●女性の同性愛映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

女性の同性愛映画 ベスト10

 

女性同士の恋愛感情を描いた作品の特集です。

 

1 噂の二人

今以上に女性同士の恋愛がタブー視されていた1961年という時代に、しかもオードリー・ヘップバーンとシャーリー・マクレーンという大女優によってこの作品が作られたということがまず画期的です。それにしても観ているのが耐えられなくなるほどの辛い映画です。これだけ同性愛を毛嫌いするというのは、多分に時代のせいもあるとは思いますが、さらに子供の悪知恵に振り回され、世間の冷たい視線に晒され、しかも自分の本心を抑えきれず気持ちを告白するに至っては、どうしていいか分からなくなってくるのも仕方ないかもしれません。シャーリー・マクレーンが実にその距離感の難しい役をリアルに演じていました。最後の悲劇は予想された結末ではありますが、それでも衝撃が減じられるものではありません。

噂の二人

 

2 翼をください

これを純粋な恋愛映画ととらえることが出来るかどうか、評価はそれで変わるように思います。劇中に「レズビアンじゃない、彼女を愛しているのだ」というセリフがあるように、男性を愛する気持ちも女性を愛する気持ちも同じ愛する気持ちには変わりは無いんだというのが伝えたかったメッセージなのでしょう。主人公ポーリーの切なさは辛いほどよく伝わってきました。次第に狂気じみた行動に走る姿がなんとも痛ましく、そんな彼女を愛しながらも自分の保身から体裁を重視する対照的なヴィクトリア。二人の心がすれ違えばすれ違うほど、ストーカー的とも捕らえられかねないポーリーが可愛そうになってくるのです。全体的に甘く幻想的な映像が印象に残りました。

翼をください

 

3 贅沢な骨

 特に二人の女性には共感することは難しいですが、それにしても切ないくらいの痛さが伝わってきました。サキコ(つぐみ)が出て行くシーン、ミヤコ(麻生久美子)がサキコに告白するシーンは実に切ない。全体的にはけだるい感じが漂ってはいますが、映画を中心に活躍している三人の俳優の演技合戦は集中力をそらさず、特につぐみがいいです。劇中にも出てきましたが、天使のような穏かな存在で、自分勝手でややきついミヤコを包み込むような演技は、ついつい応援したくなるのです。内容的には、新谷(永瀬正敏です)の職業、ミヤコの家族、死因、骨の行方などなど説明を敢えてしていない部分が多すぎてやや消火されない部分も残るのですが、それ以上に惹かれる部分の多い作品でした。

 

4 お嬢さん

どぎついですが、めちゃくちゃ面白いです。パク・チャヌクの本領発揮といったところでしょう。日本語で話すシーンが沢山あるのですが、まずその日本語がたどたどしく、何を言っているのか分からないこともとしばしば。日本でいう春画のような挿絵がたくさん挿し込まれ、そしてなんといっても幼い女の子にわいせつな官能小説を朗読させるという異常ぶり。おやじたちのスケベぶりには呆れるばかり。そこに女性同士の濡れ場もたびたび設けるなど、ある意味悪趣味ともいえる展開の数々。それでも二転三転する展開に、目が離せなくなるのです。三部制をとり、一部と二部はスッキ、秀子それぞれの視点から見た同じ出来事やその裏事情を見せることで、あーそういうことだったのねと、その都度腑に落ちていくのも巧みなところ。一部、二部、三部、それぞれ二人で組んでの企ての計画の進捗を追う体になっているのですが、その組み合わせが三部すべて違うのもみそ。伯爵+スッキ、伯爵+秀子ね企みが、秀子+スッキの計画に変わっていく様子がとにかく面白くて、映画の質とか道徳観とか言ったら最低なのですけれど、とにかく面白ければいいじゃんという点で素晴らしかったです。

 

5 パッション

レイチェル・マクアダムスって好きなんですよねー。今作では完全な悪女役なのですけれど、どうしても地味めな役どころのノオミ・パラスに対すると、マクアダムスの方を応援してしまうという…。さて、作品の方ですが、デ・パルマの悪女もの(『ファム・ファタール』とかね)って、彼特有の遊び心がラブサスペンスにうまくはまり、観ている方も一緒に巻き込まれていくような感覚なのです。主として3人の女性が登場してきますが、被害者と加害者という単純構図でなく、3人が3人とも悪女であり、また被害者でもあるわけで、そのあたりの押したり引いたりの駆け引きがまたスリリング。先が読めたかなーと思っていたら、またちょっと捻られたりと、最後まで予断を許しません。スマートではないけれど、独特の魅力のあるラブ・サスペンスに仕上がっていました。

