●ベルギーが舞台の映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

ベルギーが舞台の映画 ベスト10 

 

1 ある子供

子供が出来たとき、それを物としか認識できない男と、すぐに母親になることができた女。そんな男に女はきれてしまうのですが、それによってようやく少しずつ自覚が生まれてきます。常時自分のお腹の中の子と過ごしてきて、赤ん坊が誕生してくるときには既に実感を持っている女性に対し、見舞いにも来ない男性にとってはいきなり「はい子供」と渡されても実感がないのかもしれません。この20歳の男、子供が出来る前も、出来ああとも、女に愛想をつかされたあとも、していることはひったくり。まともに働こうという意識がないのです。しかし作り手側はその彼を温かい視線で見ています。彼は根っからの悪ではありません。彼女の失神に驚き、慌てて子供を取り戻します。ひったくりのあと追われたとき、水で冷えた手下の少年を一生懸命温めてやり、その少年だけが逮捕されると、盗ったお金とともに自分が首謀者として警察に名乗り出ます。刑務所で面会に来た女と再会し、互いに涙を流しているラストに、今後彼が父親としての自覚を持って生きていくことだろうという光明をみたところで終わっていきます。音楽を一切使わずに文字だけが流れていくエンドロールは、これから彼らの人生がまだまだ続いていくことを表しているようにも感じました。

 ある子供

 

2 小便小僧の恋物語

ブリュッセルを舞台にした不器用な男の子と女の子のせつない恋愛物語です。自分の気持ちを思うように表現できない二人。バイトをしながら好きな子のために靴や車を買っても、嬉しいのに素直にいえなかったりと、せつなくてキュンときて、最後は悲しい等身大の若さが描かれています。

 

 

3 午後8時の訪問者

自分が時間外の往診に対応しなかったということが、一人の少女を死なせてしまったかもしれない。なんとか遺族にはそのことを知らせたい、そんな思いから、自らの進む道までも変えてしまった主人公の女医。その過程では時に脅されたり、冷たい仕打ちを受けたりしながらも、一人で自分が納得できる答えを探ろうとする苦悩が、終始彼女を支配しているのが伝わってきます。若くてきれいな女医さんでありながら、男性の影はまったくなく、ストレスに対してはタバコで紛らわすのみ。厳しく当たって辞めてしまった研修医へのフォローにも気を配る本当は優しい人柄であることも分かります。大きな収入よりも困った人々の為の助けを選んだ彼女。ここまで危ないことをしなくてもと思いながらも、ついつい応援してしまいたくなるのです。最後には身内の人が見つかって救われた思いでした。

 

 

4 エブリバディ・フェイマス! 

破天荒なストーリーながら全体に流れるトーンは優しく穏やかなもの。要するに親ばかぶりを楽しんでしまおうという映画です。ディレクターとベッドイン寸前となったマルヴァが結局ことをなさないままで終わり、それでも約束通りデビューできてしまうところ、巻きこまれた共犯の青年が駆け落ちという皆が満足の結末にまとめてしまうところ、どれもやさしさを感じずにはいられないシーンばかり。そんな優しい映画があってもいいではないかと思いました。

エブリバディフェイマス 

 

5 素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店

事故に見せかけてあの世へのたびを手助けする自殺ほう助の旅行代理店を訪ね、オランダからベルギーへやってきた青年。死を望む人に対しその手助けをするという謎の代理店が堂々と存在する不思議な設定ではありますが、そこから始まるちょっといい話と教訓にほろりとさせられます。無感情で人生を楽しもうとしない男が、愛する女性との出会いの中で人間らしい感情を取り戻していくまでの様子が、優しく描かれ、心温まる思いでした。

 

 

6 裸足のマリー

別れた男の子供を妊娠しながらおろすことができない少女が、たまたま知り合った父親をなくした男の子の母親をさがして、ベルギーを舞台に旅するロードムービーです。二人の心が次第に通い合いっていく様子が涙を誘います。

 裸足のマリー

 

7 尼僧物語

ベルギーの修道院に入るところから出て行くところまで、戒律と良心や感情との葛藤の間に悩みながら決意する過程を、主人公を一人の感情と意思を持った人間として、女性としての姿を描く好感の持てる作品になっている。けっして修道院を戒律にがんじがらめで冷たいところだというようには描かず、特殊ではあっても人間的な世界として見せつつも、身内の死への思いや患者としてみている人たちへの慈しみの気持ちなど人間として当然の感情も、その特殊な世界の中で抑えなければならない主人公の気持ちの揺れを素直に映し出している。ただし、前半はやや長い印象で、この主人公特有の物語というよりも単に一般的な尼僧の成長過程を描いているような印象。もう少しすっきりしていれば、より良かった。

尼僧物語 

 

8 LISA

内容はコテコテのメロドラマです。ある意味ハッピーエンドともいえる恋愛物語の王道を行く展開。そこにHIVという重い悲劇も介在してくるわけですが、その部分はあくまでも刺激的なきっかけを作っただけという感じ。二人の純愛は、大自然の中に溶け込んでいました。

 LISA

 

9 ロルナの祈り

ベルギーでの幸福な暮らしを夢見てアルバニアからやってきたヒロイン。国籍を得るために、闇のブローカーが選んだベルギー人の青年と偽装結婚するのです。そんな作品ですが、特徴的なのは重要な場面をまったくカットしてしまい、その後のシーンを続けることだけで、何があったのかを観る側に伝えようとしていることです。それもヒロインにとっての大きな転換の機会となる出来事ばかりをそぎ落としているので、作品全体の流れが独特の雰囲気になっていました。映像自体も生活臭が漂ってきそうなほどの生々しさがあって、生活の息遣いが聞こえてくるような気配。言葉数のそう多くないロルナの心のうちを推し量りながらの鑑賞は、作り手側と勝負をしているような感覚にも襲われ、観終わってどっと疲れが押し寄せるでもありました。

ロルナの祈り 

 

10 トト・ザ・ヒーロー

子供時代・青年時代・老人時代の姉弟愛と男同士の確執と和解が絡み合って独特の雰囲気を醸し出している作品です。少年の頃のほろ苦い恋愛を回想する老人に、なんともいえぬ哀愁を感じさせられた作品です。