●猟奇殺人事件映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

猟奇殺人映画 ベスト10

 

1 チェイサー

単なるサイコ・サスペンスだけに終わらない、見応えのある作品でした。展開が幾重にもなっていて、ここで終わりかということなく、さらなる展開へと続いていく構成。安心させておきながらも、その希望を覆していくような、一筋縄でいかないストーリー。この力強さは韓国映画ならではのものという感じで、久しぶりに底力を見た思いです。俳優陣の演技もみな素晴らしく、それぞれが実に良い雰囲気を醸し出していました。決して観ていて気持ちのよいものでもないし、不条理・理不尽を感じる部分も大きいのですが、それを上回る、観ている者の興味を引き付けて離さない力は見事です。

チェイサー 

 

2 アンフェア the answer

随分大胆で奇想天外な展開ながら、このシリーズの個性を生かした面白い映画になっていたと思います。ドラマを映画化したり、或いは続編を作ったりすると、無理にスケール感を増そうと、その作品本来の良さを潰してしまうケースがよく見られますが、その点ではうまく処理できていたのではないでしょうか。最後に来てのどんでん返しとさらなるどんでん返しにも意表を突かれましたし、もちろんそこには「そりゃないだろう」と突っ込みたくなるヒロインの行動もあったのですが、所詮は娯楽映画ですから、まずは面白いということが先に立ちます。ただ、おそらく二回目に観ると結構脚本的な粗が見つかってくるのでしょうね。

 

 

3 ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女   《オリジナル版》

(ドラゴン・タトゥーの女)         《リメイク版》

オリジナルは感もたっぷりな作品。ミステリーにサイコスリラー的な要素、さらには心理ドラマも盛り込んで、見ごたえとスリルのある作品になっていました。ヒロインの鼻ピアスはどうも好きになれませんが、先の見えない展開は最後までわくわくさせてくれました。リメイク版もスウェーデン版にも近い形で作られているので、そちらを観ていると新鮮味はないかもしれません。結末も当然同じですので。また作品の持つ雰囲気としても、どちらかというとスウェーデン版のほうがおどろおどろしかった印象が強いので、今作はわりとノーマルな感覚を受けました。ヒロインのゴスファッションにも見慣れたせいかもしれません。ただそのせいかどうか分かりませんが、ミステリーとしてはすんなり頭に入ってきやすかったですね。

 

 

4 クリーピー 偽りの殺人

観客は最初からうっすらと構図は見えてはいるのですが、それでも作品の中で事実が少しずつ明らかになるに従い、不気味さが恐怖に変わってくるのです。誰がどう見ても様子がおかしい香川照之演じる隣人。彼の異常で猟奇的な生態は想像を超えたサイコ野郎だったのですが、邪魔なものは殺しながらも、自分で手を下さないためにはパートナーが必要。殺す、殺さないの選別基準が結局なんだったのだろうという疑問、また娘を演じていた澪は普通に学校に通いながらも、必ず家に帰り、しかも警察に通報することもしないという謎、またいつから娘を演じていて、本当の家族派だけ七日。あえて辻褄合わせをしようとしないことから、結構不可思議な謎が散らかったままなのですが、それもまた黒沢流なのかもしれません。家の内部の構造も不思議ですし、とにかく最後まで観てもすべての謎が解決することはないのですが、それでも作品としてひと時も目が離せない怪しい魅力にあふれていたことには違いないです。

クリーピー偽りの殺人 

 

5 カル

日本における韓国映画ブレイク期に引っ張ったハン・ソッキュといまや伝説的女優シム・ウナの『八月のクリスマス』と同じコンビによるサイコ・スリラー。とにかく見終わってさらに謎が深まるという不思議な映画。解説がなくては分からないし,あっても疑問が疑問を呼ぶ感じで、すっきりしないのですが、それが不思議な魅力を発揮していることにもなっているのです。

 

 

6 ミュージアム

この手の邦画のサイコスリラーものとしてはかなり力の入った作品になっているのは間違いありません。生々しいシーンが多数あり、おぞましさはこの上ありません。夫婦仲が完全に冷え切っているという背景も手伝い、小栗旬演じる主人公のいら立ちが手にとって分かるような展開です。野村周平演じる後輩刑事が衝撃的な殺され方をしたりと、演出も容赦なし。監禁された主人公の為にミンチを作るシーンなどは、もしかして妻子の肉ではないかと思わせるような、なんともいえない演出も、寒気を誘います。展開自体にはそれほどの意外性はないのですが、妻夫木聡が本人とは全く分からないような変身を遂げているのが、一番の意外性だったかもしれません。それではあっても、作り手の熱が伝わる渾身の一作ではありました。

 

 

7 冷たい熱帯魚

園子温がもうやりたい放題。いわゆるエロ・グロ・ナンセンスてんこ盛りのブラック・コメディで、しかも彼本来の不条理感あふれた作品になっています。これは好き嫌いが分かれるでしょうね。まあ、かなりえげつない悪趣味な映像の数々に嫌悪感を持つ人も多いかもしれませんが、でも先の読めない展開はさすがに面白かったです。ただ傑作歪んだ愛の連鎖が連なった「愛のむきだし」と比べたらそれは酷というもので、不条理感が支配しているゆえに、感情的に入れ込むにはげ限界はあります。少なくても人に勧めるのはなかなか難しい映画、でも顔をしかめながらも私は楽しんで観られました。

冷たい熱帯魚 

 

8 スリーピー・ホロウ

首ナシ騎士をめぐるゴシック調のサイコ・サスペンスです。独特の雰囲気の下級巡査を演じるジョニー・デップがいい味を出しているし、ヒロインのクリスティーナ・リッチもいいです。終始作品を包む異様なムードが物語を盛り上げる中、謎解き面では意外な犯人もあらわれ、娯楽作としても楽しめる作品でした。

 スリーピーホロウ

 

9  V.I.P.修羅の獣たち

韓国映画らしいどぎついシーンが多数観られる猟奇殺人をめぐる強引な作品ですが、こんなことがあるのかというほどのリアリズムを無視した展開も、熱のこもった俳優の演技で、ぐいぐいと引き込んでいく力は相変わらずです。殺人を趣味のように楽しむ犯人をめぐり、警察、国家情報院、CIAそして北朝鮮まで絡んで身柄を奪い合う様子は、次第に訳が分からなくなってしまうほど。捕まえたかと思うと犯人に隙を与えて逆に撃たれてしまう展開も二度三度。そういう意味ではストーリー的には面白かったです。良くも悪くも韓国らしい映画でした。

 

 

10 セブン

デヴィッド・フィンチャーの代表作。猟奇殺人映画としての代表的な作品ではありますが、結末が容易に想像できてしまうところが決定的な欠点。とはいっても、全体としては、サイコスリラーものとしては平均以上の出來だとは思います。モーガン・フリーマンのこういった役は、はまり役ですし。

セブン