●親子三代映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

親子三代映画 ベスト10

 

親子三代にわたる物語を描く作品です。

 

1 バーフバリ 王の凱旋

王座をめぐる親子三代にわたる裏切りと陰謀、復讐の物語は、とにかくスケール感の大きさには圧倒されました。インド版時代絵巻的な大いなる復讐劇、敵討ちが繰り広げられ、観ているだけでお腹がいっぱいといった感覚でした。ある王国における王位継承に関係したまさに骨肉の争い。血の繋がった弟であったり、息子でうるバーフバリを惜しげもなく殺してしまおうとする一家。それだけでも恐ろしいことなのですが、生まれたばかりの赤ちゃんまでも殺めようとする残酷さ。しかしこの手の親の復讐ものでは、必ず子供はひっそりと離れたところで成長して大人にならなければならないもので、この作品もそんな定跡どおりの物語を進めていくわけです。最後の両軍の闘いの場面は、アクロバット的なアクションも多く、CGなしには考えられないシーンとなり、やや興ざめの部分もありましたが、やはり最後は正義の英雄が勝利を収めるということで、スカッと留飲を下げたところで完。見ごたえのある作品は天晴れでした。

 

2 ジャスミンの花開く

男に関する不運な運命に見舞われ続ける親・子・孫と3代の女性をチャン・ツィーが演じるこの映画。運命というものは遺伝するのかと思わざるを得ないほど、不幸続きの3代、ツィイーの演じていない最初の母親までいれると4代です。1代目は女一人で娘を育てたものの新しい恋人は娘に手を出し始末、2代目は妊娠させた男に逃げられ娘を産むが母親が自殺、3代目は妊娠できずに養子をもらうが夫が自殺、4代目は母親が失踪し夫は異国で女を作り妊娠した状態で離婚話。そうなんです、4代続いてのシングルマザーなのです。ここまで続くと、もはや呪われているとしか思えません。自分の失敗から娘や孫に諭して聞かせても、聞く耳を持たない娘・孫。それでもとことんまで暗くならないのがこの映画の不思議なところですが、それはツィイーの華やかな雰囲気によるところが大きいかもしれません。またラストの明るさも救いです。やや作り物感は強いですが、これでもかという運命的な不運の連続を、逆に楽しんで見るには面白い映画でしょう。

ジャスミンの花開く

 

3 ミ・ファミリア

メキシコから来た親子三代に渡るドラマです。ファミリーに起こる結婚、出産、出家、犯罪、死、など様々な出来事を盛り込み、ドラマティックかつノスタルジックに綴っています。ところどころ音楽で時代性を出しながら、味わい深い映画になっていました。

 

4 ボルベール〈帰郷〉 

母娘孫3代の親子関係を描き出した人間ドラマは、アルモドヴァル監督らしく、暮らしの中の息遣いや生活臭まで伝わってきそうな、濃厚な作品になっています。しかも、単なる親子ドラマだけに収まらず、それぞれに秘密を抱えさせることで、心理的な緊張感を覚える、ミステリアスでスリリングなものに仕上げ、娯楽作としても耐えられるストーリー。ドラマを展開させながらも、その秘密を仄めかすさまざまな道具を小出しにすることで、途中からはある程度物語の成り行きが想像できるというのはありますが、観ている者の興味が離れないように引き付けるわざは大したものです。

ボルベール帰郷

 

5 紀ノ川

2代に渡る母娘の山あり谷ありの人生のポイントポイントを、戦前戦後の地方を背景描いた大河ドラマ。色んな人々を失くし、ぶつかり合いながらも生きていく辛さと強さを感じます。司葉子と岩下志麻が熱演。

紀ノ川

 

6 ファミリービジネス

3代にわたる泥棒一家を描いたドラマです。雰囲気やキャストからスリルのあるクライムコメディを想像すると、これが全く違うシリアスな家族再生物語。ただ、そのドラマ自体もどこか中途半端な描き方しかされていなくて、気持ちを入れ込むにはちょっとドラマが弱かったかもしれません。ショーン・コネリー、ダスティン・ホフマン、マシュー・ブロデリックと豪華スター競演。

 

7 西部開拓史

親子三代にわたる西部開拓の歴史を描いた、第5話まである大作です。ラブストーリー2本に、戦争の無為さを描いた一編、原住民との争いの歴史、そして犯罪者と正義の話と、それぞれに味わいの違う、そして時代も少しずつ違う5編を並べながら、大陸を開拓してきた先人たちへの敬意を表した作品になっています。最後に映された現代の高速網を見ると、その最初の一歩がどんなに大変であったか、思わずにはいられないです。

西部開拓史

 

8 春江水暖

中国の広大な大地を背景に描かれているのは、ある一家の家族ドラマ。家族に起こるドラマはともすればどこの国、どこの家庭でも起こりうるちょっとした出来事ばかりなのですが、それがひとたび作家の手にかかってしまうと、不思議とスケール感のある物語に変わってくるから不思議です。この手の中国映画は、けっして面白い作品ではないですし、芸術的文化的要素の強い作品ですので、なかなか万人受けはしないし、私自身とっつきにくさは残ってしまうのですが、それでも今の中国における人々の営みを感じるにはいい作品だったと思いました。

 

9 太陽の雫

3代に渡るドラマ、しかもユダヤという重い題材を扱っていますが、心に響いてくるものちょっと弱かった印象。どの世代も均等に描いたしまったため、逆に芯がなく、また3代すべてをレイフ・ファインズが演じているため、主人公がぼやけてしまった感はあります。レイチェル・ワイズやデボラ・カーラ・アンガ-との恋愛関係も物語の本筋とはあまり関係のないところでごたごたやっていて、かえって邪魔くさかったかも。壮大なストーリーで筋自体は悪くないので惜しかったです。

太陽の雫

 

10 Flowers

この企画自体は素晴らしいと思いますし、もしあの時結婚していなかったら、もし出産していなかったらという運命や命の連鎖を描こうとしたテーマ性も理解できます。しかしながら、内容としては女優陣の名前にやや負けてしまった印象で、平凡な域に収まってしまいました。出演者全員に華を持たせ、それぞれが主演であるかのように扱うことで、一つ一つのエピソードが極めて表面的にしか描けなかったのかもしれません。一人一人の心の動きを丁寧に見せることができなかったことで、作品自体の惹きつける力も出せなかったようです。したがって、6人の女優がみんな並列で、それぞれの魅力自体もあまり引き出せませんでした。もちろん、この企画だけでもこの映画を作った意義はあるとは思いますが、作品そのものを面白く見せるもう一工夫が欲しかったですね。

Flowers