パッション

 

6 火星のカノン

切なさが染みてくるような作品。久野真紀子もキャラクターをしっかり作って演じていますが、なんといっても中村麻美がいいです。純粋に絹子を愛しながらもなかなか思うようにいかない苦しさを、実に可愛らしく演じ切っていました。また脇の真鍋役のKEE(現渋川清彦)もいい味を見せ、いい加減そうだけれど、一番大人で礼儀正しい役どころをきちんとおさえています。年下の女性に告白され戸惑い冷たく当たりながらも、寂しさからその一途さに拠り所を求めてしまう30前の女の寂しさが如実に表現されていて、地味ながら心に残る佳作に仕上がっていました。

 

7 スカーレット・レター

いろんな要素の詰まった映画で、かなりどろどろした作品になっています。特に最後に明かされる意外な事実、つまり女性同士の愛情関係が明かされると、それまでのシーンがどういう意味だったのかというのが全く違う捉え方になってくるのが面白い。ミステリーものか、不倫純愛ものか、と思うとある意味ホラー的な要素まで含んでくるのです。韓国映画らしく、トランクでの血みどろの場面、殺人事件の真実を明かす場面、そして例の事実など、悪趣味と囚われれそうなシーンも多かったです。それにしてもこの作品の後自殺したイ・ウンジュ、つくづく惜しい女優さんでした。

 

8 アンモナイトの目覚め

文芸色の強いケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという二人の女優による同性愛を描いた作品で、二人の濃厚なベッドシーンがやはり印象的です。うつ病を患っているという若い人妻を、最初はいやいや仕方なく面倒を見ることになった中年独身女ですが、献身的な看病による熱病からの回復をきっかけに、二人の関係が親密になってき、自然にひかれあうように結ばれていきます。しかしながら、夫がいながらも恋に突っ走ってしまう若い女と、どこかでブレーキをかけて先に進めない中年女との気持ちのずれが最後に明らかになり、二人の恋は破綻かと思えたところで、博物館でのラストシーン。この展示物を挟んで向き合って見つめ合う二人。果たしてこのあと二人はどういう選択をするのか、思わせぶりなラストが観客側に答えを委ねて作品が終わっていくわけで、このあたりはなんとも心憎いですね。

 

9 ロニートとエスティ 彼女たちの選択

同性同士であっても愛し合う気持ちは一緒、互いに相手を想い合う気持ちが再燃し、気持ちは燃え上がる一方で、世間体、地位、結婚、そして妊娠という現実が障害になり、再び離れていく二人。ダブル・レイチェル(ワイズ&マクアダムス)が濃厚なラブシーンも含め、きれいすぎず生々しすぎず、二人の揺れる気持ちを熱演によって表現していました。

 

10 アデル、ブルーは熱い色

たまたま女性同士の恋愛という形で描いてはいますが、男女という形であっても成立するような、実は正統派の恋愛映画という印象です。愛する気持ちと欲する気持ち、愛欲と性欲からただただ相手を求め続けてぶつかってゆくアデルの純粋さ。しかしそれゆえに、時に自分でもそれを制御できなくなってしまい、破滅的な行動へと向かってしまう若さゆえの激しさ。感情を爆発させたシーンの直後に差し込まれる、教師としての子供たちと交わるシーンとのコントラストが、なおさらその秘めた激しさを際立たせていました。女子高生時代、同棲時代、そして一人になってからと、アデルを演じるアデル・エグザルコプロスの外観が微妙に変化しているのも見事に表現していたのではないでしょうか。そしてラストのシーンは、色んな経験を経て落ち着いた大人へと成長しているアデルの姿を見ているようで、無性に切なくなるよう終わり方でした。

 

11 キッズ・オールライト

12 乙女の祈り

13 卍(まんじ)

14 キャロル

15 コレット

16 燃ゆる女の肖像

17 スリー・オブ・ハーツ 

18 ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気

19 ホワイトリリー

20 バウンド