モーニング娘。’25 12/3発売Sg  「てか HAPPYのHAPPY!/私のラミンタッチオーネ(Lamentazione)」セルフライナーノーツ

 

 

「てか HAPPYのHAPPY!」

アイドル界隈に関しても、
世間一般であっても、別に「どんな髪型だから正解だ」、
というようなことはどこにもないでしょう。

今回のモーニング娘。の新作「てか HAPPYのHAPPY!」
に関しては、「リーゼント」って歌詞も出てくるし、
いわゆる世間一般的な「アイドル」のイメージとは違う髪型で攻めてほしいな〜って思ったので、
レコーディングの時点から「MVはこうしたい」ってのが頭に浮かんでおりました。

邦楽POPSの王道コード展開で熱めの曲を書くかな〜って思いつつ、でも、やっぱ単なる熱い曲でなく、COOLなのにサビでは激アツな感じにならんかな〜と奮闘した曲です。

「モーニング娘。」も、すでに結成28年。
自分で言うのもなんですが、ネームバリューやブランド力としては、ある種「老舗」と言われる域なんでしょう。
でもでも、世間一般的には「なっちは知ってるよ」とか「ゴマキとか辻ちゃんでしょ」
っていうような感覚もまだまだ根付いております。
要するに「今のメンバー知らんし」みたいな世間の声の裏返しですわな。(日々頑張ってるメンバーよ、御免。。。)

よって、歌詞の中に
「大御所な雰囲気で新人なんです」
という言葉を入れました。

それくらい初心忘れずな気持ちで仕切り直そうぜ!と、願いをこめてあるわけです。

テーマは「HAPPYしちゃおうぜ!」です。

モーニング娘。のライブでの一体となる空間をイメージし、
全員でHAPPYを目指し、全員でJUMP!これです。
これだけがやりたい曲なんです。

国際社会も政治の世界も日々わちゃわちゃとなってますが、
モーニング娘。もわちゃわちゃと攻めまっせ!と。

さて、そんなシンプルなロックナンバーなんですが、
この曲で僕的にPとしてこだわったのは、一番と二番のさりげない対比です。
昨今、サビだけ踊って楽しむような時代。
一番(ワンコーラス)も流れないこともある中、フルコーラス聴かないと
わからないギミックを入れるなんて、なんて無謀なP・・・(笑)。

一番で「てか」って言って、二番で「Take up」という。
一番で「でかっ」って言って、二番で「Deck up」という。
はぁ〜なんておしゃれ。すんません。完全なる自己満足です。

でも、それが作品でしょ!笑

メンバー、気がついてるかなぁ〜
翻訳とかして意味わかってくれてるかなぁ〜。

先ほど「大御所な雰囲気で新人」って一番では書いたけど、
二番では「新人な顔して10年越えも居ま〜す!」
って歌ってる部分も味噌です。

そうなんです。実はみんなすごいんです。10年っちゃぁ〜昔の芸人や職人の世界じゃ、
とっくに師匠クラスで、弟子がいたっておかしくない。
でも、新人らしく初々しくもう一回初心で戦おうってんだから、すごくない!?

最近の他のグループもそうですが、10年選手が多々出てきておりますよね。
これは本当にすごいこと。
僕のnote『「アイドル」という職業の寿命がどんどん伸びた理由』にてアイドルの時間感覚について書いたのも読んでほしいんですが、
みんなしれ〜っと「プロアイドル」という職業を10年以上やってくれている。

ルッキズム云々いろいろ言われる時代の中で、
それでもイメージとして「若くいること」「清くあること」「誠実であること」
など、世間の視線を肌で感じつつ、10年続けるって、これすごいことだよ、まじで。

みなさん、ここに関しては本当に、めちゃくちゃ褒めてあげてほしい!です、はい。

な〜んて考えつつ、おしゃれな歌詞(曲)が出来たって思ってます。

オタク目線では途中に出てくるリモコンの「ぴっ」っていう音が気になるポイントとのこと。
なるほど、その辺もチェックしつつ、
OKやJUMP!で一丸となってみんなで騒いでほしい、そんな楽曲です。

あ、リーゼント乱れるって場面では、みなさんもリーゼントを直す仕草、お願いします!

