●湖を舞台にした映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

湖を舞台にした映画 ベスト10

 

1 ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一髪

これ、笑えます。タイトルからするとモンスターパニック映画を想像させますが、モンスター映画の形を借りた政治パロディ映画ですね。チープな作りで、肝心の「ギララ」さえもいかにもおもちゃのような姿、そのちゃちな特撮で敢えてカルト的なところを狙ったのでしょう。洞爺湖サミットが行われている最中に北海道にギララなる怪獣が現れ、各国の首脳がその退治に知恵を絞るわけですが、そのG8の面々がすごい。安倍首相ならぬ伊部首相、サルコジならぬソルコジ、プーチンならぬプッチン等々、中には容姿までもどこか似ているのですが、彼らの会話のやりとりがまた笑えます。それぞれの元首のキャラクターや国家情勢などをパロディにして交わされる怪獣退治の議論は、中にはかなり際どい表現まで出てきて、かなりきつく首脳たちを風刺しています。特に日本の伊部首相と、フランスのソルコジ大統領の描写はきついのですが、それが可笑しくて仕方ありません。

ギララの逆襲 

 

2 乙女の湖

1933年制作という時代としては衝撃的なヌードシーンが印象に残ってしまいますが、ドラマの方も青春恋愛映画として切ない作品になっています。特にシモーヌ・シモン演じる愛らしいヒロインに対しての同情は禁じえないです。愛する男性の病状を心配するがゆえに、自分の気持ちを殺してまで、その彼が愛する令嬢である恋人を看病に呼び出す心のうちを考えると、実に切ないです。音楽も上手に使われて、メロドラマとしての形がしっかり出来ている恋愛映画の古典という印象でした。

 

 

3 レイクサイドマーダーケース

湖畔の別荘を舞台に、登場人物たちが限られる中での殺人事件の真実は何か、それを本線に親のあり方を問う作品になっています。単なるミステリーに終わってないところで、最後は真実明かしよりも深いところに主眼が移ってしまったような終わり方でしたが、芸達者がそろって、最後まであきさせない脚本にはなっていました。そこが青山真治らしいところで、単なる娯楽ミステリーで終わらせないという意志は伺えました。ただ、より娯楽に徹したほうが、より面白い作品になったのではないかと、一方では感じました。

 レイクサイドマーダーケース

 

4 鵞鳥湖の夜

登場人物の素性がなかなか分からず、その背景を少しずつ明かしながら、謎めいた人間関係をあかしていくというような流れのミステリー調の犯罪ドラマです。作品の雰囲気としては『薄氷の殺人』と似たところがあり、この監督の作風がこうなのでしょうか。水浴嬢という特異な仕事につくヒロインは、仕事の内容のわりに中性的な雰囲気で、それだけで謎めいた印象を与えるのですが、殺人犯と同行し、危険な目にも合い、いったい犯人の味方なのか敵なのか、最後まで謎めいた感じを拭うことがありませんでした。そして極めつけのラストシーン。完全にこのヒロインに観ている方も翻弄された感じでした。

 

 

5 マザーレイク

滋賀県発の地方振興映画です。テーマとなったのはネッシーならぬビワッシー。なんともすっきりしない名前ではありますが、地元の人々の琵琶湖への思いがしっかりと表れていて、生活の中でいかに琵琶湖と寄り添いさして敬ってきたのかということがよく伝わりました。夏休みの自由研究のために訪れた沖島で偶然にビワッシーらしき影を見つけたことから、父子関係の揺らぎにまで繋がっていく展開は、日常と琵琶湖がいかに近いところにあり影響を及ぼし合ってきているのかを読み取ることができます。ビワッシーの夢を後世に繋げていくようなラストシーンも爽やかで良かったです。

 

 

6 湖畔のひと月

大人の恋に若者をからめて、戦争直前の避暑地という舞台背景の雰囲気も手伝って、穏やかな映画になっています。全体的にはとぼけた味で、どちらかというとコメディ風の味付け。アメリカ娘を演じたユマ・サーマンがいい味を出していました。

 

 

7 ウォーター・ホース

想像した以上に、子供向きの作品だったというのが、観終わってすぐの感想です。予告編を観ればだいたいの話は想像できますし、意外な展開というものはまったくなく、実にまっすぐに作られた作品です。子供たちが夢を持てるように、本当にネッシーに代表される伝説の怪獣が存在しますように、そんな思いが込められているようにも感じられます。少年とクルーソーと名づけられた伝説の生き物ウォーター・ホースとの交流も実にやさしく描かれ、戦争を続ける大人たちと対比させることで、それが純粋で美しいものとして分かりやすく強調され、もし自分が子供であったら、瞳をキラキラさせて夢中にスクリーンを観ていたかもしれません。ただ、この映画の限界は、やはり相手が想像上の生物であるということ。犬や馬など、本物の動物に演技させる中で人間との交流を描く映画に比べると、どうしても作り物っぽさが、感情の移入を妨げる要因になってきます。実際作品中でのウォーター・ホースの表情も、アニメチックでやや大げさ。動物というよりは、人間に近い表情の作り方をしているので、リアリティには欠けます。表情をきちんと見せることで、ウォーター・ホースの感情をきちんと表現するということでは、やはり子供向けということを意識しているようにも感じました。

 

 

8 U.M.A./レイク・プラシッド

湖に現れ人を食いちぎる未確認動物を描いた一見パニック・ホラー・ムービーなのですが、作品の評価としてはコメディでしょうね。ホラーとして観ると、とんでもないぬるい映画ですが、キャラクターも濃いし、ギャグもときおり盛り込まれ、まあ、コメディでいいでしょうね。それでもってC級映画かと思いきや、そこそこの名の通った俳優が出ているのですよね。

 UMAレイクプラシッド

 

9 大魔神怒る

大魔神は人間が戦うべき相手ではなく、悪い人間どもから善良な民を救う存在として登場するので、おどろおどろしい外見や巨大な図体、それを増長する効果音や音楽のわりに、最後はスカッと心が晴れるような作品です。庶民をいじめる武士どもとの普通の時代劇かと思いきや、巨大な大魔神が湖から登場すると一転。当時の怪獣映画の時代設定を過去にしたような安易な企画にも思えますが、ちゃちな映像が今観ると、それでも当時は一生懸命作っていたのだろうと考えると、この作品が愛おしくも思えてきました。

 

 

10 永遠の夢 ネス湖伝説 

科学環境ドラマの形を借りた恋愛映画といった趣が強いです。いいたいことは分かります。長い間静かに暮らしてきた生物や人間たちが、一部の人間の成功と名誉のために荒らされていくこと、つまり現代の研究科学に対する警鐘を鳴らすメッセージが込められているのですね。ただやや突込みが浅いかなとは思います。結局恋愛の展開と、ネッシー発見のための妨害含めたドラマと、二重の構造が何をメインに描きたいのかがぼやけてしまったのが残念。ヒロインのジョエリー・リチャードソンはなかなかきれいだったのが、それよりも印象に残りました。