●柏原収史 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

柏原収史 出演映画 ベスト10

 

1 きょうのできごと

なんでもないようなある一日の出来事なのですが、そして今日も誰かが似たようなことをしているように思える出来事なんだけれども、皆弱い部分を持っていて、登場人物たちをなぜかいとおしく思えてしまいます。やや誇張しすぎるキャラクター、とくにけいと役の伊藤歩は、彼女としては珍しい幼い感じの女の子で、ここまでするかというほど子供じみた描き方をしているが、それでもやはり憎めません。大きな事件が起きるわけではないのにスクリーンに釘づけになってしまいました。乱雑にちらかった飲み残しや、夜中の買出しなど、一度や二度は誰でも経験したことのあるような場面にまた愛しくなるのです。パーティーの口実となる大学院に進学のため引っ越しが決まった学生を演じたのが柏原収史。

 

2 カミュなんて知らない

柏原収史主演作。大学のキャンパスを舞台にした青春群像ドラマ、とだけでは言い切れない不思議な感覚の映画です。複雑に入り組んだ人間関係が繰り広げられながら至って刹那的。これが現代の若者像なのであろうか。進みそうで進まない展開でも不思議と退屈さは覚えません。結局はなにひとつ完結しないまま映画は終わるので、どこかすっきりしない気分なのですが、これもまたこの映画の特徴。気を持たせるようなラストの「殺人シーンのシーン」がなんとも遊び心に満ちていて面白いです。過去の名作映画に関するセリフがふんだんに入り込められ、作り手の映画愛がビンビンと伝わってきますし、オープニングが現代の若者を描いている映画というにはあまりにもイメージが違う70年代映画の雰囲気を醸し出して、冒頭からいきなり引きずり込まれました。本田博太郎演じる「老いらくの恋」のエピソードは本線とはまったく絡んでこないご愛嬌としても、パロデイも盛り込まれ映画好きにはなかなか興味深い作品でした。

 

3 血と骨

強烈な暴力シーンとセックスシーンは生々しく人間を描いていますが、やや嫌悪感を抱いてしまうような映像はやりすぎの感はあります。それでもさまざまな欲望、そして情が入り乱れて強烈な生活観を匂わせる力強さというものは、監督自身の強い意気込みは感じられますし、それぞれの俳優も重い演技を熱演していたと思います。悲劇的な結末を迎える者、情と義理を果たし続ける者、打算的に上手に生きていく者、徹底的に反抗しながらも強く生きていく者、それぞれの生き方が交錯するそれぞれのドラマチックな人生が印象的。ただもう少し優しさが出てきていても良かったようには感じました。非合法組織に身を投じて逮捕されてしまう工員を柏原収史が演じています。

 

 

4 非・バランス

小日向のおかまっぷりがはまっています。その不思議なおかまちゃんと、主人公の13歳の女の子との奇妙な交流を描いた日作品です。彼女が過去に決別を付けて成長していく様子がどこか心地よく感じられました。柏原収史の役名はヒース。

 

 

5 出口のない海

死んで神になることが唯一の世間への自己アピールだと強く思う者、国の敗戦を冷静に予感しながらも自らを納得させながら心のどこかで覚悟しきれていない者、それぞれの複雑な内面を戦争のない時代に生きる自分の青春時代と比べ、なんとも残酷でやるせない思いにかられます。そして、今世界中で脅かしているテロ、特に自らの命を捧げてまで自爆テロを決行する者達と比べ、どう違うのだろうと考えてしまうのです。神風特攻隊も人間魚雷も自爆テロも狂気です。時代や思想が作り出した馬鹿げた行為です。しかしその馬鹿げた行為に青春を賭ける若者達がいつの時代にもいるということもまた事実なのです。そういった思いでこの映画を観てみると、いろいろなことが頭の中を巡って、よく分からなくなります。映画としての完成度は必ずしも高いとは言えませんし、すべての俳優が魅力ある演技をみせられていたかという点でも「否」ではありますが、死を覚悟して突撃に臨む当時の若者たちの色んな思いを想像してみるだけでも意義のある映画ではあると思いました。人間魚雷として集められた若者の一人として柏原収史も出演しています。