ビデオは本編とダンスパフォーマンスVer.も用意しております。
一番最後のキメのカットは別カットを使ってますので、
見比べて違いを楽しんでくださいね。

ちなみにダンスはえんどぅ先生。

前回、えんどぅ先生とのやりとりが少なかったので、
お互いフラストレーション(メンバーもでしょう)が残ったのもあって、
今回はかなり密にやりとりしつつ仕上げてもらいました。
僕の大好きなシーンは生まれたばかりの子鹿が立ち上がって動き出す時のような
よろめきダンスです。さてどこでしょうかねぇ〜。

「下手くそだって」の後のOKの首の動きも好きだけどね(笑)。

みなさんの好きなシーンやダンスの動きもコメントやXに書き込んでくださいね。
(#てかHAPPYのダンス)

しかし、アレンジャー神谷君のアレンジはどんどん鋭くなってるよね。
パン切りナイフみたいなイメージです。あのジグザグというか山々になってるナイフです。
一見、指なんてカットしそうな感じしないのに、
触り方間違ったらシュって切っちゃうみたいな。あれ?分かりにくくなっちゃった?

ま。ええとしょ!
ちなみに今回のお気に入りポイントはベースの音色&ラインです。(もちろん他にあるんやで)

という感じで、いろんな角度からこの曲を楽しんでくださいね。
メンバー個別はまた改めて書きますね!

 

 

 

「私のラミンタッチオーネ(Lamentazione)」

もちろん発売日を気にして曲を書くこともあります。
特に歌詞はそんなこともありました。
真夏ならば真夏の歌をってことだとは思いますが、
20年前なら夏の歌を流行らせたいなら、5月中には発売するCDでないと間に合いません。
夏だから7月の発売で良いのでは?ってことでは、
発売した頃には一般的にはもう秋の気配を感じるのがマスメディアでした。

しかし、2025年の今や、新しいも古いもなくなってきましたね。
サブスクでもYouTubeでもいつのだったかわからないものが
急にバズったりもするしニュースネタは10時間後にはもう古いものに感じたりもする。

そんな世の中(時代)にあえて、季節を意識し
冬の曲を書きました(笑)。
当然ながら春には曲を作ってます。
歌詞を夏前に仕上げます。

じゃないと10人超えのメンバー数のレコーディングや
振り付けや、ビデオの段取り、衣装合わせ等々、
全てが間に合わなくなっていきます。

今年の冬が暖冬かめちゃ寒か、その辺もわからないけど、
冬の曲を書く。

なんでそう思ったんだろう。
我が娘も妻もハワイに住んでるとオシャレに限りがあるって言うんです。

やっぱオシャレって、ブーツや帽子、
マフラーやコート、それに合わせて、
バッグやアクセサリーのことを考えたりと。
いろんなところに神経を注ぐという意味で楽しみが増えるんだと思います。

なるほど、まあ、日本にずっと住んでた時は
四季があって当然で、寒い暑い言いながら服装も対応してたんですが、
一旦、そこから出ると隣に芝生は青いじゃないけど、
人のことが「良いな〜」って思えるものですね。

今回はそういう心情をヒントに、曲を書きました。
だからといって別にオシャレなお話ではないです。

失恋して冬を迎える。
彼に依存してた私は、その依存から解放されて
良かったじゃんと自分で自分を肯定しようともがいている曲です。

友達付き合いもよかった私が
彼との恋愛が始まって、休みや時間の隙間があっても、
いつ彼と会えるかわからないし、予定は埋めない主義になっていた。
それが今回の失恋によって「自由時間が増えた。未来しかない」
と言い聞かせるように変化した。そういうことなんです。

