子どもの頃、
----大きくなったら何になりたい?
という質問が苦手だった。
この質問は、いつでも大人が
不用意に子どもにしたがる
典型的なヤツだ。
そして、それは、職業を聞いているのだ。
ムズカシイ
まだ、世間にどんな仕事があるかも
ろくすっぽ知らない子どもに
そんなの答えられる?
驚いたことに
スラスラ答える子どもがたくさんいるのだ。
たいていは、さも、子どもが憧れそうなヤツだ。
野球の選手とか
幼稚園の先生とか
お菓子屋さんとか
お医者さん看護婦さん
お嫁さんとかね
子ども心にも
対策を考えたよ。
幼稚園の年長からしばらくは
「お花屋さん」
と言うことにしたよ。
でも、実は、年中の時の将来の夢は
「ひみつのアッコちゃん」だった。
知ってる?
当時流行った、アニメ。
魔法のコンパクトで
アッコちゃんは何にでも変身できるのだ。
でも、年長さんになったら
それは、幼稚な夢だと悟っちゃったわけよ。
その後も、
外向きの夢の職業は 多少変更されたものの
一度たりとも、心からの夢ではなかった。
当然のように、
初めてついた職業は
会社員だった。
結局、純粋に夢見たのは
「ひみつのアッコちゃん」だけだったのだ。
自由に変身できるアッコちゃんに
憧れたということは
本当の自分以外の何者かになりたかったのかもしれないね。
なりたい職業すらない自分も
本当は嫌だったのかもしれない。
ん? だけど
その夢、叶ってるのかもしれないぞ。
私の夢はめっちゃ楽しい おはなしおばさん
になること。
で、その おはなしおばさんは、
聞き手やその場にぴったりの
さまざまなおはなしを語ったり
絵本を読む そんな人だ。
現実の私の物語ではなく
別の世界の話をし、
別の人のように語るのだ。
赤ずきんになったり
オオカミになったり
やまんばにもなれるのだ。
そして、年に一度はホントの劇もする(笑)
ひみつのアッコちゃんより
ずっと自由に
ずっと大胆に
驚くべき物語の中を行き来しているのだ。
それでいて、今の私は
自分以外の何者にも
なるつもりはない。
これが私の物語だ。
