斎藤洋介 出演映画 ベスト10
個性派俳優として活躍しましたね。
享年69歳。
1 アントキノイノチ
決して派手な作品ではないけれど、生きること、命のあることについて深く考えさせてくれる素敵な作品。主演の二人、特に榮倉が、心に傷を負った繊細な役を好演し、同じような経験をしていない者でも、その痛みがきちんと伝わってくるような演技でした。設定の割にドラマティックな展開があるわけではなく、映画自体は淡々と進みますが、その静けさゆえに、心を揺さぶるということもあるのでしょう。ただラストのありがちな処理は好みではありません。もう少し必然性と説得力ある結末でしたら、もっといい余韻を持って観終えることができただろうにと思うと、その点が惜しい気はしました。斎藤洋介は老人ホームの職員役。
2 ヨコハマ物語
派手な作品ではありませんが、じんわりと心に染み入る素敵な作品でした。一見見も知らぬ人同士が同居するなんて軽すぎないかとも思ったのですが、それぞれに事情を抱えた者同士が、互いに励まし合ったり喜んだりする中で固まってきた絆のようなものが、なんとも心地よく感じられるのです。家とは、家族とは、そんなものを改めて考えさせてくれるようでもあり、さしてこの映画が話題にならなかったことには、惜しい気がしました。
3 大失恋。
20年ぶりに観ましたが、まずは錚々たるキャストの今を考えて、引退した者、第一線で活躍している者、転身した者などいろいろで、時の経過を感じました。キラキラした感じが当時の世相を表しているのと同時に、accessのテーマソングなど、流行りや当時最先端のものが小道具としてもちょこちょこ取り入れられ、別の部分でも楽しめました。とにかく多くの人物の関係が入り組んで、楽しい映画です。斎藤洋介は遊園地の職員役。
4 郷愁
思春期の中学生を中心にした家族・学校・地域で関わる人たちが、父親の家出をきっかけに様々な事件や悲劇を引き落こしてゆく、なんともやりきれない気持ちにさせられる映画です。すべてが悪い方向に向かい救われない哀しさが切ないです。
5 ハッシュ!
片岡礼子の好演が光ります。また田辺誠一もそれまでとは違う魅力を見せるなど、俳優陣の奮闘で興味ある作品になっていました。しかしながらどことなく完結していないような、すっきりしないような感覚が残るのもまた事実で、人間関係の「なぜ」という部分が、もうひとつピンときません。どうして彼等ではないといけないのか、朝子と若者はどうなったか、勝裕と同僚のナガタさんとはどうなったか、朝子の父親は、などなど結末を見せていないエピソードがいくつかあって、その行方も気になったまま終わってしまっていることが原因なのですが…。でも当時としてはやはり斬新な作品であることには違いないでしょう。ペットショップの店長役で斎藤洋介は出演。
6 ヒポクラテスたち
たくさんある邦画からも1本挙げておきます。医師になるという同じ目標のある若者たち、しかしそれぞれに背景も違えば動機もさまざま。そんな彼らの織りなす学生生活を描いた大森一樹監督の青春映画です。斎藤洋介の映画デビュー作。
7 うさぎドロップ
それまでのSABU監督のイメージとはちょっと違うか感じの、ハートフルで温かくユーモアにあふれた作品でした。しかしなんといっても芦田愛菜ちゃんでしょうね。彼女は子役の範疇をすでに超えてしまっています。私が観た中で「最強」の日本人子役だと思います。笑い方ひとつとってもきちんと演技していますし、表情がまた素晴らしい。恐ろしいです。そんな愛菜ちゃんに引っ張られて、全体もほんわかしたムードで流れ、いろいろあっても最後は愛に包まれて、優しい気持ちになれました。ただし一方で、この主人公のダイキチくん、いかにも今風の青年という感じはしますね。おそらく会社の中でも花形であろう部署からの思い切った異動。ある意味出世を捨てることにもなるでしょうに、そのあたりの葛藤というものがほとんど見られず、スパッと諦めて「家族」をとる潔さ。そんなところでも今的な作品だなと思いながら観ていました。
8 ひとよ
子供たちを救うための夫殺しでしたが、それゆえにその後の人生を苦しんだ3人の子供たち。自分のしたことは正しいと言い切る母親に対し、3人の子供たちの態度は三者三様。果たして正義とは何なのか、子供のためとは何なのか、とにかくいろいろ考えさせられます。もちろん殺人を倫理的に正当化することはできるわけもなく、その部分ではこの作品は慎重です。殺人により万事OK、幸せになることで解決した…とは決していかないわけで、次男が劇中で言っていましたが、暴力に耐え続けた方がましだった、と思いたくもなるような現在の生活があるわけです。その点はよかったと思います。そして犯罪者の家族として生きた子供たちの受け止め方もまた三者三様。仕方ないと受け入れるのか、可能な限り隠し通すのか、逆に利用して生きるのか。しかしいろいろありながらも、少しずつではありますが、変化を見せていくこの家族。もしかしたら時間が解決してくれることもあるのかもしれません。考えさせられる映画にはちがいないでしょう。
9 ぐるりのこと。
木村多江の表情が素晴らしいこの作品、1組の夫婦の10年を描いた家族ドラマです。子供ができて結婚を決め、その子供を失ったことから徐々に妻の心理状態が崩れ始め、そしてまた希望が差し込むまでの夫婦の物語。その時々で木村演じる妻の心理状態の浮き沈みが大きいわけですが、その場面場面でまったく別人のような表情を見せる木村の様子だけで、すべてを物語っているようです。とにかく前半、中盤、終盤とまるで別人を演じているような雰囲気なのです。一方彼女を支える夫の役がリリー・フランキーというわけなのですが、これがまた対照的で、いつでもどんな場面でも飄々とした変わらないペースなのです。妻がどんな心理状態でいようと、そのまま受け入れる姿勢は終始一貫して、客観的に見ればすごく懐の深い夫といえるのでしょう。しかしその夫の終始一貫として変わらない態度は、妻の方の心理状態によって、とても頼りなく見えたり、或いは自ら気持ちをぶつけてこないことに対し冷たく感じたり、とっても暖かくて優しい思いやりに感じたり。とにかく変わり続ける妻の心理状態に対し、まったく変わらない夫の対応、それこそがこの映画で描かれている夫婦関係のポイントといえるかもしれません。斎藤洋介は法廷画家の役で出演。
10 オカンの嫁入り
物語自体はテレビの単発ホームドラマ的な企画にありそうなものなのですが、お墨付きの演技派の母娘2人に、見かけによらない好青年が意外にぴったりはまった桐谷によって、好感の持てる映画らしい作品にまとまったと思います。特異な設定も、わざとらしさがない自然な会話でクリア、頑なな娘の気持ちが次第にほぐれていく様子がスムーズに伝わって、観ている方もしみじみした気持ちになりました。地味な企画ですが、このキャストの実現により、しっかりした作品に仕上げることが出来、まず内容的には成功したといえるのではないでしょうか。宮崎あおい演じる主人公の上司を斎藤洋介が演じています。
11 純喫茶磯辺
12 ランブリングハート
13 セーラー服と機関銃
14 ある町の高い煙突
15 惑う After the Rain
16 るろうに剣心
17 歓喜の歌
18 ボクが病気になった理由(わけ)
19 われ撃つに用意あり
20 釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!