●岸田今日子 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

岸田今日子 出演映画 ベスト10

 

 

1 旅の重さ

母一人娘一人の生活に息苦しさを感じたのでしょう、一人家を出て四国へと旅立った女子高校生の一人旅ロードムービーは、四国の田舎の夏ののどかな風景と、そこで日々を暮らす人々との出会い、そして旅情を誘う吉田拓郎の音楽が調和して、瑞々しい作品となっています。さらに主演の高橋洋子の化粧気のない素朴な魅力と喜怒哀楽をはっきりみせる表情が、二度と戻ることのない青春時代の一瞬を切り取っているようなせつなさを感じ、不思議とキュンキュンと胸に響いてくるのです。旅芸人、行商など、今の時代にはほぼ無くなってしまった文化も、1970年代前半という、これらがギリギリに残りながらも、すでに古くなり田舎に追いやられたものとして捉えられることが、ほどよい時代感ともなっています。16歳の少女が体験することとしては、結構激しいこともあったりするのですが、それでも一人旅の寂しさ、帰るつもりのない覚悟がところどころに表れ、ついつい感情移入してしまいました。旅を続けるにしたがって汚れていく白いパンツが、旅の時間の経過を表しているようでした。主人公の少女の母親役で岸田今日子は出演。

 

 

2 映画女優

この役を演じることは吉永小百合にとっては思い切った挑戦であったことでしょう。不世出の先輩女優田中絹代を熱演しているのが光ります。同時に、単なる伝記映画としてだけではなく、日本の映画史もなぞって観られるような作品にもなっていて、興味深く鑑賞できました。釘貫屋の女将役で岸田今日子は出演。

 

 

3 おとうと

気の強いけれど弟思いの姉、複雑な家庭の中で問題を起こしていた弟が病気で必死に看病を続ける姿が切ない。岸の気の強いけれど自分のことはおかまいなしに弟の幸せを考える姿は心に響きます。岸田今日子はお姉さんに縁談を持ち込む母親の友人という役どころ。

 

 

4 墨東奇譚

文学的なにおいを出せていたと思います。売春婦との愛情が高まる一方で、倦怠期を迎えた妻との関係を捨てきれない主人公。女のために仕事をやめ、退職金を差し出そうとする段階で妻に気づかれ、先に進めなくなるのですが、今度は女に死の影が迫ってきます。戦争が本土に迫ろうかという時期の時代の暗さと合わせ、主人公の鬱屈した苦悩のようなものが作品を支配し、重苦しい作品になっています。

 

 

5 春の雪

2時間半という長さを感じさせない作品の力は感じることが出来ました。まだ大人になりきれない妻夫木聡演じる主人公の不器用な愛情表現を上手に表現しています。失うことで初めて自分の思いの強さに気づき、歯止めが利かずにエスカレートしていく恋の中で、周りも見えずに暴走していく様子が、冷静な周囲と対照的であるほど、誰もが予想できる悲しい結末としてより切なく映し出されていくのです。主人公の祖母役で岸田今日子は出演。

 

 

6 黒い十人の女

なんとも風変わりな作品ですが、いざというときの男のだらしなさと、逆に女性の強さが露になった一種のブラック・コメディといえる作品になっています。男のいないところで女性たちが結託してなにやら企んでいる様子。その中でも本音と建前が交錯して、いったい本心はどこにあるのか、男からするとゾッとするような作品でした。曲者の女優陣が共演して絡み合う演技にも緊張感があって、その緊張感を見事に映像に映し出した市川監督も見事でした。10人のうちの一人、テレビ番組の演出家の女性を岸田今日子が演じています。

 

 

7 涙を、獅子のたて髪に

暗くやるせない悲劇。貧しさから様々な対立と陰謀がうごめく小さな町で、純粋に信じていた兄のような存在からの逆らえない指令、それゆえに起きてしまった取り返しのつかない殺人劇。時代を感じさせながらも、衝撃は今見ても印象的。岸田今日子は主人公若い男を誘惑する女の役。

 

 

8 私は二歳

当時の家族の暮らしのスタンダードを見ているようで、その意味では興味深い映像でありました。ただ基本としてはごくごく普通のホームドラマ。二歳の子供のつぶやきもたまに挿し込まれる感じで、強く印象を残すほどではなかったですし、やはり今観るのと当時見るのとでは違ってくるのでしょうか。

 

 

9 犬神家の一族

のちにリメイク版も作られたオカルト・ミステリーで、金田一耕助シリーズの一作。おどろおどろしい雰囲気が観ているものをなんともいえない気持ちにさせますが、その中でも個々のキャラクターが生きた作品になっています。琴の師匠の役で岸田今日子は登場。

 

 

10 卍(まんじ)

若尾文子が男も女も手玉に取って、自分に夢中にさせてしまう妖艶な悪女を演じています。夫のいる女性(岸田今日子)との同性愛に始まり、突然現れた軽薄な婚約者、さらには女性の旦那までも夢中にさせ、果ては3人そろって心中を図るに至るわけで、綺麗な顔をしてとんでもない毒を持った悪女なのですよね。とにかく夫婦そろって、同じ相手に夢中になってしまうという、わけのわからない状況は少なからず衝撃的でした。