●ケン・ローチ 監督映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

ケン・ローチ 監督映画 ベスト10



英国の庶民のリアルな生活を描かせるのならまずこの監督でしょう。

今回はケン・ローチ監督の送り出した作品を10本。



①天使の分け前

現時点で日本公開されている映画で一番新しいこの作品は、ローチとしては珍しくユーモアにあふれたコメディになっています。その意味では正統派ではないのですが、やはり観ていて幸せな気持ちになれる作品の方がいいですからね。行ったこと自体は褒められることでないとしても、知恵と機転の利いた計画は見事であったし、なんといっても関わった全員が満足して終わるというのが素敵です。誰も損をしていないですし、傷ついていないのですよね。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-天使の分け前


②麦の穂をゆらす風

アイルランド独立戦争を描くこの作品、決して派手な戦闘シーンを見せ場とする作品ではないのですが、戦争というものがいかに無為で残酷なものであるかをひしひしと伝えてくれます。まさに人を助ける職業である医師を志していたはずが、人を殺し、仲間を殺し、悲劇に向かって突き進んでいく様子は、正直観ているのも辛く耐え難いものです。しかしその観るに耐えない戦争を描いたこの作品をしっかりと凝視することこそで、ローチ監督の思いというものを受け止められるということになるのでしょう。

映画いろいろベスト10 + 似顔絵-麦の穂をゆらす風


③ルート・アイリッシュ

親友の死の謎を追うミステリー色の強い作品です。イラクで死んだ親友の死の真相を追う主人公が、何者かに狙われるという危機にも逢いながらも、次第に真相近づいていくのですが、怪しい人物と本当の犯人の登場のさせ方といい、残酷な拷問シーンといい、これで落着かと思ったところでのもう一展開といい、まさにサスペンス映画の構成で、これもケン・ローチとしてはやや異色の作品。衝撃のラストがやるせなさを誘います。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-ルートアイリッシュ


④ケス

ハヤブサだけが唯一心を癒してくれるという、貧しく孤独な中学生。映画の中では、先生からも、クラスメイトからも、兄からも虐げられている主人公ですが、彼を見つめる視線の温かさを映画の作り手に感じます。貧乏で劣等生、どこか屈折したところのある彼ですが、一方で純粋で忍耐強く、優しい面を持ち合わせている少年でもあります。それだけに、彼の心の拠り所を奪うことになった結末には、観ている方も憤りを感じずにはいられませんでした。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-ケス


SWEET SIXTEEN

真っ当な生活をしたいと思いながらも、その手段を知らない主人公のリアム。家族の愛に飢えてそれを欲しながらも、思い通りにならない現実。さらには友情の亀裂と、さまざまな現実の壁にぶつかりながら、なんとか精一杯生きていこう、愛情を伝えようとしているその切なさに生活感を感じます。生々しい暮らしの臭いがしてきそうな、ケン・ローチらしさがあふれたやるせなさの残る青春ドラマです。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-SWEET SIXTEEN


⑥大地と自由

祖父の死に遺品から若い頃の民兵軍として戦った時代を追想する重いテーマの戦争ドラマです。国家権力に抵抗するやるせなさや無力感、戦争という時代の哀しさが伝わってきました。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-大地と自由


⑦エリックを探して

前面に温かさがあふれ、家族の絆を深く感じさせられました。特にこのお父さんは素敵です。おそらく過去はひどいこともしてきたのでしょうけど、子供を想い、別れた妻を想い、孫を想い必死になる姿は、けっして器用でなくても、魅かれるものがあります。作品としては気持ちよく観られました。ただ憧れの有名人が妄想的に現れて助言するというスタイルは、やはり二番煎じ的な印象は受けてしまいますが…


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-エリックを探して


⑧この自由な世界で

ケン・ローチらしい、低生活層の生々しい日常を描く意欲作。セクハラ上司への抵抗がきっかけでクビになり、そこで始めた職業紹介所も、そもそもが無謀な計画。理想と現実との間で、とにかく目の前のことに精一杯の人々のつらさや物悲しさが伝わってきました。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-この自由な世界で


⑨マイ・ネーム・イズ・ジョー

全体にやるせない雰囲気の漂う映画です。他人を救うための行動が正義に反する行動であるとき、どちらを選択するか、主人公の揺れる心のうちが伝わってきました。けっして明るい映画でも、感動的な映画でもなく、むしろあと味も悪いので、不思議と深みの感じられる味わい深い作品に仕上がるのはケン・ローチならでは。

映画いろいろベスト10 + 似顔絵-マイネームイズジョー


⑩やさしくキスをして

イスラム教のパキスタン人の一家の1人息子とカトリックの女教師。相容れない2人が愛し合うようになり、家族や職場を巻き込んでの大問題にまで発展していくのです。ケン・ローチ監督としては珍しい感じの王道を行く展開ストレートな恋愛映画で、古典的だとすらいえるかもしれません。親の決めた婚約者と結婚することで愛する女性を捨てるか、愛する女性を選ぶことで家族を捨てるか、主人公の1人息子は行ったり来たりを繰り返し、観ている方はちょっとイライラ…

映画いろいろベスト10 + 似顔絵-やさしくキスをして