アルプス映画 ベスト10
アルプスを舞台にした映画の特集です。
のどかな風景、厳しい雪山
いろいろな風景をそれぞれの作品で見せています。
1 氷壁の女
アルプス登山に臨む男二人と女一人。三人の微妙な関係が織り成す心理ドラマが緊張感を常に保ち続け、結末に向かって引っ張っていく力はかなりのもの。険しい山の中で何があるのだろうと期待させる演出力は見事でした。
2 アイガー北壁
厳しい悪天候下の絶壁の雪山、生きるか死ぬかの緊張感の続くサバイバルドラマは、観ているのも辛くなるほどのキリキリとした展開でした。撮影も相当大変であったろうことが想像されますが、実話ということでさらに重みが増します。とにかく余分なサイドストーリーやら回想やらというものを一切廃し、生還に関係する当人たちと見守る側のドラマに集中したことで、持続的な緊張感を産み出したように思います。撮影もできるだけ丁寧に忠実にという意図がしっかり伝わってきて、その分くそまじめで面白みがないという言い方もできないではありませんが、変な色気を起こさずに、方針を徹底したことが、結果的にいい方向に行ったように思います。
3 花のようなエレ
御伽噺のような、ある種ファンタジーの世界の中の恋愛。知識障害を抱えるため、男達に体を許すことになんの罪悪感も持たず、愛する人の前でも平気で他の男のおもちゃにされる姿。それを見て責めるわけにもいかない恋人、そして母親への愛と恋人への愛との区別もつかないことから生まれる嫉妬。アルプスの自然と、対照的に繰広げられるゲームのような愛憎劇、官能的でありながらも、どこか人間の物悲しさを描く、独特のムードのせつない作品。
4 山の焚火
アルプスの山奥、人里離れた辺鄙な山間で暮らす家族の、一見のどかで牧歌的な話かと思いきや、近親相姦に尊属殺人がからむ衝撃的な結末へと突き進んでいくハードな作品です。アルプスの風景に似つかわしくないようにも思えますが、世間から隔離されたような場所だからこその物語なのかもしれません。
5 ベル&セバスチャン
単なる犬と孤児の少年の交流映画ではなく、そこにナチスドイツ占領下のユダヤ狩りという戦争の暗い影が落ちてきて、厳しい雪山の自然も重なり、温かくも物悲しくそして厳しい作品になっています。命がけで逃亡に手を貸そうとする青年、その恋人、彼女に惹かれたドイツ兵。特にナチス側に居ながらも陰で警備の情報を流していたドイツ兵の存在というものが、逆に緊張感を増幅させ、微妙な彼らの均衡がいつ壊れるかと、周りの状況にも冷や冷やされられます。そんな中、母親のいると聞いているアメリカが海の向こうにあると知った時の少年の寂しさは、なんともやるせなく響いてくるのです。そしてラスト。アンジェリーナは戻らず、ベルと二人で雪の中を戻っていくセバスチャン。彼らの未来を思うと、複雑な思いでした。
6 女王陛下の007
世界中を飛び回るジェームズ・ボンドですから、何回かアルプスにも出かけて(?)います。こちらは貴重なジョージ・レーゼンビーのボンドですが、アルプスでスキー姿も見せ、スケール感の大きなスキー滑降シーンはなかなかの見どころ。作品では結婚式まで挙げてしまっています。
7 アイガー・サンクション
アルプス連峰の難所を舞台にした山岳サスペンスで、クリント・イーストウッドが監督と主演を務めた作品です。全体的にテンションの低い冷めた感じの流れですが、山岳を舞台にした、自然と正体のわからない敵との闘いは、なんとも静かな恐怖感が漂います。
8 河は呼んでる
アルプス山麓の村を舞台に、遺産をめぐって、娘と親戚達との確執を描く作品。最後はやはりやさしく欲のない人物が、この手の作品では強いようです。ダム建設という状況も重なり、緑の川に羊飼いが溶け込んで、美しい映像を形成していました。
9 フレンチアルプスで起きたこと
予想もしないアクシデントから本性が出てしまった父親がその威厳を取り戻すためにあくせくする様子を描いたブラック・コメディ調の作品。自分に置き換えてみると、どういう行動をとったかなんてついつい比べて考えた観たくなるような話ではあります。
10 アルプスの若大将
日本からもアルプスへ飛んでいます。能天気なお坊ちゃん大学生加山雄三の相変わらずなお気楽青春ぶりですが、このシリーズを観て大学生活に憧れた人も多かったのでしょうね。
次点 ハイジ アルプスの物語
アルプスといえばハイジ、ということで、ランクに入りませんでしたが、挙げておきます。