● お菓子やスウィーツがタイトルの映画 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

お菓子やスウィーツがタイトルの映画 ベスト10

 

1 ハドキャンディ

全編のほぼ9割が2人きりの密室の中という閉塞感の中で、まだあどけない顔の14歳の少女が大人の男に仕掛ける罠が実にスリリングで、一時も目が離せませんでした。さらに男の隠す真実、少女の本当の狙いなど、なかなか見えてこない部分も多く、ミステリアスな展開。これだけ限定された状況ながら、独創的な展開で少しも飽きさせないどころか、なかなか結末が予想できない見事な脚本。少女優位の状況の中でも、必死に活路を見出そうとする男の心理的に追い詰められた状況が、手にとるように伝わってきて、まるで自分がその男になったような気分にさえなってきます。男が本当に犯罪者かどうなのか最後の最後までそれを明確にしないことが、2人の間の心理的緊張感を保つことにうまく作用していました。また、縛られたままの去勢手術の場面も、その肝心な部分を見せない(もっとも映せませんが…)ことで、手術しているところを実際に見られない男と同じ気持ちで見ることができ、そして氷で感覚が麻痺していることから、もしかして本当にはやっていないのではないかとさえ思わせる演出力も圧巻。

 ハードキャンディ

 

2 グミチョコレパイン

原作とは違い、甘酸っぱさの残る回想恋愛映画としての趣が強くなっていますが、映画としては、こちらのほうが良かったのではないでしょうか。高校時代のあまりもの冴えなさぶりに、どこか自分と重ね合わせて愛しく感じてしまいます。そして何よりも学校市の人気者、憧れの彼女の行く末があまりにも悲しい…。

グミチョコレートパイン 

 

3 チェリパイ

若いパティシエが亡くなった師から教わったチェリーパイの味を出せないスランプに陥る話で、キュートでそれでいて切なく瑞々しい青春映画に仕上がっています。作りは明らかに低予算の小品の雰囲気なのですが、それが返ってごく普通の女の子の日常を映し出しているようで好感が持てます。北川景子が等身大の23歳の女性を自然に演じているのが印象的で、もしかすると彼女の素に近い役なのかもしれません。面白いのは働いている店の店長との会話なのですが、この店長、娘ぐらいの年齢の彼女に対しても敬語を使っているのです。一見不自然に見えるこの言葉遣いも、店長の優しさとそれに伴う店そのものの雰囲気を表現し、なおかつ作品そのものに繊細で優しい色づけを与えています。主人公の友人たちも個性的で、主人公と亡くなった師をめぐる本線のストーリーに対するアクセントにもなっています。

チェリーパイ 

 

4 ショコラ

フランスの小さく閉鎖的な村にやってきた母娘の御伽噺として魅力的な話ではありますが、やや説教くさい道徳の教科書といった雰囲気もあるのですよね。ジョニー・デップがジプシーのグループのリーダー役で出演など、華もありますが…

 ショコラ

 

5 ペパミントキャンディ

時間を遡り、自殺に追い込まれるようになった男の人生を逆に追うというユニークな手法で映画にしています。時間を逆行していくエピソードとエピソード、その間の経緯は想像に任されるわけですが、素朴な少年がさまざまな出来事を通して、次第にすれていき、堕落への道をたどっていく様が興味深いです。とくに主演のソル・ギョングの変貌ぶりは見事な演技。

 

 

6 ストロベリショトケイクス

4人の若い女性の等身大の日常を自然体の中に描き、生活感がにじみ出てきていて、本当に生きている、暮らしているというのが伝わってきます。物理的にも精神的にも恋愛関係においても、きれいなものを描くというよりは、むしろすべにおいて汚いもの(または生々しいもの)にこだわって描かれているように感じられました。排泄、嘔吐、セックス、性産業、自慰陰口、セクハラ、まずいラーメン、食べ散らかし、嫉妬…。4人いて1人も綺麗な恋愛をしているものはありません。過去の恋人の結婚に対し密かに嫉妬する女、簡単に体を許しすぐに愛想をつかされると寂しくなって別の男にまた体を許す女、片想いの相手と1回だけ結ばれるとそのことを後生大事に胸に抱き続ける女、新しい恋を待ち毎日祈り続けるだけの女…皆苦しんでいるのがとてもせつないです。それだけに都会で暮らす女性の日常としてリアリティは伝わってきました。

ストロベリーショートケイクス 

 

7 チョコレトドナツ

優しい映画だとは思います。見返りを求めない無償の愛、と言えばそれだけで美しく感じられます。ただそこに至るまでの心境の描写が弱いため、実話ベースというわりには、作り物っぽく感じられてしまうのが難点。また冒頭のルディとポールの出会いの場面にしても唐突感があり、全体的に感情移入しにくく、感情面で揺さぶられるようなことは正直なところなかったです。ラストのせつなさやるせなさにはしんみりとした思いにもなっただけに、ただでせえ同性愛という特殊な設定の中で、どうしてそこまで…という部分の説明が弱かったことが残念でした。

 

 

8 ハキャンディ

1とは別の作品です。ビッチな女子高生たちをメインにした、ブラックな学園サスペンスものです。友人を殺してしまった高飛車な女を、復讐にかける同級生たちが最後にパーティの場で仕返しは、なかなか痛快です。心理やトリックはちゃちですが、それなりに楽しい。ローズ・マッゴーワンがまさにはまり役。

 

 

9 チョコレ

全体的に進行がゆったりとしていて、トーンが低い。意識的に盛り上げたりすることを避けているのか、最後までこの調子であるのだが、そのせいかどうか、本来ならもっともっとズシンと堪えてしかるべき事柄が、淡々と過ぎて行ってしまいました。人種違いの恋、時々描かれるテーマではありますし、そこに正直目新しさというものは感じられないです。ビリー・ボブ・ソーントンの抑えた演技もいつもながらであり、食傷気味とさえ思えてしまいます。オスカーをとったハル・ベリーの演技は確かに熱演ではありますが、そこまでの力は感じ取れませんでした。その中ではハンクと父親との関係が興味深く映りました。

 

 

10 キャンディ

今は亡きヒース・レジャーが恋人共にドラッグの罠に溺れていく中で、喜びから苦しみに変わり、ボロボロになるまでを描いた作品です。この世界、経験しない者にとっては、なかなか分からないものがあるのかもしれません。愛し合いながらも別れを選ぶ主人公。それはそれでやるせないのですが、ヒース・レジャーの死と重なり、なんとなく空しい気分になってきます。

キャンディ