●2016年 鑑賞映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

2016年 鑑賞映画 ベスト10

 

恒例の年間ベストです。

劇場公開日については、私のいる地方基準ですので、

全国公開とは多少ずれる場合もあります。

 

1 この世界の片隅に

アニメ映画が年間ベスト10に入るのも初めてなので、当然1位も初めて!年末が迫り今年は飛び抜けた作品がないなと思っていた時にダントツの作品が現れて迷わず1位。戦争前に営まれていた庶民の普通の日常から、次第に戦時色が現れ始め、やがてはそれが激しく多くの人々の命を失うほどになった末、戦争は終り、それでも人々は生活を続けていかなければならないというように、戦争の前と後ろを順に描いていくことで、戦争が人々の日常にどのように入り込んでいったのかを丁寧に描くことに成功しました。

この世界の片隅に 

 

2 すれ違いのダイアリーズ

こちらはタイの映画です。生徒数人の水上学校に入れ違いで赴任した二人の教師。お互いの日記だけが相手の人となりを知る術だったのですが、それを読んでいくうちに相手に好意を膨らませ始める二人。しかしそこには1年のずれがあり、当然相手はどこにいるかわからない…。心憎い演出と構成によって、なんだかほっとするような気持ちにさせてくれる映画でした。素直で明るい子供たちとの交流の様子もまた可愛らしく、そんな背景の環境も手伝って、素敵な思いで作品を観ることが出来ました。

すれ違いのダイアリーズ 

 

3 消えた声が、その名を叫ぶ

トルコが長く隠していたアルメニア人の大量虐殺から始まり、運良くも命を永らえた主人公が、娘との再会の為に一人でさまよい、戦い、諦め、そしてまた希望を持ち、行動し、最後まで諦めずに想いを果たすまでを描いた過酷な年月を描いた壮大なロードムービーといえるでしょう。壮大な規模の中で、どんなに過酷な運命にあっても揺るがない親子の繋がりを強く感じずにはいられませんでした。

消えた声がその名を叫ぶ 

 

4 64 ロクヨン 前編/後編

犯人、被害者の家族、捜査に当たった者…それぞれが抱えた14年の重さが一気になだれとなってのしかかるような、そんな重みを感じさせられます。一方でメンツを守ろうとする警察組織、そんな警察に不信感を募らせる記者たち、間に入り振り回される広報、それぞれの立場がぶつかり合った感情的なやりとりも緊張感に溢れていました。子供の命を他人に奪われそこで時間が止まったままの父親の無念、同じように娘の行方が分からなくなっている主人公の広報官にとっては、まさに他人事ではなかったのでしょう。見応え充分の作品でした。

64ロクヨン 

 

5 最愛の子

幼いうちに誘拐されて別の親の元に暮らしていながら、実の両親が見つかり、ある日突然覚えのない親の元に戻される子供の気持ち。夫が誘拐してきたと知らないで実子として愛情を注いで育てた上に、ある日突然別の親に連れ去られてしまう母親の気持ち。そしてもちろん、ある日突然自分の子供が何者かに連れ去られ、探し回っても見つからない親の気持ち。そこに中国特有であった一人っ子政策や、同様の事件の多さからくる警察の初動の遅さなどが絡んで、実に複雑な構図の中で感情や道義が渦巻くドラマになっています。

最愛の子 

 

6 裸足の季節

田舎ののんびりした風景と対照的な閉鎖された家の中の空間。薄着で彼女たちが戯れる様子は、監禁されていることを一瞬忘れさせるような、自由で奔放に過ごせる時間に映るのですが、しかし5人姉妹の時間の多くは監視と束縛で埋められているわけです。その中でバイタリティ溢れる五女が自ら道を切り開いて飛び出していく姿には胸につっかえていたようなものがようやく取れたような気持ちになりました。

裸足の季節 

 

7 奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ

落ちこぼれクラスの生徒たちに対し、けっして諦めることをせず、目標を与え考えさせることで、バラバラだったクラスが一致団結してコンクールに優勝するまでを描いた実話に基づく作品です。人生を説いて教え込もうとするより、きっかけを与えてあとは自分たちで考えさせる手段により、劣等性を変えていったこの先生はなかなか魅力的な先生です。生徒同士、先生と生徒、それぞれいい関係が築かれていく様子を観るのは、気持ちの良いものでした。

奇跡の教室受け継ぐ者たちへ 

 

8 怒り

配役と犯人の写真の作りかたがかなり巧妙で、3人のうちのだれもが犯人の可能性があるように思え、うまく映像を利用したところがまずは褒めたいと思います。日本の3か所で同時進行で進んでいる出来事。素性のわからない人物がそこの生活に入り込んでいき信頼を築いていく中にも見え隠れする「陰」。ヒリヒリするような心理ドラマに李日相監督がきちんと仕上げてきました。

怒り 

 

9 君の名は。

200億というとてつもない興行収入をあげることになるとは、公開時に誰が予想できたでしょうか。これは一つの事件だと思っています。ツボを抑えた心憎い作品といったところでしょうか。男女の入れ替わり、出会うまでのジリジリしたもどかしさ、彗星が流れる幻想的な映像、そして人気俳優を使った声、田舎の癒される風景…受けそうな要素を散りばめたところがずるいと言えばずるいのですが、それをRADWIMPSの音楽を巧く使って雰囲気を盛り立てているのがまた巧みなところ。見事でした。

君の名は 

 

10 人間の値打ち

ごくごく庶民的な不動産屋と大富豪のベルナスキ家の出会いから、ひき逃げ事故の起きた役半年間を、3人の視点と全体を俯瞰で眺める第3者的視点の4つから描いた緊張感あるドラマになっています。金に対する執着の強い庶民の男、本当の愛を見つけひた走る娘、金目当てで近づいてくるがさな庶民の男を陰で馬鹿にし続ける富豪、そんな夫に心で寂しさを感じて不安定な心理状態の妻、1つとひき逃げ事故を通して、金、家族、愛、地位…それぞれに大事な物をなんとか守ろうと嘘をついたり画策したりする様子に、人間の本質のようなものが見え隠れして面白かったです。

 人間の値打ち

 

10位をどうするか非常に迷って、迷っての『人間の値打ち』です。惜しくも外れた作品のタイトルだけ挙げておきますと『映画 聲の形』『スポットライト 世紀のスクープ』『家族はつらいよ』です。2017年も素敵な映画に出会えることを期待します。