、ほどけつつある今の時代に、ちょっと寂しさを思ったりもしました。

 

5 恐竜が教えてくれたこと

少年のひと夏の恋・友情と成長を描いた甘酸っぱくも心温まる作品です。家族とバカンスにやってきた島で出会った少女には父親がいなかったが、その父親を見つけ出し島に招待。その少女の実の父親が、娘がいることを知り、そして父親であることを認め家族になるまでを、夏の島の美しい自然風景の中で映し出していて、瑞々しさを感じさせます。母親との二人暮らしの少女に新しい家族が増え、笑顔がはじける様子が素敵で、それに一役を買った少年の表情がまた誇らしげでよかったです。

 

6ザ・ビーチ

タイタニックで大ブレイクした直後のディカプリオが主演した、タイのリゾートを舞台にした作品。前半の青春アドべンチャ-的な展開から、後半はこねくりまわした映像での社会派ドラマへと変化。三角関係、四角関係があっさりしすぎて、とってつけたような感じもありましたが、最後の楽園崩壊の場面はひねりも感じられて挽回。

 

7 おもいでの夏

よくある思春期の性の目覚めを描いた作品という印象。この作品の命綱は瑞々しさ。海辺のバカンスという景色設定とあわせて、少年が大人になったひと夏の思い出をノスタルジックに映し出してはいますが、単純な展開にそれほど胸にしみてこなかったのが正直な感想。少年が憧れるには人妻というのがどうもしっくりこないし、悲しみから少年をベッドに誘った未亡人の心理も分かりにくいかな。

 

8 恋戦。OKINAWA Rendes-vous

登場人物が皆サングラスをかけたりして似たような格好で、時々誰が誰だか見分けがつかなくなるのが難点。犯罪コメディの形をとりながら、結末をみるとラブ・ストーリーがメインだったのかという、どこかとっちらかって忙しない印象を受けてしまいました。沖縄のビーチを背景にリゾートの雰囲気は悪くはないのですが、大金を手にしながらも、或いは追いながらも、どこか緊張感がないのも、映画としてのしまりをなくしている要因になっているようには思います。

 

9 エーゲ海に捧ぐ

池田満寿夫が勢いに乗って趣味的な意味合いも含めて作ってしまった映画という印象。官能的なシーンが多く、南欧の海岸のリゾート的な風景をバッグに奔放な性生活に興じる若者たちの開放的な日常、一方で生活感漂う薄暗い部屋で自閉症気味の娘を妹として養い、若い男に見も心もおぼれていく閉鎖的な家族の日常。その対照の中を行き来している主人公の青年の目の前の欲望に眩んだ行動に、最後に衝撃的な結末をつけるのが一人自分の世界に入り込んでいた自分の気持ちを言葉にすることも出来ない少女であった。エーゲ海の別荘の風景に似つかわしくないラストシーンは印象的。それがなければ、ただの官能映画です。

 

10 イントゥ・ザ・ブルー

どこかで観たことのあるような展開。海中に眠る宝をめぐる夢を追うグループと、悪徳一味の駆け引き。そしてサメ。海洋アクションものでは定番の設定と小道具に、正直「またか」という思いが先立ってしまいます。目新しさは一切なく、ジェシカ・アルバを主人公に持ってくることだけが売りです。そういえば邦画でも観たことがあるようなありふれた内容。その分刺激を強くしようとしたのか、後半はかなりえげつないシーンがいくつか現れます。サメに引きちぎられた美女、慈悲なく仲間を殺してしまう悪徳一味のリーダー、テンポは悪くないのでそれなりに楽しめないこともないですが、エンドロール直前に発見される本物の宝。これもありがち。