M-3. Upside down girl
歌唱者:小野田華凜、広本瑠璃、橋田歩果、平山遊季、豫風瑠乃、村越彩菜

つんく♂サロンを始めてからですが、ここ1年くらいでザクザクとハロプロ研修生のことを研究させてもらったけど、タワーレコードの社長嶺脇育夫さんとの対談直後に作ったのがちょうどこの曲。

 


一般的に社会の上下関係と言えば「年功序列」と言われてきました。ただし、芸能界においては、本当の年齢の序列ではなく、芸能界の門を叩いてからの年齢。つまり芸能界で過ごした歳月の長い人が事実上の先輩(上)となります。

それはハロプロ全体においても年齢よりも先に門を叩いた人が先輩(上)となるわけですが、ただし、やはり人気商売でもあるし、力(芸)がモノをいう世界でもあって、人気が出たり、グループのメンバーに抜擢されたり、メジャーデビューが決まったりすると、先輩後輩の立ち位置は変わらないものの、それでも何らかの序列に変化は起こります。

まあ、なんというか、言葉で表現するのは難しいけど、雰囲気は飲み込んでもらえてると思います。

そんなこんなを曲に詰め込んだらこうなりました。

50年以上生きてる僕からしたら半年くらいあっという間ですが、ティーンの彼女たちにとってはとてつもなく長い期間のはずです。

ご承知のように、ここ2年ほどはコロナによって、エンタメ業界の動きが大きく変わりました。
しかもまだ最中です。

変わったならまだしも止まっているものもたくさんあります。

ティーンズのメンタルを話せば、何もハロプロ研修生の話だけでなく、世間一般の中高生たちにとっても、当たり前だった修学旅行や体育祭。友人の家に泊まりに行ったり、単にデートするだけであってもかなりの制限がかかっているように思います。

なんにも考えずにこの時期を過ごした僕らの時代とはメンタルにおいて全然違う環境といえます。

どうか、このストレスやプレッシャーに負けることなく、腐ることなく、重要な青春時代を過ごしてほしいな〜ってそう思いながら作らさせていただきました。

ちなみに、サウンド的には、ライブやコンサートのオープニングを飾るような曲をと思って書き始めました。

こういう時ってめちゃ迷うんですが、ノリノリが前提だとして、「長調か短調か」です。
もちろん「LOVEマシーン」のように混合の曲でミラクルが起こることもありますが、まあ、そんな簡単にミラクルが起きるわけでもなくね。

で、今回は短調を選んだわけです。

あの子らがニコパチっと笑顔で歌い始めるもよしなんですが、過去の低年齢層が多かった研修生時代とも違い、最近はミドルティーンが多いハロプロ研修生なので、真剣に音楽に向き合ってるような鋭い顔から始まってほしいなって思ったので。

パフォーマンスしている顔を見ましたが、狙い通りみんないい顔で歌ってくれてました。

さらにちなみに、僕的に気に入ってる場所は「喝采あびちゃえば木にのぼる!」のところです。
2番のこの位置、歌詞的にもパフォーマンスするにしてもダレてくるあたりなんでとても重要な部分です。

その辺を踏まえつつ聞いてください!

レコーディングにおいての歌唱メンバーは
小野田華凜、広本瑠璃、橋田歩果、平山遊季、豫風瑠乃、村越彩菜です。


M-6. 部活終わりに新しいジャージに着替える乙女心
歌唱者:豫風瑠乃、有澤一華、石山咲良


寂しさと温かみが共存する長調の曲です。
現在発表されてる新曲たちの中では一番最後に作った曲ですね。

今年5月に行われた彼女たちのパフォーマンスも見て、他の曲の歌唱のバランスも考えて、今回はこの三人の歌唱です。

歌詞の主人公的には豫風の学年くらいで考えるのが妥当かもしれませんが、実際、スポーツを中心に高校まで進んだスポーツ系女子って考えたら有澤や石山の学年の方がかえって脳内変換しやすいようにも思います。

僕もそうでしたが、運動部の時って、休日でもなんでも地元にいる限りは大抵ジャージで過ごしてました。

もう35年以上も前の日本と今の学生とはそういう感覚も違うのかなぁ・・・なんて思ったりもしますが、みなさんどうですか?

