別荘を舞台にした映画 ベスト10
別荘を舞台にすると、
ロマンスも、サスペンスも、青春ストーリーも、
どんな題材も魅力的に料理されてしまうようなところがあります。
今回はそんな、別荘を舞台にした作品の特集です。
1 危険がいっばい
命を狙われて追われているアラン・ドロン演じる青年をかくまってもらった未亡人。しかし彼女にはとんでもない秘密があったという設定なのですが、主な登場人物は4人なのですが、4人の関係や思惑が複雑に入り乱れて、その展開の行方に知らず知らず引き込まれていきます。やがて主人公は命を狙われていることを知り、それを逆手にとって未亡人に逆提案をするのですが、そこに彼女に嫉妬しているもう1人の女が絡んできて、最後の最後まで結末を読ませません。そして最後に、主人公が命を元々狙われているというところが鍵になって、一気に展開が動くのです。とにかく、4人それぞれの思惑が叶うことはあり得ず、誰が最後に思惑を実現にこぎつけるのか、愛憎入り乱れ、最後まで目が離せませんでした。
2 悲しみよこんにちは
現在のシーンはモノクロームで、1年前の避暑地の生活がカラー、その対照の妙が素晴らしいです。避暑地の別荘での生活も、前半の幸せな生活から、後半の悲劇へと転じる展開。さらに青い海と空に囲まれた美しい景色に、主人公の心に宿る嫉妬とどろどろした企み。カラーの美しさが加わって、負の部分がより際立つ構成になっています。ジーン・セバーグも等身大の娘を演じていて、その魅力が十分に引き出されていました。
3 あいつと私
重いテーマを含みつつも、カラッとした雰囲気で明るい青春ラブ・コメディになっている。なんといっても裕次郎の魅力につきるのだが、相手役の芦川もまだ世間を知らないお嬢さんを好演している。前半は主に大学の仲間との関係を、そして後半は家族との関係を中心に描いていて、やや特殊な環境ではあるが、この時代の青春期の生活観が出ている感じがした。車で通学したり、軽井沢の別荘で過ごしたりと、庶民に近い部分でも贅沢な要素が入り始めた時代を映し出している。
4 レイクサイドマーダーケース
別荘で行われた勉強合宿に集まった親子たち。登場人物たちが限られる中での殺人事件の真実は何か、それを本線に親のあり方を問う作品になっています。単なるミステリーに終わってないところで、最後は真実明かしよりも深いところに主眼が移ってしまったような終わり方でしたが、芸達者がそろって、最後まであきさせない脚本にはなっていました。
5 アメリカン・サマー・ストーリー
大学生+夏休み+別荘とくれば、もうこうなっちゃうのが必然というか…。下ネタオンパレードもここまでそれ一本に徹底すれば、あまりの馬鹿馬鹿しさに爆笑シーンも連発。特に男どものキャラクターがたっていて、役割分担がきちんと出来ているのがいいです。ジムの父親役の相変わらずのとぼけた物分りの良さがまた、子供ばかりの出演者の中でアクセントになっていてこれまたいいです。トロンボーンを障害児と間違えられて吹くシーンやレズのカップルに遊ばれるシーンなど、品はないが腹をかかえるほど可笑しい場面も満載で最後まで楽しませてくれるます。そして最後は青春ものらしく純愛で締めくくり。
6 キャッチ・ア・ウェーブ
音楽と色々な表情を見せると海と、そしてサーフィンに関わる人間たちのハーモニーにより、気持ちの良い青春映画に仕上がっています。時には静かで穏やかに、時には楽しく弾むように、時には厳しく荒々しく、色々な表情を見せてくれる海、そしてサーフィンによって一体化しようとする人間、そこにマッチした音楽、その調和によって、自分が青春時代に戻って海で夏休みを過ごしているような感覚さえ覚えました。恋愛と友情、そして対立、青春映画に欠かせない要素を絡めながらも、もうひとつ「自然への尊敬の念」というテーマも大いに盛り込み、一見軽そうに見えても、実は真面目な作り手の姿勢にも好感が持てました。
7 恋愛小説
別荘を舞台にしたラブ・サスペンスです。不倫関係から義母、さらに夫まで、偶然といえど殺すことになってしまった女、しかし男が別の女に戻ってしまい、最後は相手の女とともに心中をはかるという、フランスらしい暗く衝撃的な映画でした。
8 太陽が知っている
バカンスの避暑地のムードが男女の愛憎のもつれを盛り上げています。どこか儚げなアラン・ドロンの美貌と最後まで謎めいた存在感のジェーン・バーキンが、この不思議な四角関係から来る殺人事件を、不思議な雰囲気に染め上げているのです。よく考えると単純な構図ですし、バーキンの存在もなんのためかあまり役割が分からないのですが、そんなことを包み込んでしまうようなムードがこの作品には被されていました。
9 プロヴァンス物語 マルセルの夏
1800年代の終盤から1900年代初頭の南フランスを舞台にしたノスタルジックでのんびりしたムードの作品です。さまざまな出来後の中で、少年から大人へと、成長していく過程を優しく見守りたくなるような気持ちになりました。
10 いつか眠りにつく前に
死を前にした一人の女性が、二人の娘たちにも話すことのなかった、唯一心から愛した人との忘れられない思い出、そしてそれがもたらした悲劇を回想する形で進行していく女性ドラマがこの作品。死が近くになった人が青春時代の甘く苦い思い出を回想するという形は、映画ではよく使われる形ではありますが、回想部分を現在のドラマと同時進行させていくことで、ノスタルジックで叙情的な味わいがより強くなる効果があるのでしょう。この作品ついても、やはり懐かしさを漂わす雰囲気に仕上がっています。海辺の近くの別荘でのほんの2,3日の出来事、病床に伏している母親の唯一で最大の心のこりである彼との思い出を、どうしても死ぬ前に心の中でケリをつけたかったのでしょう。無意識にその彼の名前を呼んでしまうのですが、娘にそれを伝えたかったのでしょう。とにかく、女性に焦点を当てて、女性視点によるドラマを描きたかった(原作もそうなのでしょうか)ということはよく分かりました。
11 スイミング・プール
12 八月の鯨
13 白と黒のナイフ
14 13日の金曜日(2009)
15 恋愛適齢期
16 クレールの膝
17 シークレットウィンドウ
18 芽ばえ
19 ファニーゲームU.S.A.
20 キャビン