●二股映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

二股映画 ベスト10

 

二股、三股と複数の異性を天秤にかける恋愛映画の特集です。

 

 

1 Black&White/ブラック&ホワイト

確かに男も女もみんな軽いのですが、それ以上にライバルであり親友同士である二人のかけあいが楽しく、大いに笑える面白い作品でした。仕事で培った技術を生かし、お互いのデートへの監視と邪魔のし合いは、実に馬鹿馬鹿しいし、まずありえないことなのでしょうが、それがかえって映画として割り切って楽しめる要因にもなり、最後まで飽きることもだれることもなく観られました。こういう映画はまじめに考えてはいけませんね。二股大奨励、まさに男はあれこれ試して比べて選びなさい?

 

 

2 幸せの始まりは

確かに脚本的には粗が多く、事業に絡めた父と息子の関係の下りはかなり雑ですし、オーウェン・ウィルソン演じる恋敵の野球選手の描写も表面的ではあります。それにこの「やる気の感じられない」邦題の付け方もいただけません。まったく凡庸すぎて、タイトルを聞いても興味が持てないですよね(もっとも原題もたいしたことないですが)。しかしそれらを補うのは主役2人の演技。リース・ウィザスプーンはもともと上手い人ですし、ジャンル的にも得意分野でしょう、非常に生き生きして見えました。そして意外にもポール・ラッドが素晴らしく、もっとオーバーアクションで無理やり笑いをとろうとするのかと思いきや、真摯に恋する男を演じていたところに共感を覚えました。

 幸せの始まりは

 

3 イニシエーション・ラブ

この原作をどう処理するかと思ったら、なるほどそうしましたか。考えましたね。日付に年を入れないで月日のみにしたところがみそですね。80年代の小道具をふんだんに盛り込んだところは、その時代に青春時代を送った者としては、くすぐられるところはあります。使われる音楽が必ずしも86から87年という時代に合致しない者がいくつかあったのは残念で、そこまで徹底してほしかったというのはあります。それにしてもマユという女の怖さ。一方で堕胎までして捨てられた可哀そうな女性を演じながら、並行して恋に奥手な女性を装い男を引き寄せる悪女ぶり。子供かと思わせておいて裏の顔は…。二人に「初めて送るの」と言って同じプレゼントをあげるのは、これ以外にも同じ手を使っているのではと思わせます。言い間違いがないように、無理やり同じ相性で呼び、間違いを起こさないようにする用意周到さ。一方でルビーの指輪を返すところなんかは、金や物が目的でもないらしい。いったい何を考えていたのか。ラストに見せる微笑みの恐ろしさよ。

 

 

4 婚前特急

予定調和の結末とはいえ、なかなか楽しいラブ・コメディになっていたと思います。意外にこの手の匂いのラブコって邦画には少なくて、そういった意味でも素直に楽しめました。ラブコメの成功の可否はなんといっても主役の男女に因るところが大きいのは今更いうまでもないのですが、この作品についてはやはり吉高由里子。彼女あってのこの映画ということで、その魅力を大きく引き出すことができたのではないでしょうか。ま、でも浜野謙太くん、ちょっとモテ過ぎかな。

婚前特急 

 

5 陽のあたる場所

二股愛の悲劇を描く典型的なパターンで、邪魔になった女性への殺意を巡る意識がテーマとなっています。どこまでが殺意かというのは難しいですが、それに気付いて罪を償う気持ちになるまでの心の移り変わりと、それでも主人公を愛し続けるけなげな恋人に、やるせない気持ちになりました。学も富もない田舎の若者が大きなチャンスを得ますが、それとともに捨てないといけないもの、それを捨てきれない胸のうち。どこか影を持った青年の役をクリフトが繊細に演じています。

 

 

6 サッドティー

不複雑に絡み合った友人関係と恋愛関係が可笑しみを醸し出す独特の恋愛群像劇。『恋の渦』をさらに緩くしたような内容で、有名俳優も皆無。そこりリアリティを感じさせます。どいつもこいつもふらふらしていて適当。脱力的恋愛劇というべきなのか。最後にみんなが集合した海辺はハイライト。

サッドティー 

 

7 ニシノユキヒコの恋と冒険

ニシノユキヒコの持つ力の抜けた感じを、セリフだけでなく映像全体で表現していて、リラックスして観ることができました。原作以上に脱力感を感じるものになり、疲れているときに観る映画としては、結構心地よかったです。猫がただただ体を舐める様子をじーっと捉えたり、何気なく一緒にいるところからいちゃいちゃが始まるまでを見つめたりと、長回しによって映画の中の余白のようなものを作り出している表現が面白かったですね。ともすると眠らせてしまう可能性がある手法なのですが、不思議と睡魔は襲ってこなかったです。それにしても年齢を問わないどころか、女性を好きな女性までも磁石のように惹きつけてしまうニシノ氏の魅力。だいぶうらやましいです。

 ニシノユキヒコの恋と冒険

 

8 もう頬づえはつかない

桃井かおり演じる主人公の早大生は、同じ大学生と、三十過ぎのルポライターとの二股恋愛中。1979年という時代、少しずつ女性が強くなってきていた当時の世相を映し出しているような、そんな作品となっています。桃井独特のけだるさが、作品そのものの雰囲気にもなり、彼女の代表作ともなっています。

 

 

9 夏の終り

街の中の看板や会話の中の単語にも細かい気を使い、時代の空気感というものはよく出ていたと思います。ただこの題材のわりには「しっとり感」、もっというと「官能性」がやや不足していたことが、恋愛映画としての切なさがいまひとつ表現しきれなかったことに繋がったかもしれません。何も肌を晒せとか濡れ場を増やせとかそういったことではないのですが、3人の関係がドライで生々しさがちょっと足りないのですよね。理屈でつき合っているようなところがどかこ感じられて、心の底から切なくなるようなキュンとする思い、会えなくて会えなくて募る気持ち…そんなものがさりげなく、でも明確に表現されていると、もっと心に響く映画になったのではないでしょうか。

 

 

10 カフェ・オ・レ

自分勝手な女の行動、それがいかにも正しいとばかりに男性陣にへいこらさせるこの脚本には正直共感は持てないし、嫌悪感さもっててしまいます、男としては、ね。人種差別問題もさりげなく扱っているようで、実はくどい。軽いタッチのやりとりが軽妙ではありますが、3人の誰にも感情的に応援できなかったので、気分的に楽しくなかったです。