 

6 日本以外全部沈没

パロディとしてはなかなか面白い映画です。もちろん筒井康隆の原作の力があってこそということなのですが、現代風にアレンジして、かなりブラック要素の強い過激でとぼけたコメディになっていました。皮肉・風刺も強烈で、ここまでやるかというようなネタも盛り込まれています。少なくても某独裁国家にはとてもみせられません。さらにはギャグもきちんと抑えられていて、貧相な物まねタレントがでてくるかと思えば、デーブ・スペクターが得意げに駄洒落を披露。かと思えば特撮シーン(?)は本家に到底及ばないチープさですが、それもまた笑えます。とにかくばかばかしくて、この映画を観て得るものは何一つないのですが、頭を空っぽにして、観終わったらすぐに忘れる、そんな観方にはぴったりです。くだらないと思うか、笑い転げるか、その中間か。観ているものの笑いのセンス次第でしょう。テレビ局のプロデューサーを柏原収史が演じています。

 

7 つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語

そんな奔放で不安定な女を愛し続けた主人公、周りから見ればかっこ悪いけれど、彼なりの愛情の示し方と、そして最後に見せたちょっとした復讐に、少しだけ理解してあげたくなるような、そんな不思議な物語です。不思議だと思われるのは、それぞれのパートの作りかたにもあって、それぞれ直接に艶と関わりのあった男性を中心に据えるのではなく、その男性を介して間接的に繋がる女たちを軸に持ってきたこと。この独特の見せ方が、この作品の肝なのでしょう。けっして共感しやすい作品ではないですし、物語として起承転結がはっきりしている映画でもありません。ただフィクションであるにせよ、こんな生き方もあるんだなぁと、興味深く観ることはできました。行定監督は、大衆向けを意識して作っているなという時と、そうでなく好きなようにご自分の作っているなと感じる場合がありますが、今作は明らかに後者。そんな部分でも、感じ方は観る人によって特に分かれてきそうにも感じました。

 

 

8 ありがとう

まさに文化庁支援、文部科学省選定映画。実直すぎるほど実直で、奇を衒ったところがまったくありません。必要以上に感動を煽ったり、大げさに演じてみたりということもなく、単純に実話をそのまま映画にしたという印象です。まだまだ最近といっていい実話、携わった人々も当然ながら今もなお活躍しているわけなので、あまり極端な脚色もできないのかもしれません。学校や公民館などで上映するにも最適な映画といえ、やはりこうした飾り気のない作品は東宝よりも東映なのでしょう。そんな映画ですが、遊び心もないわけではありません。それは豪華な「賛同出演」のゲスト達です。ワンシーンだけに登場するゲスト俳優が何人かいますが、どこに出てくるか探すのも楽しいかもしれません。さて作品の出来なのですが、話し自体は予めわかっていることなので、展開にワクワクドキドキということではありません。しかしながら最初から最後まで同じペースで進んでいくので、どこに焦点を当てたかったのか、メリハメがなくややぼやけている印象はあります。けっして退屈な映画ではないし、夫婦の漫才のような掛け合いも楽しいのですが、こんな事実がありましたよという域を出ていないのところに物足りなさも残りました。

 

 

9 2番目の彼女

1時間あまりの軽い感じの作品ですが、恋愛映画の形をとった自分探しの心理ドラマがこの映画の本質。やや癖の強い印象の北村有起哉が主人公だけに、美女二人にもてる役柄というのはやや不思議な感じも受けるのでしたが、女性監督らしい優しい感じの描き方がされ、この時間ならなんとか観られるものになっていたとは思います。スターAとして柏原収史は登場。

 

 

10 ロック わんこの島

オーソドックスだけれど、この映画で佐藤隆太はあまりにストレート過ぎて、鼻についてしまうのが難点。当時犬映画が続いて、フジテレビが夏休み映画として力を注いだのに大コケ。以後犬映画が極端に減ってしまったといういわくつきの作品ともいえます。その佐藤隆太演じる主人公の親友役が柏原収史。