ラミンタッチオーネ(Lamentazione)は以前Xにも書きましたが、
イタリア語で、音楽用語的には「哀歌」や「悲歌」というようなニュアンスです。
「私の哀歌」のようなタイトルも考えましたが、
少し色っぽさにかけたので、読みにくいことは承知しながらも
あえての冒険でラミンタッチオーネ(Lamentazione)としました。
ラメンと書くか、ラミンと書くかもめちゃ迷いましたが、
何回ググっても聞いた耳はラミンって聞こえるので、
そう書くことにしました。おっさんになると変なところが頑固になってイカンですね(笑)。

この1行がなかったら日本中のどこのお話か、わからなくって、
それでよかったんですが、「東京木枯らし容赦なし」
どうしてもサビの直前のこのメロディに
この歌詞がピッタリハマったので、東京とさせて頂きました。

僕の場合、いつも二番の歌詞に愛を注入しちゃうんですが、
プロの作詞家なら一番から攻めろよ!って思うんですが、
なぜかそう出来ない・・・。

今回のお気に入りも二番のAメロ。

生まれた意味を知り
生きてく夢を持った。

恋愛したり、
結婚したり、
子を授かると、人間ちょっと悟ったような感覚になるもんです。
うん、良い歌詞!ってなところでしょうが、
つんく♂歌詞の場合、そのままでは許しません。

その直後に「単なる思い込みね」って言い切れちゃうこの感じ。
生まれた意味って何?
夢って、はぁ〜!?ってな、この感覚。

魔法が切れたんじゃないか!ってくらい
そういう出来事もあるよなって、ありますよね?!

おそらくですが、僕の心の中にも
羽賀や横山が卒業してく寂しさが、この辺りの
魔法が切れる感覚として、眠ってるんだと思います。

楽曲アレンジは鈴木俊介。天才ギターリストです。
僕と同じ年なのに、全然老けないこの音楽水準の高さ。
普通ならこのメロディを8ビートっぽく解釈してくるアレンジャーも
多いかとは思うんですが、
彼は違います。
これ以上なんかある!?ってくらいに16ビートを刻む
カッティングフレーズ&パーカッションetc。

本当、このビートを体に叩き込め!って思う素晴らしい
バックトラックなので、メンバーも本当に歌いやすいと思います。

そのギターを体の真ん中で一番感じられるのは、
これまた同じく、二番のAメロです。
ぜひリズムオタクの皆さんはここを聴きまくってくださいね!

ビデオでは寒そうなニュアンスが表現されていて、
ニコパチだけではない、切ない表情も見れますが、
ダンスの振り付けの段階でYOSHIKO先生に
「曲の雰囲気で行くときっとサビは悲しい、切ない顔を
全員すると思うけど、そうじゃない。ここは笑ってやっててください。
その方が、フッた彼氏にとっては怖いから」ということを
伝えたので、結構良い感じの笑顔をしてくれてます。

「全然悲しくも寂しくもないさ。ほら私こんなに楽しいから」
って意味の笑顔です。怖っ。

それはセリフ最後の井上の「全然、寒くなんかないよ」
の最後の顔からも伺えると思います。

ってことで、今回の振り付けもYOSHIKO先生には
結構苦労かけちゃいました。

でも、この縦横斜めの空間を表現するダンスを振り付けれるのって
日本じゃ、今、YOSHIKO先生以外におらんやん。

今回もいい感じで扇が開いたり閉じたりする、この美しさ。
これはまさに単なる振り付けやダンスでなく、
ショート動画や教室で友達と表現するようなのとの大きな
違いとなったと思っています。

なので、これもダンスパフォーマンスVer.も用意したので、
ぜひ空間を閉じたり開いたりする様子を楽しんでください。

メンバー的にはあと1、2回リハーサルしたかったと思うけど、
本番にのぞんでくれ、ここまでやってくれるのはすごいと思います。

で、このライナノーツを書く前に
思い立ったが吉日でパシフィコ横浜公演に行ってきた際、
現状のメンバーへのメッセージを書いたので、
個別メッセージはまた次の機会に書くことにしますが、
でも、急に書きたくなったら書きますね。

ということで、私のラミンタッチオーネ(Lamentazione)
映像付きでどうぞ楽しんでくださいね!