なので、そんなイメージで基本はジャージで過ごす主人公が淡い初恋の最中、休日に出かける時に「あれ?何着てくのが正解?」みたいなことでドギマギするってお話です。

ポイントはタイトルでは「乙女心」を「おとめごころ」と読みますが、曲中では「マイハート」と発音する点です。

それと一番でも服を着替えますが、この時は「ジャージから制服に。」
もしくは「Tシャツを洗い立てに着替える」イメージで。
(二番では当然私服を着ます)

このレコーディングのあとに有澤はJuice=Juiceに。
豫風はつばきファクトリーに加入が決まりましたね。
おめでとう。

曲のリズムやテンポ感はまったり系というか、ビートで引っ張るタイプではないミディアムほんわか感満載の曲です。

洋楽ではミディアムやバラードではないスローテンポな曲でもシングル曲でガンガンヒットチャートに入ってきます。

しかし、日本ではバラードやメッセージの強いミディアムロック系でもない限り、こういうふんわり系はシングル化しないことが多いですね。

なので、こういうポジションの曲は、アルバムやカップリング曲(昔でいうB面)に納められることが多かったわけです。
で、佳作であればあるほど、ファンの間での人気曲となったり、ライブでの必須曲となったりし、後にシングルカット!
なんてこともあったりしましたね。

昨今はアルバムやカップリングを作る数は減ってたので、こういうタイプの曲がなかなか存在しなかったので、貴重なポジションになったと思っております。

一人での歌唱も映える曲です。
今後はソロイベント等でもどんどん歌って歌唱レベルアップにつなげてってほしいものです。

M-9. 表参道A5
歌唱者:米村姫良々、中山夏月姫、為永幸音、平山遊季

かつてアップフロントが表参道に事務所があったことを知ってる人はもうどれくらいいるでしょうか?

1992年から東京の世田谷に住み出した大阪出身の僕にとって、表参道に出てくるのはなかなか面倒で大変でした。

それでも、レコード会社は渋谷で、事務所が表参道。
街に繰り出す大きな理由の一つではありました。

だからといって貧乏なバンドマンにとって、「あ、いい天気だから表参道ブラっとしよ〜」なんて思ったことは本当に一回もなく、当時、めぼしい位置にコンビニもなかったあの場所は、ラーメン1杯。サンドイッチ1個にしても「高え〜」としか思えませんでした。

そんな場所でしたが、大人になって、ちょっと心の余裕も出たころに表参道をブラ〜とすると、「え?こんなところにこんな和食屋さんが」「わ、おしゃれな服屋さん」「お、ここがPRADAか〜!」みたいな感じで、住んで10年くらいしてから表参道のことを少しずつ知ってったわけです。

そんな田舎太郎の僕が現在のハロプロ研修生に歌ってもらう曲を考えていましたが、自分の原点に振り返り、「表参道」を舞台に物語を作ってみようって思ったわけです。

彼女らにとっては表参道にはまったく思い入れもないだろうし、原宿とか裏原とかの方がピンとくるとは思うけど、日本国中に住むハロファンのみなさんにも「え?どこやろ」とか「ググってみたろ」みたいに思ってもらえるようなイメージで、勝手にバンバン作ってみました。

曲を作ったのは嶺脇育夫さんとの対談後にハロプロ研修生を個別に分析するより以前です。

その対談はこちら
・「佐藤優樹は”ガチ”」つんく♂とタワレコ社長が語る、ハロプロ今昔物語。
https://note.tsunku.net/n/n4f91804aacf2


・つんく♂とタワレコ社長が語る、音楽業界の今とプラチナ期以降のハロプロ
https://note.tsunku.net/n/n3f030d6d14e6

個別に今がどんなのかって先入観がない時に書けたのも良かったのかもしれません。

塊(かたまり)として、未来に向かって頑張ってる「集団(チーム)」を陰ながら応援するようなイメージ。

曲調としてはマイナー調ですが、悲しさではなく、湧き上がってくる情熱や悔しさ、それでもふとした瞬間にセンチメンタルになる寂しい感覚。

こういう心情を歌にしたつもりです。

おそらくカフェや有名ブランド店には、お財布的にもメンタル的にも入りきれず、ワクワクしに行ったのになんとなく負けムードになってしまった、そんな夕刻です。

ちなみに当時のアップフロントがあった「表参道」の地下鉄の出口はA5ではありません。
A5はおしゃれブティックが並ぶ方の出口です(笑)。


曲としてビート感は割と強めなので、初聴きであっても、ライブでは「オイ!オイ!」と盛り上がれるはずです。

ただ、イヤフォンつけて彼女たちの声をしっかり聞くと、うっかり涙腺が緩んでしまうようなイメージのトラックダウンに仕上がってます。

時折トリッキーなタイミングでブレイクが入るので、その辺でビビらなくなるように体にこの曲のリズムを叩きこんでおいてくださいね。



過去の僕のハロプロ研修生の分析コラムです。

・ハロプロ研修生の今をつんく♂が徹底分析!【前編】
https://note.tsunku.net/n/ne2b4b985f182

・ハロプロ研修生の今をつんく♂が徹底分析!【後編】 (つんく♂賞発表!)
https://note.tsunku.net/n/n4c919b777a4e

・ハロプロ研修生「実力診断テスト」2021春 つんく♂による1万字超解説。【前編】
https://note.tsunku.net/n/n99cde916e4b5

・ハロプロ研修生「実力診断テスト」2021春 つんく♂による1万字超解説。【後編】
https://note.tsunku.net/n/nfe659ed23e74


       
アルバム情報はこちら。
http://www.up-front-works.jp/release/detail/UFCW-1155/