宮川大輔 出演映画ベスト10
俳優としても活躍するお笑い芸人は多くいますが、その一人をとりあげます。
1 泥棒役者
舞台劇からの映画化作品ということで、閉ざされた空間での会話劇が楽しいです。勘違いからそれを取り繕うとしてふかみにはまっていく主人公のあたふたぶりと、やがて泥棒だと知られてしまう中でも、彼の人の好さを知ったみんなが、彼を結局許して助ける人情話っぽいところがまじりあい、笑いとほろりがいい塩梅に繋がっています。場内からもところどころで笑いが漏れる映画は、それだけでも楽しい気持ちになってきます。ねられた会話での知的なやりとりも面白く観られました。泥棒の一人として宮川大輔は出演。
2 ドロップ
娯楽映画としては及第点。漫才を生かした掛け合いは品川らしい。前半と後半、やや軸がぶれてしまったところが難点だが、笑いと涙を適度に散りばめて、わかりやすい作品にはなっていました。宮川大輔は小野くん役。
3 漫才ギャング
作品自体は特別に新鮮なものでもないですし、ごくごくノーマルでオーソドックスな組み立てです。取り立てて面白い作品、或いは出来のいい作品ともいえないかもしれません。しかしそのオーソドックスな方向で勝負したところに、品川監督の自信が現れていると思いますし、観ていて監督としてのセンスも感じました。少なくとも普通の作品を普通に違和感なく撮ることができる力はあるのではないでしょうか。芸人の世界を描いたときにありがちな陳腐なネタも、芸人自身が脚本を書いているということもあって、その点でも安心して観られました。あとは、自分の関わる世界とは全く違う題材で映画を作れるかどうかということで、今後の展開が広がるか否かが分かれてきそうです。宮川大輔は借金取り役。
4 Zアイランド
閉鎖された島という空間で繰り広げられるゾンビと人間との戦い、そしてそこから逃げようとする人間と人間の戦い。お笑い芸人をたくさん使っているところは、どうしても身内に頼った感は拭えないものの、映画全体としては楽しかったです。会話のやりとりで笑わせるセリフのくだりはさすが漫才師というセンスを感じましたし、それに応える大物俳優たちの楽しそうな雰囲気も良かったです。宮川大輔は暴力団の組員役。
5 パッチギ! LOVE&PEACE
評価の高かった作品の続編ということで、当然ハードルも高くなってくるでしょうが、根本的なテーマが変わらないだけに、前作以上の味わいを出すのはやはり難しかったのでしょうか。喧嘩のシーンも前作で観ているだけに、今作では「お約束」以上のものにはなりませんでしたし、少年の病気にしろ、芸能界の魔の手(遊び人の先輩男優、セクハラ豪腕プロデューサー、陰険なライバルといずれもステレオタイプ)にしろ、使われている材料がありきたりのものばかりで、新鮮さに欠けます。凡そ予想通りにストーリーが進行していくことに加え、続編というハンディもあり、意外性という点では期待外れでした。ただ、前作の評価というものは、制作側にとってはかなりのプレッシャーになっていたでしょうし、下手なものは作れないという部分で、まとまりは良かったように思います。
6 隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS
黒澤映画を現代的なエンタテイメント時代劇にアレンジ。山場はそれなりにありますが、取り立てて挙げるほどでもない、そんな言い方もできるでしょう。アクションもそこそこ、スピード感もそこそこ、スリルもそこそこ。そんな中でのこの映画のヒットは、宮川大輔の抜擢ではないでしょうか。特に他の作品で実績を残しているというわけでもないにも関わらず、黒沢リメイク作という否応がなく注目を浴びる作品の重要キャストに配した、作り手のナイス選択だったように思います。いい味を出していましたね。
7 カフーを待ちわびて
一種のファンタジーですね。偶然と非現実が混ざり合って織り成す無垢なラブ・ストーリー。何もない南の島の光景やしきたりがまるで御伽噺の世界に引き込むような効果を持ち、幻想的なムードさえ作り出しています。マイコはけっして上手ではないのですが、実に不思議なムードを持つ女優で、いるだけで雰囲気を作り出します。たまにはこういう映画もいいかもしれません。癒されるような思いでした。でも所詮美男美女だから成り立つのですが…。郵便配達員役で宮川大輔は出演。
8 さらば愛しの大統領
ほんとうにしょーもない映画ですが、そもそもこの映画に期待するのはそのしょーもなさですから、そういった意味ではほぼ期待通りといっていいのかもしれません。わざわざ映画でやることかという見方もありますが、映画でこれをやってしまうノリは嫌いではありません。あとは好きか嫌いか、笑えるかそうでないか、楽しめるか楽しめないか、個人のセンスと合致するかどうかで、それ以上の細かい批評はしても無意味かもしれませんね。宮川大輔は刑事役。
9 ザ・ファブル
主人公の凄さが最も伝わるのがオープニングであり、設定が一般人として生きるということで、その後はそれ以上の凄みを感じられない展開は、正直なところ拍子抜けでした。クライマックスも人を殺さないということがミッションになったため、余命に盛り上がりません。やはり「巧い」でなく「強い」「凄い」を観たいものなので、設定の失敗ともいえるかもしれません。また木村文乃の相棒との関係性もよく分からず、初めてこの作品を知る者にとっては不親切でもありました。宮川大輔の役名はジャッカル富岡。
10 大日本人
たとえば「北野」を期待してしまうと、なんだこれはということになってしまうのかもしれません。しかしながら、お笑い芸人が作ったナンセンスなコメディと単純に見れば、個性がきちんと現れていて、これはこれでよろしいのではないでしょうか。ミュージシャンや芸人が映画を作るとき、ともすると普段の彼らとは全く違う、観ていてくすぐったいような作品になってしまいがちなのですが、松本の場合は、あくまでも自分の得意分野で勝負してきているように思います。映画界に殴りこみをかけてやろうなどという、大それた気負いのようなものはあまり感じられず、このセンスが好きな人にだけ楽しんでもらえればいいというスタンスのように、私は受け取りました。